助成実績

科学技術関係 研究助成

第32回(2016年度)マツダ研究助成一覧 −科学技術振興関係−

 助成金額は一律100万円。但し、「マツダ研究助成奨励賞」に選出されたものは、50万円の追加助成。
:循環・省資源に係わる研究
研 究 題 目 研 究 代 表 者
(役職は応募時)
助成金額
(万円)

革新的な電界駆動型磁気デバイスの創製に向けた高機能強磁性・強誘電薄膜材料の探索・合成
吉村 哲
秋田大学
大学院理工学研究科 准教授
150
本研究では、室温で強磁性かつ強誘電性を示す単相の薄膜材料を用いて電界印加のみにより完全に磁化方向を反転させる、申請者が実証に成功した現象を適用した、超大容量・超低消費電力・貴金属フリーの磁気メモリや超低消費電力・高解像度・希土類元素フリーの光変調素子などの新規かつ革新的な次々世代磁気デバイスを世界にさきがけて実現するため、それぞれのデバイスに適した物性を有する高機能な強磁性かつ強誘電薄膜を探索および合成することを目的としている。
ナノロッド構造を持った有機系太陽電池の圧着による超低コスト作製技術の創出當摩 哲也
金沢大学
新学術創成研究機構 准教授
100
有機薄膜太陽電池は、大型の真空製膜装置を用いずに印刷のような塗布法を使えるため、低コスト・省エネルギー・低環境負荷の未来のエレクトロニクス製品になると期待されている。本研究では、ナノテンプレート膜と半導体ポリマー/金属膜を転写により張り合わせることで、劇的に低コストな太陽電池を製造することを目標とする。創エネルギー装置を“省エネルギー”で製造することで本当に地球にやさしい夢の太陽電池(有機系太陽電池)を誕生させることを最終目的としている。
凝集誘起発光を利用したフルカラー発光ナノ粒子の開発中林 千浩
山形大学
大学院有機材料システム研究科 助教
100
従来の発光性材料は、固体状態で発光性が著しく低下することが問題あり、固体状態でも高輝度に発光する材料創出が切望されている。本研究では、両親媒性ブロック共重合体の自己組織化を活用し、凝集によって発光性を示す凝集誘起発光構造をコアに固定化することで、固体状態で高輝度発光するコア-シェル型ナノ粒子群の合成法を確立する。さらに、様々な発光色に対応する凝集誘起発光性構造を固定化し、フルカラー発光性ナノ粒子群のライブラリ創製および高効率フルカラー発光デバイスへの応用を目指す。

新規伝熱性セルロースナノ繊維を用いた排熱基板材料の創出
上谷 幸治郎
立教大学
理学部 助教
100
バイオマス資源から抽出したセルロースナノ繊維の集積体が、高い熱伝導率を持つことを発見した。本研究では、セルロースを用いて新規な熱伝導性電子基板材料を開発する。特に、セルロースナノ繊維の持つ特徴的な伝熱性能を最大限に発揮させることで、電子基板の排熱性能を大きく向上させる新規な材料を提案する。これにより、従来のヒートシンクなど嵩高い放熱部材を必要としない次世代電子デバイスの開発を可能にし、デバイスの小型化と環境性能の両立を図る。
キャッシュを用いたパケット転送処理の省電力化および高速化に関する研究八巻 隼人
電気通信大学
大学院情報理工学研究科 助教
100
近年,世界的な電力消費量の増加による地球温暖化が深刻化しており,対応の一つとしてルータの省電力化が叫ばれている.今後,通信量が爆発的に増加することからも,従来のTernary Content Addressable Memory(TCAM)をベースとしたパケット処理は,消費電力および処理性能の点から問題がある.そこで,従来のTCAMに,より高速かつ低消費電力なキャッシュメモリを併せた新しいパケット処理機構を提案する.本研究では,提案機構のキャッシュ利用効率を改善し,パケット処理における消費電力の削減および処理性能の向上を目指す.

