助成実績
科学技術関係 研究助成
第39回(2023年度)マツダ研究助成一覧 −科学技術振興関係−
助成金額は一律100万円。但し、「マツダ研究助成奨励賞」に選出されたものは、50万円の追加助成。◆:循環・省資源に係わる研究
研 究 題 目 | 研 究 代 表 者 (役職は応募時) |
助成金額 (万円) |
静水圧による超分子センサーの動的制御 | 東京工業大学 福原 学 准教授 | 100 |
最近申請者が垂直に立ち上げている“静水圧による超分子センサーの動的制御”を目的 としている。溶液中に等方的にかかる力学の一種として捉えられる静水圧は、弱い相互作用が支配的な超分子系を制御する手段としては最適と考えられている。本申請では、「如何にして静水圧で超分子センサーのヘリシティー反転を引き起こすことができるのか?」を追求する。 | ||
◆有機‐無機ペロブスカイト化合物の構造制御と水素発生 | 上智大学 竹岡 裕子 教授 | 100 |
持続可能な社会に向けて、エネルギー政策は重要な役割を担っている。エネルギーを低炭素に転換する1つの方法として有望視されているのが、水素の利用である。水素は燃料電池の原料ガスとしても用いられる。水素発生には、酸化チタンや半導体、金属錯体などの光触媒が用いられるが、より幅広い波長の光を利用できる光触媒が必要とされている。本研究では、太陽電池材料として非常に注目を集めている有機‐無機ペロブスカイト化合物の優れた光吸収能と電荷移動効率を利用することで、効率的な水素発生のための光触媒を得ることを目的とした。 | ||
◆高温作動型-固体高分子形燃料電池用電解質膜を指向し、粒子間架橋による3次元伝導経路を構築した電解質膜の創製 | 山形大学 増原 陽人 教授 | 100 |
高温作動型-固体高分子形燃料電池用の新規電解質膜を開発し、水素社会実現の一助とする。本研究では、ナノ粒子表面に高温環境(100℃以上)でのプロトン伝導を実現可能な高分子化イオン液体(PIL)を被覆した機能化ナノ粒子を作製し、粒子同士を架橋することで新規電解質膜を作製する。 この電解質膜では、機能化ナノ粒子表面が2次元伝導経路となる。さらに、粒子間で架橋(接続)されることで、巨視的には、PILが連続した3次元プロトン伝導経路を形成し、HT環境下での高プロトン伝導を可能とする。 | ||
◆再利用可能かつ強靭なイオンゲル材料の開発 | 岐阜大学 橋本 慧 助教 | 100 |
医療・IoTの分野において、ウェアラブルデバイスの発展に繋がる柔らかくしなやかな電気化学材料が望まれている。一方で、何度も曲げ伸ばしできる強靭性と使用後の再利用可能性の両立は、克服すべき課題の一つである。本研究では、揮発しないイオン伝導性の液体である「イオン液体」と高分子網目からなるイオンゲルを用いてこの課題の解決を目指す。(1)熱で溶ける網目を使った再利用可能な高分子網目(2)高分子が延伸して規則的に並ぶと強靭になる「伸長誘起結晶化現象」、の2つの活用による新規材料開発を目指す。 | ||
◆非鉄系合金の結晶成長方位制御のための熱流最適化と機械的性質への影響 | 津山工業高等専門学校 関 一郎 准教授 | 100 |
炭素繊維強化プラスチックは任意の方向に繊維を積層させることで優れた機械強度が実現可能である 一方,複合材料であるが故に再利用が困難である.一方で金属材料は溶融凝固で組織が再生されるため,再利用が容易である.金属材料に析出する結晶成長と温度の間には密接な関係があり,これを適切に制御することで結晶成長の方向性を制御できる可能性がある.本申請研究では熱処理方法の最適化により金属材料の析出相に指向性を持たせることで複合材料同等の極めて高い機械強度を有する金属材料開発を行うものである. | ||
◆ルイス酸部位を有する発光性錯体ナノ空間を用いた省エネルギーアンモニア分離 | 東北大学 芳野 遼 助教 | 100 |
アンモニア(NH3)は高いエネルギー密度を持ち、燃焼時に二酸化炭素を排出しないことから次世代のエネルギー資源として注目されている。しかし、冷凍凝縮を介した分離にかかるエネルギーやNH3の毒性から、効率的な分離法および高感度なセンシング材料の開発は窒素循環社会の実現における重要な課題である。本研究では、NH3の選択的吸着を可能にする発光性錯体・錯体格子を合理的に構築し、高効率なNH3分離の実現、さらにNH3分離を光学的に検出可能な多機能性材料の創出および機構解明に取り組む。 | ||
非平衡熱力学に基づくノズル流れの数理的研究 | 苫小牧工業高等専門学校 有馬 隆司 准教授 | 100 |
