助成実績

科学技術関係 研究助成

第35回(2019年度)マツダ研究助成一覧 −科学技術振興関係−

 助成金額は一律100万円。但し、「マツダ研究助成奨励賞」に選出されたものは、50万円の追加助成。
:循環・省資源に係わる研究
研 究 題 目 研 究 代 表 者
(役職は応募時)
助成金額
(万円)

キャリア高調波を界磁エネルギー源とする共振結合形モータとその最適制御手法の創生
青山 真大
静岡大学
工学部電気電子工学科 助教
100
本研究はインバータ駆動のモータで制御上,不可避に発生するキャリア高調波をトルク発生の界磁エネルギー源として活用する新原理とその最適制御手法の創生に関する研究である。キャリア周波数を電磁共振周波数とする共振回路をロータ上に形成するワイヤレス給電式巻線界磁形モータを特長とし,各駆動点でシステム効率が最大になるようなキャリア周波数をオートチューニングする最適制御手法を創生する。原理検証機を試作して実験的に原理実証と本モータの優位性を明らかにする。

高精度かつ短時間整定の位置決めを可能とする3D造形軸継手形状の開発
田中 淑晴
豊田工業高等専門学校
機械工学科 准教授
100
円周方向に沿ったハニカム孔構造を採用し高剛性かつ高減衰を両立させた軸継手を提案し,位置決め装置に適用することによって,位置決め精度0.1μm以内の高精度かつ整定時間10ms以内の短時間位置決めの達成を目的とする.提案する軸継手は,回転のねじり方向に対して断面二次モーメントが大きくなり高い剛性を備えるとともに,長手方向においてはハニカム形状の孔によって肉厚が薄くなり高い減衰能を実現することができる.

選択的分子捕捉材料の開発と応用
村岡 貴博
東京農工大学
大学院工学研究院応用化学専攻 准教授
150
多孔性材料は、様々な分子を効率的かつ選択的に吸着する特性を有する。これまでに、主としてガスなどの小分子の吸着が実現されてきた。本研究では、より大きな分子の選択的吸着を可能にする多孔性材料の開発を目指す。特に生理活性物質の捕捉に着目し、センシングや薬剤安定化などに有効な材料の実現を目指す。ペプチドの超分子集積を用いることで、多様な官能基を配置したキラル空間を設計可能であり、形と相互作用点の精密認識を実現する。

主鎖上ボロン酸エステル部位の変換に基づく循環利用型ビニルポリマー材料の開発
西川 剛
京都大学
大学院工学研究科高分子化学専攻 助教
100
近年、循環型社会の構築を目指して高分子材料の再利用に大きな関心が寄せられている。もし、使用後に特定の条件で有用な低分子化合物へと変換することが可能な高分子材料を設計できれば、循環型社会に適合する高分子材料開発において大きなブレイクスルーとなる。そこで申請者は安定でありながら特定の条件下で活性化・変換が可能な官能基であるボロン酸エステルを利用し、使用後に特定の低分子化合物へと高効率で変換可能なビニルポリマーを開発する。

リビングラジカル重合を利用した接着部が「成長する」ヒドロゲル接着法の開発
為末 真吾
宇都宮大学
工学部基盤工学科物質環境化学コース 助教
100
例えば寒天やプリンのような、構成成分の大部分が水からなる柔らかな材料「ヒドロゲル」は環境負荷が少なく、生体親和性の高い材料である。それ故にヒドロゲルは人工軟骨や人工筋肉などに利用することが期待されている。その際に重要になるのが「生体材料とヒドロゲル、もしくはヒドロゲルどうしの優れた接着手法の開発」である。本研究では優れた高分子合成手法であるリビングラジカル重合を利用し「生物のように成長し機能を習得するヒドロゲル接着手法の開発」する。

自己発電する電磁波シールド開発に関する研究
仕幸 英治
大阪市立大学
大学院工学研究科電子情報系専攻 教授
150
環境電磁波のエネルギーを強磁性金属の強磁性共鳴により電気エネルギーに変換するエネルギーハーベスティング技術を開発中である。本研究では自己発電する電磁波シールドの開発を目標に、環境電磁波を効率良く電気エネルギーに変換するため次の3つの課題に取り組む。1、伝送線路による高周波磁界を用いる強磁性共鳴励起と起電力生成および高周波周波数依存性の評価。2、起電力の電磁波照射方向依存性の評価。3、永久磁石による静磁界を用いる強磁性共鳴励起と起電力生成。