金−チタニア系プラズモニック光触媒における酸化還元サイトの可視化と反応メカニズムの解明
河村 剛
豊橋技術科学大学
大学院工学研究科 助教
100
プラズモニック光触媒は、太陽光に含まれる全ての光を利用できると考えられているが、現状ではその量子収率は数%に留まっている。これは、プラズモニック光触媒における反応メカニズムが明確になっていないことが最大の原因である。本研究では、この反応メカニズムを解明するために、これまでにほとんど例のない、走査型透過電子顕微鏡像と組成マッピングによる光触媒反応サイトの可視化を実施する。この手法は、他の光触媒の反応メカニズム解明にも適用できるため、関連研究分野へのインパクトも大きい。
分子凝集誘起発光に立脚した高輝度発光材料の開発と光増感剤への応用萩森 政頼 
長崎大学
大学院医歯薬学総合研究科(薬学系) 准教授
100
機能性色素は、工学や医療において欠くことのできない材料である。しかしながら、高濃度になると分子同士が凝集し、発色性、発光効率、光感受性や光増感性が著しく低下するため、新規メカニズムに基づく材料開発が急務となっている。本研究では、高濃度状態や固体状態において発光を示す分子凝集誘起発光現象に着目し、低分子化合物の分子骨格変換や官能基導入により分子凝集誘起発光性の材料を開発することにした。特に、開発が望まれている太陽電池や光線力学療法への応用可能な高輝度発光材料の開発を目指す。
遠紫外分光法によるイオン液体の電極界面における電子状態研究田邉 一郎
大阪大学
大学院基礎工学研究科 助教
150
電気化学環境下における電極界面でのイオン液体(アニオンとカチオン)の挙動と電子状態を明らかにすることを目的とする。独自に開発した減衰全反射型遠紫外分光装置と理論計算を基にベースに、電気化学環境下における測定を可能にするセットアップを構築し、物質の電子状態を直接反映する遠紫外から紫外域(波長150-300 nm)における電圧印加下での電極界面の吸収スペクトル測定を実現する。電圧印加によるイオンの構造と電子状態変化の解析には、分子動力学計算と量子化学計算による検討を行う。
降雪時の自動運転のための環境変化適応型の自己位置推定米陀 佳祐
金沢大学
新学術創成研究機構 助教
150
自動車の自動運転技術は交通事故・運転負荷の低減が期待されている.安全な自動運転には,自車位置をセンチメートル精度で推定する技術が重要である.位置推定する主な手段は,道路周辺の特徴物の地図と車載センサの観測情報のマッチングにより実現する.しかし積雪時では,地図の特徴物が遮蔽されて観測情報が欠落し,位置精度の悪化する課題がある.本研究では,ノイズの影響を考慮した観測モデルを提案し,観測情報の再構成アルゴリズムを提案することで悪天候下に頑健な位置推定手法を実現する.
有機金属分解法により作製した磁性ガーネット薄膜による巨大磁気表面プラズモン効果の発現芦澤 好人
日本大学
理工学部 准教授
100
本申請研究では,有機金属分解法により大きな磁気光学効果を示す磁性ガーネット薄膜を作製することにより,巨大な磁気表面プラズモン効果の発現をはかり,磁気表面プラズモン効果による磁気センサ応用を目指す。磁気表面プラズモン効果は,磁性体の磁化方向に依存した誘電率変化により,表面プラズモンの励起条件が変化して反射率が変わる現象である。申請者はAu/スピネルフェライト薄膜において磁気表面プラズモン効果を見出しており,より大きな効果の期待できる磁気光学効果の大きい透光性誘電磁性体を検討する。
超高温環境下における変形分布計測システムの開発と応用井上 遼
東京理科大学
基礎工学部 助教
100
本研究は、申請者らがこれまで開発した超高温観察装置と画像相関法を組み合わせ、1200℃以上の環境における材料表面の変形分布を三次元的に計測できるシステムを確立し、有用性を実証することを目的に行う。はじめに、計測に不可欠な周辺技術を確立する。ついで、標準試料を用いて計測精度の評価を行い、システムの性能を明らかにする。次世代の航空機エンジン部材用セラミックス系複合材料に応用し、高温での不均一変形分布を定量的に評価する。これらから、高温環境下での変形分布を計測できるツールとして汎用的な形で提案する。