本研究では,微細スケールのノズル流れの理解を目的に,新しい非平衡熱力学理論である「拡張された熱力学」を用いた理論的・数値的解析を行う.特に,従来の流体力学理論や気体分子運動論では捉えきれなかった分子内部自由度緩和効果,実在気体効果,階層的な非平衡効果を定量的に検討する.微細ノズル流れの新規現象や非平衡性を利用した流れ制御の可能性を明らかにし,これを用いて微細ノズルを活用した高度な流体制御技術の開発や微細スケール流体科学の基盤構築に貢献することを目指す. | ||
次世代製造装置のサーボシステムに向けた適応学習と機械学習を融合した超精密繰り返し制御の開発 | 東京都市大学 藪井 将太 准教授 |
150 |
我が国の主要産業である製造業の発展,および競争力強化のため,次世代製造装置への応用に向けた適応学習と機械学習を融合した超精密繰り返し制御に関する研究を行う.次世代製造装置においては,生産性の向上,および多種多様な製造が求められる.この要求に応えるため,本研究では機械学習を用いて動的環境に対する汎化性の高い制御パラメータを導出し,さらに特定条件で制御系を最適化できる適応学習と組み合わせることで,幅広い動作条件に対応できるロバスト性と高精度制御を両立した制御手法を開発する. | ||
◆表面弾性波による非接触高感度生体マイクロゲルセンサの開発 | 東京農工大学 倉科 佑太 准教授 |
100 |
水を主成分としたハイドロゲルの中で,外部刺激に応じて反応する高分子が生み出されてきた.この刺激応答性高分子を用いたセンシングデバイスは,環境負荷が低く,人体にもやさしいことから循環・省資源を目指した現代社会において,理想的な材料として期待されてきた.しかし,従来のセンシング方法ではハイドロゲルの変化量の評価が困難であった.そこで,本研究では,刺激応答性高分子と超音波に着目した新しいハイドロゲルの生体センシングデバイスを開発することを目的とした. | ||
◆空間反転対称性の破れた超伝導体における交差相関現象の創製 | 京都大学 成田 秀樹 特定助教 | 100 |
これまで強磁性体や反強磁性体を用いた超伝導の制御は数多く試みられてきたが、その逆である「超伝導による磁性の制御」の報告はほとんどない。本研究で、超伝導電流による磁性の制御が確立できれば、エネルギー損失が極めて少なく、ゼロ磁場で動作する超伝導デバイスの発展に繋がる。また、電流による磁性の制御を超伝導体で実現することは、超伝導体のスピントロニクスへの応用だけでなく、電流を新たな制御パラメーターとした非平衡定常状態下における超伝導の研究の開拓にも繋がると考えられる。 | ||
◆変形型移動機構を備えた小型水上自律移動ロボットの効率的な定点維持と直進移動 | 立命館大学 藤井 康之 特任助教 | 100 |
本研究では、水圏環境観測のための小型水上自律移動ロボットに効率的な定点維持移動と直進移動が可能な変形型移動機構を搭載し、長期的かつ連続的な観測を実現することを目指す。急速な地球環境の変化により水質や生態系への影響が生じており、従来の人手による観測に代わる水上・水中ロボットに注目が集まっている。本研究では、実環境において定点維持と直進移動を実現する変形型移動機構を研究し、効率的な移動によって長期的かつ連続的な水圏環境観測手法について研究する。 | ||
◆正浸透膜分離への応用を指向した動的共有結合を有するポリマーの化学構造制御による高性能駆動溶液の開発 | 神戸大学 松岡 淳 助教 | 100 |
従来の逆浸透膜(RO膜)法よりも省エネルギーな膜技術として、正浸透膜(FO膜)法が注目されている。正浸透膜法にて効率的な海水淡水化を行うためには、高い浸透圧を有し、さらに水から溶質(駆動溶質)を容易に回収できる駆動溶液が必要不可欠である。本研究では、刺激に応答して可逆的に結合・開裂することのできる動的共有結合を利用し、高浸透圧を示す分子構造と水から容易に回収できる分子構造とを任意に制御することで、高い浸透圧と水からの容易な回収性を両立する駆動溶質の開発を目指す。 | ||
◆エレクトレットにより帯域を拡張するゼロパワー加速度センサの実現 | 神戸大学 本間 浩章 准教授 | 100 |