「かたち」の自在変換可能な新しい外部刺激応答性ポリマーの合成
平尾 岳大
広島大学
大学院理学研究科化学専攻 助教
100
多様な性質を有するポリマー材料開発を目的に,様々な精密重合の手法が研究され,星型ポリマー,環状ポリマーなど様々な形状をしたポリマーの合成手法が確立されてきた。ポリマーの物理物性はポリマー全体の形状に依存するため,ポリマーの形状を自在に変換する手法を開発することができれば,物理物性を自在に変換できる新しいポリマー材料開発に繋がると考えられる。そこで今回,合成ポリマーの形状を自在に変換する新たな手法を開発することを目的とした。

非平衡系原子・電子構造に対する同時計測技術の開拓による数層グラフェン特異物性の起源解明に関する研究
根岸 良太
大阪大学
大学院工学研究科精密科学・応用物理学専攻 助教
100
数層グラフェンは層間相互作用の強さや層間の回転角の違いに起因した積層構造の自由度があるため、単層では実現できない、超伝導性や擬似的ディラックフェルミオンなど特異物性の出現が理論的に予測されている。本課題では、量子ホール素子によるキャリア伝導評価と角度分解光電子分光法による電子構造解析及び、陽電子回折法による原子構造解析とを同時に計測できる技術を開発し、層間相互作用の異なる数層グラフェンにおける原子/電子構造とキャリア輸送特性との相関を直接観察し、特異物性の発現機構を解明する。

四面体型分子を用いたメタルフリーペロブスカイト型強誘電体の物性制御
綱島 亮
山口大学
大学院 創成科学研究科化学コース 准教授
100
現在主流の強誘電体のほとんどはペロブスカイト型化合物で、毒性や希少金属を用いるため代替材料の開発が急務になっているものの、匹敵する物質群は未だない。我々はこれまでに、ヘキサメチレンテトラミンと呼ばれる廉価な有機分子と、アンモニウムイオン、臭化物イオンからなる金属イオンを一切含まないメタルフリーなペロブスカイト型化合物の開発に成功し、これが強誘電性を示すことを明らかにした。今回、他のイオン種で部分的に置換した固溶体の作製と物性評価を行い、代替化レベルの強誘電特性を達成するための研究を進める。

電子相転移を示す酸化チタン薄膜の絶縁相安定化に関する研究
吉松 公平
東北大学
多元物質科学研究所 講師
100
本研究では遷移金属酸化物を用いた相転移デバイス実現に向け、Ti2O3薄膜における絶縁相安定化の起源を明らかにする。結晶格子が整合する基板を選択して薄膜を成長し、結晶の異方性を考慮した電気伝導率の測定を行う。またTi2O3が相転移と結晶の変形度合いが密接に関係する系であることを考慮し、面内および面直の格子定数の決定と基板との結晶配向関係を明らかにする。Ti2O3薄膜の相転移の原理を明らかにすることで、信頼性の高い相転移デバイス構造の設計へとつながっていく。

強磁性金属/酸化物ヘテロ構造を用いたスピン軌道トルクデバイスの開発
山ノ内 路彦
北海道大学
電子科学研究所 准教授
100
次世代の高速・低消費電力なランダムアクセスメモリや脳型コンピュータの構成デバイスと期待されているスピントロニクスデバイスでは、電気的かつ高効率にスピンを操作することが必要である。本研究では、高効率に電流−スピン変換(電流によってスピンを生成)可能な酸化物ヘテロ構造と強磁性金属の積層構造に着目し、この酸化物ヘテロ構造によって電気的かつ高効率に生成したスピンを利用して強磁性金属のスピンを操作するスピントロニクスデバイスの開発をめざす。

超臨界流体法によるイオン液体含浸メソポーラスシリカの創製とCCUSへの展開
宇敷 育男
広島大学
大学院工学研究科化学工学専攻 助教
100
イオン液体は,地球温暖化ガスである二酸化炭素(CO2)に対する高い物理吸収能力を有しており,CO2の分離回収・貯蔵(CCS)への利用が期待されているが,そのハンドリング性の悪さやコスト面の問題から実用化が進んでいない.こうした現状を打破するため申請者は,超臨界流体にイオン液体を溶解させた後,メソポーラスシリカの有するナノ細孔空間に含浸させることによりイオン液体含浸メソポーラスシリカを創製し,CCUS(Carbon Capture, Storage, and Utilization)へと展開する方法論を着想した.本研究課題はこのような方法論を具現化するためのものである.