多元系遷移金属硫化物からなるナノバルク熱電材料の創製
前之園 信也
北陸先端科学技術大学院大学
先端科学技術研究科 教授
100
熱電素子によるエネルギーハーベスティングの実現を目指し、従来の熱電材料には必須であった希少金属や毒性元素を含まないサステイナブル熱電材料を創製することを目的とする。遷移金属硫化物系熱電材料は有望な候補ではあるものの、熱電変換効率が低いことが最大の課題である。本研究では、遷移金属硫化物ナノ粒子を化学合成し、放電プラズマ焼結法によってナノバルク熱電材料とすることで、遷移金属硫化物系熱電材料の熱電変換効率の向上を図る。
周波数変調信号と最適窓関数を利用した非接触1探触子空中超音波検査技術の開発石川 真志
徳島大学
大学院理工学研究部 助教
100
空中超音波を用いた構造物等の非破壊検査は、一般的なカプラント(接触媒質)を利用した超音波検査と異なり対象物に対して非接触での検査が可能であるが、従来技術では探触子を2つ用いた透過法もしくはピッチキャッチ法しか実現されていない。本研究では空中超音波による検査の高効率化の為、1つの探触子のみで検査可能な1探触子反射法の実現を目指し、解析的な検討から同手法に適した送信波形条件の最適化を行うとともに、最適化された波形を送信可能な超音波探触子を試作し、その実証試験を行う。

バイオマス変換反応の開拓に向けた酵素機能を模倣した固体表面反応場の創製
山口 渉
東京工業大学
物質理工学院 助教
100
本研究では、「バイオマス変換反応の開拓に向けた酵素機能を模倣した固体表面反応場の創製」と題し、単一の糖を原料に多様な有用化合物を与える新たな方法論の開発を目指す。具体的には、炭素数3の単糖である1,3-ジヒドロキシアセトンを利用し、炭素−炭素結合形成反応を鍵とする5員環ラクトン・ラクタム骨格からなる類縁体を標的とした効率的合成法を確立する。反応を高選択的に進行させるために、酵素の作用機序に着想を得た独創的な触媒設計に基づき、Lewis酸点とBr?nsted塩基点から構成される固体表面反応場を構築する
緑内障による失明率軽減にむけた視神経乳頭解析法の検討村松 千左子
岐阜大学
大学院医学系研究科 特定研究補佐員
100
緑内障は日本の中途失明原因の第一位,世界的にも第二位とされている.緑内障によって障害された視神経の再生は困難であるため,病気の早期発見により進行を遅らせることが非常に重要である.申請研究では,緑内障の早期発見に寄与するために,検診や眼科の診察で撮影された眼底画像から,緑内障の診断に有用な情報を引き出し,眼科医に提示することを目的とする.眼底画像は緑内障の診断のみでなく,他の病気の診断や記録などに日常的に撮影されるため,病気を疑わない早期の患者の発見が可能である.

種々のひずみ速度における力学場駆動マルテンサイト変態及びその逆変態を利用した鉄基合金の自己治癒機能の検討
岩本 剛
広島大学
大学院工学研究院 准教授
100
き裂を対象に,様々なひずみ速度における変形中に生じる力学場駆動マルテンサイト変態とその逆変態を利用した自己治癒機能の発現,及びその条件を検討する.そのため,熱処理後の予き裂入り薄板試験片を準備し,種々のひずみ速度にて引張変形させる.その際,デジタル画像相関法によりひずみ,ひずみ速度分布を求め,き裂の閉口により自己治癒現象の発生とその条件を確認する.併せて,J積分等を測定することにより,それらが自己治癒機能により向上することを確認し,発生条件の妥当性を検討する.