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)加速度センサは、カメラの手ブレ補正や車のエアバックシステムなど様々な機能を実現してきた。近年、居住空間やオフィス等の狭い空間に加速度センサを複数配置し生活者の行動を振動によりセンシングすることで、効率的な家電機器使用を行う省エネ技術(HEMS)や感染症予防システム等への新しい展開が期待されている。本研究では、無電源で振動を測定可能なゼロパワー加速度センサを実現する。これにより、小型電池でも長期間の連続駆動を可能とし、振動センシングにより社会課題の解決を目指す。 | ||
◆金属有機構造体の極性置換基を利用したカルシウムイオン電池の開発 | 米子工業高等専門学校 清水 剛志 特命助教 |
100 |
カルシウムイオン電池(CIB)は、電解液中のカルシウムイオンCa2+を正極と負極上の活物質に挿入脱離することで充放電でき、理論的には現行のリチウムイオン電池の2倍の体積エネルギー密度をもつ次世代蓄電池として注目されている。しかし、電解液中の極性分子と強く溶媒和するCa2+は正極活物質に挿入しづらいため、CIBの容量および充電時間の改善は困難だった。本研究では、極性置換基をもつ金属有機構造体によって正極|電解質界面でCa2+の脱溶媒和を促し、実用的なCIBを開発する。 | ||
長期トレーニング中のモチベーションをリアルタイムに定量化し評価する手法の開発 | 富山県立大学 小柳 健一 教授 | 100 |
本研究は,長期トレーニング中のモチベーションをリアルタイムに可視化・定量化して,評価することを目的とする.特にリハビリテーションにおいて,トレーニングごとに多様な生体情報を用いてモチベーションを定量的に解析し可視化する,人工知能(AI)技術を用いて生体情報をリアルタイムで解析しモチベーションの定量化をリアルタイムに実現する,上肢リハビリロボットを用いたトレーニング課題で本当にモチベーションが維持または向上しているのか検証することを通じて,その手法を開発する. | ||
超高フレームレート動画撮像のためのデータ駆動アルゴリズム設計 | 大阪大学 早川 諒 助教 | 100 |
圧縮イメージングはカメラのフレームレートを超えた時間解像度の動画を撮像するための技術であり、交通監視や自動運転などへの応用が期待されている。しかし、圧縮イメージングにおいて圧縮された観測データから動画を復元する手法の復元精度は、多数のパラメータの設定値に大きく依存する。本研究では、深層学習技術を応用してパラメータの適切な値を自動的に学習する手法を開発し、超高フレームレート動画撮像の実用化のための基盤となる情報処理技術の確立を目指す。 | ||
◆ナノシート積層型ナノファイバーと複合化された環境適合型高機能高分子材料の開発 | 福岡工業大学 宮元 展義 准教授 |
150 |
本研究では、我々が最近開発した新素材である「ナノシート積層型ナノファイバー(NSナノファイバー)」を複合化した、環境適合型の高機能高分子材料を開発することを目的とする。具体的には、NSナノファイバーを導入した高強度ゲルおよびエラストマーの合成を試みる。NSナノファイバーは、積層した単分散無機ナノシートから形成されている。構造単位が非共有結合で連結したファイバーであるため、オンデマンド分解特性の付与も可能で、サステイナブルな新規ナノファイバー材料としての応用が期待される。 | ||
◆酸化物を導電体媒介層とする絶縁体への貴金属フリーめっき技術の開発 | 信州大学 清水 雅裕 准教授 | 100 |
本研究では,不導体の表面処理におけるプロセスイノベーションとして,酸化物を媒介層とする貴金属フリー電気めっきに挑戦する.不導体上に塗布した酸化物へのプロトン挿入に基づく導電体化によりめっき反応を進行させる.従来の無電解めっきで使用されるPdやPtなどの触媒貴金属が不要となり,圧倒的な低コスト化が狙える.これにより,無電解めっきにおいて毒性や発がん性が指摘されている錯化剤や還元剤も一切不要となる.本プロセスは量産への展開も可能であり,従来の表面処理を刷新する可能性を秘めている. | ||
◆空と陸のネットワーク基盤におけるモニタリングデータ配信制御方式の提案 | 芝浦工業大学 宮田 純子 准教授 | 100 |
全てのサービスがアプリケーションのように操作可能となるスマートシティにおけるCity as aServiceを実現させるためには、大量のストリーミングデータを常に処理し続ける情報ネットワーク基盤が必要となる。これまでのネットワーク基盤の研究においては、地上バックボーンネットワークのみに着目した基盤技術開発が主であった。本研究では、空の情報ネットワーク基盤も利用することで、空のモニタリングデータを地上ネットワーク基盤で処理する空と地上のデジタルツインネットワーク基盤を構築し、高画質・低遅延なデータ配送方式を実現させることで、City as a Serviceに寄与することを目的とする。 | ||