多重外場応答性を示す多孔性磁気格子の開発と機能発現
関根 良博
東北大学
金属材料研究所 助教
100
本研究では、多様な電子状態を取りうる多孔性磁気材料を開発し、様々な刺激に対して応答可能な多重外場応答性磁石の機能開拓を行う。分子磁性材料は設計自由度が高く多重機能性の付与や外場に応じて可変磁石として振る舞うことが期待される。本研究では、電子ドナー・アクセプター型構築分子を自己集積化し、酸化還元活性な二次元層状化合物の創出する。対象物質群は、安価でかつ磁気スピンを有する鉄イオンと有機アクセプター分子が共有結合的に連結した磁気・電子格子からなる集積型化合物であり、新規な機能性磁気材料を構築する。

螺旋誘起発光を利用した円偏光発光LED(CP-OLED)の開発
今井 喜胤
近畿大学
理工学部応用化学科 准教授
100
光には右回転する光と左回転する光の二種類の円偏光発光(CPL)が存在する。本研究は CPL を深部から理解し、発光性金属ランタノイドを螺旋状に配置することにより、生物走光特性・植物成長促進特性を備えた自家発光によりCPLを発するLED(CP-OLED)の開発を目指す。

Mg 製医療用埋植素材開発に向けた液体高速噴射による有機-無機複合皮膜形成技術
中村 嘉恵
日本大学
理工学部精密機械工学科 助教
150
Mg(マグネシウム)は医療用埋植材の基材として注目されているが,体内での急速な分解を防ぐための耐食性と,自由に変形できる柔軟性が求められる.これには,Mg 基材表面に有機-無機複合皮膜を形成することが有効である.これを実現するために,水蒸気と Mg の化学反応により,耐食性の高い Mg(OH)2(水酸化マグネシウム)皮膜が Mg 基材表面に形成されることに着目した.本研究では,水蒸気に変えて,水と生分解性ポリマーの混合液を微粒化し,Mg 基材表面に高速噴射することによって,有機-無機複合皮膜を形成する.

多角的光学計測による次世代超希薄燃焼ガソリンエンジン壁面近傍の熱流動現象及び成層水噴射効果の解明
長澤 剛
東京工業大学
工学院システム制御系 助教
100
空気過剰率が2を超える超希薄燃焼ガソリンエンジンにおいて,ピストン頂面に水を噴射して成層化させることにより冷却損失低減とノック抑制を同時に実現し,非常に高い熱効率が得られている.本研究ではこの大幅な効率向上の機構を,急速圧縮膨張装置を用いた壁面境界層の温度場・速度場・水蒸気分布及び壁面熱流束の測定により明らかにする.また単気筒エンジンを用いて液水分布可視化と筒内圧・壁面熱流束の同時計測を行う.そしてこれらの情報を基に,成層水噴射による大幅な効率向上効果の本質的な解明を目指す.

メモリ不要なパケット処理を見据えた光比較演算技術の集積デバイス化
相川 洋平
沖縄工業高等専門学校
情報通信システム工学科 助教
100
本研究は,メモリ不要なパケット技術の実用化を見据えて,光比較演算技術の集積デバイス化に取り組むものである.一般に,パケット処理はメモリを必要とすることから「光-電気」間の信号変換を避けられず,高速動作時に膨大な電力を消費することが知られている.申請者は,このような問題に対して,光処理での比較演算技術を用いてメモリを代替する手法を提案する.さらに,本助成では当該技術をシリコン基板上に集積化する.これにより,超高速・低電力なパケット技術の実用化に寄与できるものと考えている.

大型車両を追従する運転者の車線変更意図推定モデルの構築
Woo Hanwool
秋田県立大学
システム科学技術学部知能メカトロニクス学科 助教
100
交通事故ゼロの実現に向けて,周辺交通参加者の意図を推定し潜在的なリスクまでも対応可能な技術が求められる.バスやトラック等の大型車両の後ろを追従する運転者は,視野が防がれることやより速く走るために追い越しを試みる傾向がある.即ち,先行車両の車種は,追従運転者の内部状態に影響し,運転意図の変化を起こすと考えられる.本研究では,先行車両の車種が与える影響を解明し,挙動から追従運転者の運転意図を推定することが可能な手法の構築に取り組む.