中性子線イメージングを目的としたラジオフォトルミネッセンス材料の開発
岡田 豪
奈良先端科学技術大学院大学
助教
100
中性子線計測は国境セキュリティ、医療および産業界において幅広く利用される技術であるが、検出器に用いられるHe-3の近年における価格高騰に伴い代替的検出材料の探索が必要とされている。本研究では、中性子線に感度を持つラジオフォトルミネッセンス(RPL)材料を開発し、それを用いた中性子イメージングへの応用検討を目的とする。ここでRPLとは放射線誘起現象のひとつであり、蛍光顕微鏡による読み出しと併せる事により高解像度によるラジオグラフィが可能である事が従来のX線イメージングにより実証されている。中性子線用新規RPL材料を開発する事により、X線同様に高い空間分解能による中性子線イメージングを実現させる。

液相プロセスを活用した酸窒化物光触媒の新規合成法の開拓
片桐 清文
広島大学
大学院工学研究院 准教授
100
水素を化石燃料を用いずに産出する方法として光触媒による水分解に関する研究が世界的に行われている。その中でも可視光に応答する光触媒として酸窒化物が大きな可能性を秘めていることが明らかになっている。しかし、その合成法は特殊な装置を要するなど、改善すべき点も多い。ここでは、酸窒化物光触媒のより安全で簡便な合成法として液相プロセスを活用した手法を開発することを目指す。特に前駆体の調製や窒素源の選定など、従来十分に検討されてこなかった点にスポットをあてる。
マイクロストリップ三角形共振器を用いた小型なチューナブルフィルタ宮田 尚起
東京都立産業技術高等専門学校
ものづくり工学科 准教授
100
携帯電話に代表される小型無線通信機ステムが取り扱うトラフィックが近年爆発的に増加しており,より高速で大容量な無線通信を実現するために用いられるマイクロ波フィルタとして通過帯域が可変なチューナブルフィルタの実現が求められている.本研究では三角形共振器を用いたチューナブルフィルタを実現する.三角形共振器を用いることにより,フィルタとして小型かつ高耐電力な特性を有し,かつ従来技術と比較して広い中心周波数の調整範囲を有するチューナブルフィルタの実現が期待できる.
応答曲面法を利用した種々の環境におけるロボットの最適運動方策学習有泉 亮
名古屋大学
大学院工学研究科 助教
100
強化学習による最適方策の学習は多くのデータを必要とし,実験回数が厳しく制約されるロボットへの適用は限定的である.特に,多くのロボットで要求される多目的の最適化は困難である.一方,申請者は統計的機械学習の手法を用い,少ない実測データからロボットの多目的最適化を達成する方法を提案してきた.しかし,ある環境で獲得された方策が他の環境でも有用とは限らず,種々の環境で個別に最適化が必要であった.本研究ではこの研究を発展させ,最適方策集合の推定を環境変数の関数として求める手法を提案する.

新規スラグフローテーション法によるアルミニウムスクラップの高清浄度化とアップグレードリサイクルプロセスの開発
新井 宏忠
八戸工業高等専門学校
准教授
100
 近年、自動車の燃費改善のための車体軽量化に関する技術開発が国内外で急速に進展しており、自動車車体の軽量化が求められている。アルミニウムは自動車軽量部材の有力候補であり国内外で部材開発が積極的に進められているが、社会的普及には高機能化に加えて革新的な低コスト化が必要である。そこで本研究では、ヘテロ凝集現象を利用した「スラグフローテーション」なる新物理精錬法によるアルミニウムスクラップのアップグレードリサイクル手法・プロセス開発を目指す。