導電性高分子を用いた新規固体放射線検出器の放電制御方法の研究 | 群馬工業高等専門学校 深澤 永里香 助教 |
150 |
有機材料(ポリアニリン)を用いた新規な放射線検出器の開発を行っている。半導体放射線検出器の材料である無機半導体は高コストであり,高純度結晶のために曲面加工が困難なことから,検出器の作製において実質的制限が生じる。多様化する検出器への要求や無機半導体デバイス開発の研究資源枯渇といった問題に対して有機半導体を用いた新しい検出器開発から解決を目指す。 本研究では実用化に向けて放電によるセンサの動作不安定性を解決すべく、最適なクエンチャーの探索を行う。 | ||
外部歪みによる核四極子相互作用チューニングと核偏極操作の実証 | 北海道大学 鍜治 怜奈 准教授 | 100 |
今日,半導体結晶での核四極子相互作用 (NQI) が再注目されている.核偏極の「安定化」と「緩和」の両方に寄与するNQIは,強い有効磁場として核スピン系のエネルギー構造を大きく変化させ,新規物理現象のソースとなり得ることから,本相互作用の理解を深めつつ,その制御法を模索することは核偏極の応用範囲を拡大する上で不可欠である.本申請課題では,NQIの影響下における電子・核スピン結合系の物理を深く理解すると共に,NQIをチューニングノブとした非平衡核偏極の制御法を開発することを研究目的とする. | ||
◆マルチポッド型単分子膜材料の開発とペロブスカイト太陽電池への応用 | 京都大学 化学研究所 TRUONG MINH ANH 助教 |
100 |
本研究では,ペロブスカイト層からの正孔を回収する材料に着目し,独自のマルチポッド型正孔回収単分子膜材料の開発に取り組む.これらの材料では,上下のペロブスカイト層および電極基板のそれぞれに対して face-on に配向制御できるため,効率的な電荷回収が可能であり光電変換効率の向上が期待できるとともに,耐久性も飛躍的に向上する.この革新的な単分子膜材料の開発により,これまで有機半導体材料の欠点に由来していた導電性や耐久性などの課題を解決し,ペロブスカイト太陽電池の長期耐久性と高い光電変換効率(>23%)を実現する. | ||
◆希薄窒化物結晶のアンチモンサーファクタント媒介成長と太陽電池応用 | 豊橋技術科学大学 山根 啓輔 准教授 |
100 |
GaAsPN結晶は太陽電池を高品質かつ低環境負荷に作製するためのキーマテリアルである。しかし、結晶中の原子配列の乱れが太陽電池作製に向けた課題である。最近、申請者は、結晶への放射線照射実験から、原子配列の乱れを解消する新原理[K. Yamane et al., JJAP 61 (2022) 020907.]を発見した。本申請では、この原理を放射線を用いない結晶成長技術へ応用するため、アンチモンサーファクタント媒介成長法(アンチモン添加による成長様式の変調)を検証する。さらに、計算機実験からも成長メカニズムを考察し、結晶中の原子の配列制御の方法を確立する。 | ||
通信障害発生時における有機的なオペレータ間協調アクセス方式に関する多角的な研究 | 早稲田大学 齋藤 恵 専任講師 |
150 |
本研究では、モバイルネットワーク分野及び6Gの発展に貢献することを目標として、Device-to-Device (D2D)通信を用いて有機的に端末間協調通信を行うことによって、通信障害が発生した際でもサービスの提供を可能にすることや、端末の駆動時間の延長を可能にすることを目指す。更に、本研究では、バッテリ残量がユーザに対して心理的・体感的にどのように影響を与えるのかをアンケートや生体情報から明らかにし、モバイル通信が人に与える影響を確かめ、より人に優しい有効な通信方式の検討に繋げていく。 | ||
弾性慣性フォーカシングを活用した大きな細胞のための画像活性分取法の開発 | 東京大学 丁 天本 助教 | 100 |
粒径の大きな細胞の形態と生理活性の関連の解明は、がん治療法の創出など様々な応用展開に寄与する。この目的の達成手段として、マイクロ流路内の細胞を画像に基づき選り分けるインテリジェント画像活性細胞選抜法(iIACS)が有用である。しかし、大きな細胞においては流路内での流れが安定せず、正確な分取が困難である。本研究では、大きな細胞を長い流路内の中心に維持して流せる、慣性弾性フォーカシングに着目した。このフォーカシング法をiIACS装置に組込むことで、大きな細胞の高精度な画像活性分取を可能にする。 | ||