橋梁の点検業務支援を目的としたUAVの打音解析及びAIによる空隙検出の基礎研究
宮崎 亮一
徳山工業高等専門学校
情報電子工学科 助教
100
本研究では機動性に優れた無人航空機 (Unmanned Aerial Vehicle: UAV) を用いた橋梁等のコンクリート構造物の遠隔打音検査に着目し,UAVに搭載した打撃装置で橋梁によって得られる「打撃音を人工知能で解析」することで,橋梁の空隙箇所を自動的に検出するシステムの開発を目指す.本研究の実現によって「点検者の安全性」,「定期点検に要するコストの大幅な削減」,「専門家を必要としない異常検知の自動化」に貢献できると確信している.

均一な力で切断できるはさみによる力センシングの検討
野田 幸矢
福島工業高等専門学校
機械システム工学科 助教
100
はさみで力センシングを行う際,力のモーメントの影響により切断位置により入力側に要する力が異なる.このため,客観的に力を計測することが困難であった.申請者はこれまで,はさみの刃の位置に依存せず切断するときの力が均一になるはさみを開発してきた.本研究では,このはさみが力センシングデバイスに適用できるか検討する.具体的には,(1)速度と力の関係性,(2)対象物の厚さと力の誤差の影響,(3)切断する物質の種類の3項目ついて調査する.

高精度な非接触流体制御を目指した音場浮遊液滴の微粒化機構の解明
長谷川 浩司
工学院大学
工学部機械工学科 准教授
100
本研究は、浮遊させた流体試料に生じる微粒化挙動の発生メカニズムを解明し、非接触・無容器での試料操作を実現するための「非接触流体マニピュレーション技術」を構築することを目的とする。本申請で目指す技術は、異なる流体を混合・撹拌、濃縮・反応・相分離するとともに蒸発・乾燥などの相変化といった、一連の熱流体プロセスの制御技術の創出が期待される。これにより、従来法と比較して廃液を極小化させることで環境負荷などを大幅に低減させるような、革新的なマイクロフルイディクス技術の開発を目指す。

高出力・小型モータ設計・開発のための鉄心材料の応力ベクトル磁気特性の解明
甲斐 祐一郎
鹿児島大学
大学院理工学研究科電気電子工学専攻 准教授
100
本研究では,小型・高出力モータに開発へ向けて鉄心材料の活用技術の開発及び機器設計を目指し,実機に近い応力や磁束条件下における鉄心材料の磁気現象解明に取り組む。研究代表者は,これまでに応力ベクトル磁気特性評価法と呼ばれる独自評価法を提案してきたが,従来の評価システムは応力や磁束密度レベルが低く,小型・高出力モータの設計・開発の知見を得るには不十分であった。そこで,応力印加機構,励磁部分,センサを見直し,新たに設計・作製することによって,高応力及び高磁束密度条件下における鉄心材料の磁気現象の解明並びに磁気特性データベースを構築する。

縦渦により駆動する円柱翼水平軸風車に関する基礎研究
野村 高広
呉工業高等専門学校
機械工学科 教授
100
 2016年に長岡技術科学大学の高橋勉教授により発案された縦渦により駆動する円柱翼風車に着目し、風車・水車・タービンなどへの技術展開に資するため、基本原理を解明する。まず、実験用風車の新型機を製作する。風車の性能を評価する上で必要となるパワー係数/周速比の特性曲線を得るため、風車の各種形状因子に係るパワー性能を風洞実験により調査する。さらに、本風車のパワー性能を向上させる観点から縦渦の制御、および、実用レベルのパワー係数を実現するための最適条件を解明する。

マルチモーダルセンサ情報の相補性を活用可能なデータドリブン特徴抽出法の開発
田中 大介
新居浜工業高等専門学校
電子制御工学科 助教
100
本研究ではロボットによる物体認識問題を考える。ロボットに搭載されたマルチモーダルセンサ(視覚・触覚・聴覚など)を用いて認識を達成するためには、得られる膨大な情報の中から必要な情報だけを抽出することが必要である。しかし、それぞれのセンサ情報から独立に抽出した情報を合わせただけでは、それぞれのセンサデータ間に存在する相補性を活かせるかどうかは不明である。本研究では、マルチモーダルセンサ情報の相補性を活用可能な特徴抽出法を開発し、低計算量の認識システムの構築を目指す。