pH応答性希土類錯体フィルムにおける発光色の電場制御とプロトン伝導に関する研究
亀渕 萌 
東京理科大学
理学部第一部 助教
100
外部刺激によって発光色の制御が可能な透明蛍光体は新しい省エネ材料として有望である。このような社会的要請に応えるための基礎研究として本研究では、pHに応答して発光色が変化する希土類錯体(beta-ジケトナト)ランタノイド2核錯体を基盤物質として、これらをプロトン伝導膜であるナフィオン(Nafion)に担持させることでプロトン応答性の透明発光フィルムを開発する。このフィルムに電圧を印加することでプロトン伝導を誘起し、発光色の制御を試みる。
生体内温度分布の非侵襲高精度計測実現のための治療支援ロボットの開発井関 祐也
八戸工業高等専門学校
産業システム工学科 助教
100
ハイパーサーミアは,癌細胞の熱感受性が正常細胞よりも高く,43+0.5℃で一定時間加温されると死滅する臨床事実に基づいている.この治療法は,癌加温中の生体内部の温度分布を如何にして正確に把握できるかにその是非が掛かっている.申請者は,超音波画像を応用した生体内温度計測手法を提案しているが,臨床応用に際して,再現性のある超音波プローブの接触が容易ではなく,これが課題となっている.このような背景から,本研究課題では,再現性のある超音波画像を撮像するための治療支援ロボットの開発を目的とする.

LITGSによる高圧層流火炎の定量温度計測技術の確立
早川 晃弘
東北大学
流体科学研究所 助教
100
ガソリンエンジンなどの実用燃焼器においては高圧燃焼が行われており,高圧下における燃焼現象の解明は非常に重要である.そのためには高圧火炎の計測技術の開発が不可欠となる.本研究は,Laser Induced Thermal Grating Spectroscopy(LITGS)を用いた,高圧火炎の定量温度計測技術の確立を目的とする.LITGSは2つのレーザーが交差する点における音速から気体温度を計測する手法であり,その原理上,高圧下ほど信号取得に有利であると考えられている.本研究では高圧層流火炎の温度計測を実施し,LITGSによる定量温度計測技術の確立とその計測精度を検討する.

革新的1軸制御ベアリングレスモータの効率を最大化する構造及び制御に関する研究
杉元 紘也
東京工業大学
工学院 助教
100
産業用の冷却ファン,ブロア,ポンプなどの寿命は,機械的なベアリングの寿命に律速されているため,ベアリングのメンテナンスや交換が必要である。また,モータの小型・高速・高効率化が進む一方,ベアリングの損失が浮き彫りになりつつある。そこで本研究は,ベアリングを用いず,磁気支持によりモータの回転軸を非接触支持しながら回転させることが可能な1軸制御ベアリングレスモータについて,効率を最大化する構造及び制御システムの基礎を構築し,実機検証する。

外部刺激により接着力をオン-オフ可能な易解体性接着材料の開発
佐藤 絵理子
大阪市立大学
大学院工学研究科 講師
100
本課題は、反応性アクリル系ポリマー精密合成、および外部刺激により接着力のスイッチングが可能な易解体性接着材料への応用を目的とする。易解体性接着材料は、使用時の十分な接着強度とオンデマンドな接着強度の低下の両立が可能な材料であり、異種材料の分別回収や不良部品の交換、製品の小型化や生産性向上を目的とした製造工程の仮接着用途での需要が高い。易解体性接着材料に接着力の回復機能を付与することにより、磁石のように接着と解体が自在に可能な新たな機能性接着材料の創生が期待される。

環状骨格ポリマーの精密合成と自己組織化による革新的機能空孔材料の創出
寺島 崇矢
京都大学
大学院工学研究科 助教
100
本研究では、環状骨格ポリマーを「環状空孔が多数配列・集積化した機能性高分子」と捉え、この自己組織化を鍵として、革新的な機能性高分子材料を創出する。まず、分子量や立体構造・連鎖配列が精密制御された環状骨格ポリマーを合成し、このポリマーを自己組織化して環状空孔が精密に積層化した高分子材料を構築する。さらに、この積層化空孔材料を利用して、高選択的なイオン認識能を示すイオンチャンネル材料や高効率・高性能な高分子電解質、高選択的なガス分離・吸蔵を実現する高分子材料を開発する。