ヘテロダイン検波を援用した非定常カーボンナノチューブ感温塗料計測の高精度化 | 東北大学 伊神 翼 助教 | 100 |
温度計測に基づいた流体計測技術であるカーボンナノチューブ感温塗料(Carbon NanoTube Temperature- Sensitive Paint, cntTSP)に対して,信号処理手法の一つであるヘテロダイン検波を援用することで,温度計測の高精度化に取り組む.これにより,層流から乱流への流れの境界層遷移の詳細な可視化が可能となる.本研究が完成することにより,100 Hzで変動するmKオーダーの温度変化を“面”で計測する技術の構築を目標とする. | ||
対麻痺者向け単一モータ駆動方式下肢アシストデバイスの開発 | 愛知工科大学 裴 艶玲 准教授 | 100 |
対麻痺患者は歩行が困難となるため、下肢装具を用いた日常生活活動(ADL)の向上を目指すリハビリを行う。HALO ActFreeは、股関節と足関節がリンクし、1つのモータを搭載した軽量かつ装着しやすい歩行アシスト装具である。しかし、膝関節の固定やフットクリアランスの制約があるなどの課題が残っている。本研究では、ActFreeの単一モータ駆動の利点を継承する同時に、上述した課題を解決し、自然な歩行や段差のある道への対応が可能な下肢アシスト装具の開発を目的としている。 | ||
合 計 28件 | 3,000 |
●●● 「マツダ研究助成奨励賞」一覧 ●●●
マツダ研究助成奨励賞は、マツダ財団設立30周年を記念して2014年度より新設されました。
科学技術振興関係の助成対象の中から、若手研究者を主たる対象とし、選考委員会が特に優れた研究であるとみなした4件の研究に対して授与されるもので、副賞として研究助成金50万円が追加助成されます。
研究代表者 | 所属(役職は応募時) | 研 究 題 目 | |
藪井 将太 | 東京都市大学 | 次世代製造装置のサーボシステムに向けた適応学習と機械学習を融合した超精密繰り返し制御の開発 | |
【選考理由】 (機械) | 機械学習等を使用して、制御系でサーボシステムの高精度化を図る研究であり、既存のハードウェアの精度限界を超える領域まで踏み込んでいる点が高く評価される。位置決め制御性能30%向上とする研究目標についても、これまでの研究実績から達成できる可能性が高いと判断する。本研究成果により、部品移動時間の短縮による生産性向上と、組立部品更新などの環境変化に即応できる新システム構築が期待できる。 | ||
齋藤 恵 | 早稲田大学 | 通信障害発生時における有機的なオペレータ間協調アクセス方式に関する多角的な研究 | |
【選考理由】 (電子・情報) | 本研究は、Device-to-Device通信による端末間協調通信によって、通信障害が発生した際のサービス維持や、端末の駆動時間の延長を可能にすることを目指しており、その社会的意義が極めて高い。また、研究課題として、本システムの有効性検証に加えて、ユーザーに与えるストレス影響を生理計測まで用いて解明するなど、本研究は独創的且つ、先進的な内容である。今後の展開が大いに期待できる本研究に奨励賞を贈呈する。 | ||
宮元 展義 | 福岡工業大学 | ナノシート積層型ナノファイバーと複合化された環境適合型高機能高分子材料の開発 | |
【選考理由】 (化学系材料) | 申請者が開発した「ナノシート積層型ナノファイバー(NSナノファイバー)」を複合化した、独創性の高い、環境適合型の高機能高分子材料を開発することを目的としている。この材料は、構造単位が非共有結合で連結したファイバーであるため、オンデマンド分解特性の付与も可能であり、サステイナブルな材料としての応用が期待され、早期の技術確立と実用化に向けた進展が大いに期待される。よって、奨励賞を授与する。 | ||
深澤 永里香 | 群馬工業高等専門学校 | 導電性高分子を用いた新規固体放射線検出器の放電制御方法の研究 | |
【選考理由】 (物理系材料) | 本研究は、有機材料を用いつつ、放電抑制を行うことで新規放射線検出器の開発を目指している。既存の無機半導体では高い製造コストや大面積化が困難であったが、フレキシブル性を有する有機材料の利点を生かすことで、様々な応用展開が期待できる。既に本申請に関わる萌芽的な研究成果も出ており、今後の研究展開が大いに期待される。この独創的で先進性に富む秀逸な研究に対し奨励賞を贈呈する。 |