層間交換結合型フェリ磁性体を用いた高速磁壁移動デバイスの開発
塩田 陽一
京都大学
化学研究所ナノスピントロニクス研究領域 助教
100
情報化社会の発展において、AIやIoTなどの新しい技術の普及には、ビッグデータの高速処理が鍵であり、電子デバイスの低消費電力・高速化が求められている。そこで、電子スピンの情報不揮発性を利用した磁気メモリの開発が精力的に行われている。本研究では、一般的な強磁性体の磁化ダイナミクスとは異なる特徴を有するフェリ磁性体に着目した。特に、申請者らが開発したより応用に適した鉄コバルトボロン(FeCoB)/酸化マグネシウム(MgO)接合を有する層間交換結合型フェリ磁性体を用いることで高速な磁壁移動の実現を目指す。

完全バンドギャップを有する棒状の弾性メタマテリアルの開発
友田 基信
北海道大学
大学院工学研究院応用物理学部門 助教
100
内部に振動構造を持つ人工構造である弾性メタマテリアルの原理を利用して、特定周波数帯におけて圧縮・曲げ・ねじりのすべての振動モードの弾性波を通さない完全バンドギャップを持つ、丸棒および角棒を開発する。材料にとらわれないことを示すため、丸棒はアクリルパイプに、角棒は鉄パイプに、それぞれ同じ種類の素材で作られた振動構造を詰めるて作製する。さらに応用を見据え、振動抑制周波数の広帯域化の研究や、実際に構造物として使用した場合での性能評価も行う。

電子伝達を機能する分子接着剤により結合した複合型光触媒の開発
中田 明伸
中央大学
理工学部応用化学科 助教
100
炭素資源に依存した社会から脱却するために、太陽光エネルギーにより水を分解し水素を製造する人工光合成が注目されている。本研究では、天然光合成のPSI, PSIIに見立てた半導体光触媒粒子を結びつけ、人工光合成反応において重要な電子伝達過程を効率よく機能する「分子接着剤」を開発することを目的とする。接着分子の酸化還元特性や分子軌道のチューニングにより光電子伝達の方向性制御と効率化を可能にする、これまでにない新たな分子-固体複合光触媒を構築する。

原子層制御ハーフメタルホイスラー合金/強誘電体ヘテロ構造の実証と低消費電力磁化制御への応用
山田 晋也
大阪大学
大学院基礎工学研究科スピントロニクス学術連携研究教育センター 助教
150
近年、次世代の低消費電力技術として『スピントロニクス』に注目が集まっており、スピン偏極率が1のハーフメタルホイスラー合金は、数多くのスピントロニクス素子で高い性能が実証されている。その一方、スピントロニクス素子の動作の要となる磁性体の磁化制御法の開発が急務となっている。本研究では、原子層制御ハーフメタルホイスラー合金/BaTiO3ヘテロ接合を低温形成する技術を開発し、低消費電力磁化制御技術への応用を目指す。

機械学習を活用したイメージフリーシングルピクセル物体認識
遠藤 優
金沢大学
理工研究域機械工学系 助教
100
単一受光素子を用いた物体認識は,パターン照明を対象に照射して得た計測データから画像を再構成し,それを識別器にかけることで行われる.この場合,照明パターンは多数必要であり,計測時間の長大化を招いていた.本研究では,単一受光素子で計測したデータから,画像を再構成することなく,物体認識を行うシステムを開発する.また計測に用いられるパターン照明を機械学習によって最適設計する.これにより計測時間を大幅に低減させ,高速な物体認識を行うことができるシステムを実現する.

MEMSセンサによるディーゼル噴霧火炎の衝突壁面熱流束の離散的面計測
出島 一仁
滋賀県立大学
工学部機械システム工学科 講師
100
ディーゼル噴霧火炎の壁面伝熱特性を調べるため,壁面熱流束の時空間分布を定量的に測定する技術を開発する.本研究では,MEMS (Micro- Electro- Mechanical Systems)と呼ばれる微細加工技術を用い,サブミリメートルオーダーでの多点同時測定が可能な薄膜測温抵抗体を製作し,ディーゼル噴霧火炎の乱流スケールと同等の空間分解能での測定を行う.それにより,隣接点で得られる熱流束変動から相関解析によって流動に関する情報を抽出し,流動が伝熱に与える影響を調べる.