ナノワイヤ異種集積技術に基づくGe/III-V ハイブリッド電子デバイスの創成
冨岡 克広
北海道大学
大学院情報科学研究科 准教授
100
次世代エレクトロニクス、とりわけ集積回路の最大の課題は、消費電力を削減しながらチップ性能を高性能化することである。本研究は、申請者がこれまで確立してきた半導体結晶成長技術を基軸として、次世代電子デバイス・光デバイス材料として期待されるIII-V族化合物半導体とGeを融合し、これらの材料からなるハイブリッド型構造の電気・光物性、結晶構造の評価を通して、結晶成長学的に未踏であったIII-V族とGeからなる半導体デバイス応用の可能性・多様性を切り拓く。

キンク変形を応用した炭素繊維強化積層構造体の曲げモーメント織込型プレストレス構造設計に関する研究
雷 霄?
福井大学
学術研究院工学系部門 講師
150
高い強度と軽さを併せ持つ炭素繊維強化プラスチック材料(CFRP)は、橋梁・飛行機・自動車など大型構造物からスボーツ道具・生活用品などの様々な用途に利用が広がっている複合材料である。本研究ではCFRP積層構造体の板要素および構成するファイバーに外力を負荷した時に生じるキンク変形を積極的に利用して,残留応力分布の一般化力に相当する曲げモーメントを構造の中に織り込んだ新しいタイプのスマート構造のプレストレス設計に関する研究を行う。従来の軸力型のプレストレス設計に対して、異方性の制御、新しい構造モニタリングに応用できると期待される。

超臨界流体を利用した超深穴レーザー加工
吉木 啓介
兵庫県立大学
工学研究科 助教
100
超臨界二酸化炭素をアシスト流体とすることで超深穴レーザー加工を実現する.まず,本流体を利用した加工屑除去メカニズムを熱流体解析によって定量的に明らかにし,実実験との比較によってその正当性を確かめる.実験においては,加工,観察用にそれぞれ窓のついた圧力容器を用い,加工の様子をICCDカメラとレーザーパルス発振の同期により,サブマイクロ秒の時間分解能でコマ撮り撮影ができる機能を用いる.これにより,流体の流速分布を計測することで,計算結果と実際の違いを明らかにする.
機械力学の観点から見た膝関節再建術靭帯断裂メカニズムの解明武田 量
北海道大学
大学院 工学研究院 助教
100
本研究では膝関節靭帯の断裂メカニズムを解析する.万能材料試験機,膝関節固定用治具,恒温高湿庫からなる実験装置を作成する.実験では膝関節の代替モデルとしてブタ膝モデルを用いる.膝関節固定用治具に膝モデルを設置し,乾燥劣化を防ぐため恒温高湿庫内で力学試験を行う.材料試験機駆動部と関節固定用治具間には力覚センサを介し荷重を測定する.恒温高湿庫には試験片挿可能な操作口を設置し,靭帯組織が断裂するまで膝モデルに荷重を与える.靭帯組織断裂時の荷重・トルクを力覚センサにより測定する.

資源性と安全性に優れたFe2VAl熱電材料の高効率化に向けた基礎研究
木村 耕治
名古屋工業大学
大学院工学研究科 助教
100
熱電発電は、材料の両端に与えた温度差により生じる起電力を利用して廃熱を電気エネルギーに変換する技術である。その高効率化を目指した材料探索がなされているが、実用材料は毒性、希少元素を含むため広く普及していない。Fe2VAl熱電材料は、資源性や安全性に優れた汎用な材料として期待されている。しかし、熱伝導率が高く効果的に温度差を保つことができないことが課題である。本研究では、熱伝導低減に寄与する第四元素ドープの効果を最先端の放射光技術によって原子レベルで解明する。

触媒スクラップ中の白金族金属を効率的に分離回収する新技術の開発
谷ノ内 勇樹
東京大学
生産技術研究所 助教
100
白金族金属(PGM)に分類される白金、パラジウム、ロジウムは、自動車の排ガス浄化触媒に不可欠なレアメタルであり、資源の安定確保や地球環境の保全のためリサイクル技術の高度化が重要な課題となっている。回収対象であるPGMは、スクラップ中の微量成分であるとともに、水溶液中への溶解・抽出が難しい元素である。そこで本研究では、無電解めっき法を利用してPGMを選択的に鉄合金化する新しい手法を応用し、触媒スクラップ中のPGMを、磁力によって濃縮分離するとともに、酸に溶解しやすくする環境調和型技術を開発する。
合 計 33件 3,500


 「マツダ研究助成奨励賞」一覧  ●

マツダ研究助成奨励賞は、マツダ財団設立30周年を記念して2014年度より新設されました。
科学技術振興関係の助成対象の中から、若手研究者を主たる対象とし、選考委員会が特に優れた研究であるとみなした4件の研究に対して授与されるもので、副賞として研究助成金50万円が追加助成されます。

研究代表者 所属(役職は応募時) 研 究 題 目
雷 霄 福井大学 学術研究院工学系部門講師 キンク変形を応用した炭素繊維強化積層構造体の曲げモーメント織込型プレストレス構造設計に関する研究
【選考理由】 本研究は、CFRP積層構造体の板要素および構成するファイバーに外力を負荷した時に生じるキンク変形を積極的に利用して、残留応力分布の一般化力に相当する曲げモーメントを構造の中に織り込んだ「力学構造を連成した機能構造設計」の学術的指針を提案するものである。これによって、異方性の制御などアクティブ機能性複合材料の開発に大きく貢献でき、その先進性と実用性にも優れている研究内容に対して、奨励賞を贈呈する。
米陀 佳祐 金沢大学新学術創成研究機構助教 降雪時の自動運転のための環境変化適応型の自己位置推定
【選考理由】 本研究は、積雪時の自動運転の課題である自車位置推定の精度について、ノイズの影響を考慮した観測モデルと観測情報の再構成アルゴリズムにより 悪天候下でも頑健な位置推定手法を提案するものである。これによって、地図の特徴物が遮蔽される積雪時などにおける自動運転技術が大幅に向上することが期待でき、その革新的な高い技術内容に対して、奨励賞を贈呈する。
田邉 一郎 大阪大学大学院基礎工学研究科助教 遠紫外分光法によるイオン液体の電極界面における電子状態研究
【選考理由】 本研究は、電極界面でのイオン液体(アニオンとカチオン)の挙動と電子状態を明らかにするため、独自に開発した減衰全反射型遠紫外分光装置と理論計算を基に、物質の電子状態を直接反映する遠紫外から紫外域(波長150-300 nm)における電圧印加下での電極界面の吸収スペクトル測定を実現するものである。独創性、先進性に優れた研究計画が提案されており、大きな成果が期待でき、その高い技術内容に対して奨励賞を贈呈する。
吉村 哲 秋田大学大学院理工学研究科准教授 革新的な電界駆動型磁気デバイスの創製に向けた高機能強磁性・強誘電薄膜材料の探索・合成
【選考理由】 本研究は、室温で強磁性かつ強誘電性を示す単相の薄膜材料を用いて電界印加のみにより完全に磁化方向を反転させることができる超大容量・超低消費電力の革新的な「次々世代磁気デバイス」を世界にさきがけて実現することを提案するものである。この革新的な電界駆動方式は、これまでの電流磁界の印加や流行の偏極スピンの注入とは全く異なる方式であり、その先進性と実用性にも優れている研究内容に対して、奨励賞を贈呈する。

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