マイクロキャビティ型逆構造を用いた有機EL素子の高性能化
木場 隆之
北見工業大学
工学部地球環境工学科 助教
100
機能性を持つ金属・誘電体多層膜を利用したマイクロキャビティ型逆構造有機EL素子を作製し、発光の高色純度化、および素子の長寿命化、高効率化を目的とする。有機EL材料を積層した上に、陽極として誘電体/金属/誘電体構造、さらにその上に高・低屈折率材料の交互積層膜を成膜し、共振器ミラーと封止膜双方の機能を発現させる。これによりディスプレイ用途としては低消費電力化・高演色化が期待できる上、従来のEL素子構造で必要とされる厳密な封止工程の簡略化が期待できる。
合 計 31件 3,300


 「マツダ研究助成奨励賞」一覧  ●

マツダ研究助成奨励賞は、マツダ財団設立30周年を記念して2014年度より新設されました。
科学技術振興関係の助成対象の中から、若手研究者を主たる対象とし、選考委員会が特に優れた研究であるとみなした4件の研究に対して授与されるもので、副賞として研究助成金50万円が追加助成されます。

研究代表者 所属(役職は応募時) 研 究 題 目
中村 嘉恵

日本大学

理工学部 精密機械工学科 助教

Mg 製医療用埋植素材開発に向けた液体高速噴射による有機-無機複合皮膜形成技術
【選考理由】 Mg製品の医療分野への展開等を目的に、Mg基材上に有機/無機複合皮膜を形成させ、耐食性を持ったMg製生体埋植材の研究である。従来の水と生分解性ポリマーの混合液では蒸発しにくく蒸気コーティング処理が困難であったが、微粒化して高速噴射することでブレークスルーする点に新規性がある。また、研究計画も具体的であると共に、Mg以外の様々な金属材料への展開も期待できる。
山田 晋也

大阪大学

大学院基礎工学研究科スピントロニクス学術連携研究教育センター 助教

原子層制御ハーフメタルホイスラー合金/強誘電体ヘテロ構造の実証と低消費電力磁化制御への応用
【選考理由】 本研究は、スピントロニクス素子の磁化方向制御において、大電流が必要な電流注入ではなく、電圧による制御を実現するために、強誘電体であるBaTiO3上にハーフメタルホイスラー合金薄膜を低温で作製する手法を提案するものである。これによって、ヘテロ界面での電気磁気効果を発現させ、低消費電力での磁気制御を実現し、スピントロニクス技術への貢献が期待できる。その独創的、且つ新規性の高い研究内容に対して、奨励賞を贈呈する。
村岡 貴博

東京農工大学

 大学院工学研究院応用化学専攻 准教授

選択的分子捕捉材料の開発と応用
【選考理由】 多孔性材料は、様々な分子を効率的かつ選択的に吸着する特性を有しており、これまでに、主としてガスなどの小分子の吸着が実現されてきた。本研究では、より大きな分子の選択的吸着を可能にする多孔性材料の開発を目的とし、特に、生理活性物質の捕捉に着目し、センシングや薬剤安定化などに有効な材料の実現を目指すものである。柔軟な構造を有する有機リガンドに着目した研究は、独自性、先進性に優れており、既に錯体の構築にも成功していることから、実現性が高く、研究奨励賞にふさわしいものと考える。
仕幸 英治

大阪市立大学

大学院工学研究科電子情報系専攻 教授

自己発電する電磁波シールド開発に関する研究
【選考理由】 本研究は、環境電磁波のエネルギーを強磁性金属の強磁性共鳴により電気エネルギーに変換するエネルギーハーベスティング技術を目指している。従来は、電磁波侵入長よりも厚い金属板でシールドし遮蔽された電磁波のエネルギーは利用されなかったが、本研究では、その破棄されていた電磁波をFMRにより電気エネルギーに変換する技術である。この技術は、あらゆる周波数に対応でき、これまでにない局所発電技術の開発なので、非常用照明のための蓄電やウェラブル端末の電源として応用展開が広く、オリジナル性が高い独創性と先進性を有している。

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