助成実績

科学技術関係 研究助成

第30回(2014年度)マツダ研究助成一覧 −科学技術振興関係−

 助成金額は一律120万円。但し、「マツダ研究助成選考委員奨励賞」に選出されたものは、50万円の追加助成。
:循環・省資源に係わる研究
研 究 題 目 研 究 代 表 者
(役職は応募時)
助成金額
(万円)
アニオンドープによりSi員環構造を制御した新規水素分離膜の創製 金指 正言
広島大学
大学院工学研究院助教
120
水素を省エネルギー的に生産・分離回収するための水蒸気改質膜型反応器に関する研究が世界的に行われている。多孔性シリカ膜は、水素分離膜として有望であるが、水熱雰囲気で水素選択透過性が著しく低下する。水素選択透過性を向上させるためには、水素が透過しているシリカネットワーク構造をルースに制御する必要があり、アニオンドープによるSi員環構造制御を提案する。本研究では、アニオンドープによりシリカネットワークチューニングした新規水素分離膜を作製し、水素透過特性を評価することを目的とする。
スピーチプライバシー保護システムのブートストラップを利用したオンラインマスカー合成法 小林 洋介
都城工業高等専門学校
助教
120
病院やオフィスのオープンスペース化により、音声伝搬を遮る壁がなくなり、個人情報や機密情報を含む音声が会話の相手以外にも聴こえやすくなっている。このため、会話のスピーチプライバシーを保護する必要がある。本研究では、会話音声から合成したマスカー(聴取妨害音)を放射して会話内容を秘匿するシステムのマスカー合成手法を提案する。提案法は、発話者本人の音声をリアルタイムにフィードバックする合成法であり、従来手法よりも小さな音量でプライバシー保護効果が高いと考えられ、住空間・公共空間における音環境改善に貢献する。

次世代二次電池用電解質のための超分子イオン液体ゲルの開発
丸山 達生
神戸大学
大学院工学研究科准教授
120
本研究では、電池等の次世代電解質材料として期待されているイオン液体をゲル化するゲル化剤分子の開発を行う。ここでは、適切に分子設計した超分子ゲル化剤を用いることによって、ゲル化後も高い導電性を維持することを目指す。本研究では、電池実用上の大きな問題となっている電解質溶液の液漏れ・爆発性を、イオン液体のゲル化により防止する。ここでは、申請者がこれまで取り組んできた超分子ゲル化剤を用い、金属イオンの溶解性・運動性、および高い導電性を維持したまま固体電解質化することを目指す。

350℃耐熱!初めて『結晶』で創る新奇フレキシブル透明プラスチックフィルムの開発に資する、高分子透明化技術の新提案
藤森 厚裕
埼玉大学
大学院理工学研究科准教授
170
結晶性高分子は、結晶/非晶の混在状態である。この界面における透過光屈折が著しい為、高分子結晶が光伝送材料となった例は皆無であり、これが世に存在するプラスチック光伝送体の耐熱性欠如の最大要因とされる。本課題は世界で初めて「高密度非晶」形成に基づく、300℃耐熱の"結晶性"高分子フレキシブル透明材開発を行う。透明結晶性高分子は事故による人命保全に繋がる、車体軽量化に資する耐熱性光ファイバ構築も現実化する。加えて、ナノ粒子複合化に基づく耐熱化の革新向上とバリア能発現の可能性を探る。
高周波磁気抵抗素子を用いた磁場センサーの研究 三輪 真嗣
大阪大学
基礎工学研究科助教
170
電子の電荷と同時にスピンの自由度を利用するスピントロニクスには大きな期待が寄せられている。具体的には磁気抵抗素子から構成される磁場センサーがハードディスクドライブの磁気ヘッドに既に応用されており、更にはランダムアクセスメモリの開発も産業界を中心に精力的に行われている。本研究では従来の線形現象と異なり、提案者らが開発してきた非線形現象を用いる高周波磁気抵抗素子による高感度磁場センサーの検討を行う。実験および理論検討により従来の磁場センサーとの優位性を明確にする。
ソフト化学プロセスによる単原子層デバイスの形成と超高機能性の実証 川江 健
金沢大学
理工研究域准教授
120
本研究の目的は、次世代の半導体材料として期待されるモノレイヤーMoS2に対し、そのポテンシャルを最大限に発揮できるヘテロデバイス構造の創製および超高機能性を実証することである。具体的には、Ca2Nb3O10(CNO)ナノシートをゲート絶縁膜としたCNO/MoS2ヘテロMISFETをソフト化学プロセスで作製し、極限的な低次元構造である為に脆弱というモノレイヤーMoS2の本質的課題を克服した革新デバイス構造を実現する。さらに、CNOをテンプレート層とした強誘電体ゲートFET形成まで発展させ、巨大分極誘起による広範囲なキャリア変調に基づいたモノレイヤーMoS2の超高機能性を実証する。
分子配線を指向した光応答性自己集積材料の開発 中嶋 琢也
奈良先端科学技術大学院大学
物質創成科学研究科准教授
120
新原理に基づく光活性種生成反応の開発により、フォトレジストなどの光プロセスの根幹をなす光化学反応の効率化、さらに、次世代の分子配線技術への展開を目指す。光化学的に明瞭なメカニズム、高い反応効率を有し、単一の光生成物を与える6π電子環状反応に着目し、その後続反応として酸発生反応を設計する。既存のシステムに搭載可能な光酸発生剤の開発に加え、光酸発生により分子の集積能が誘起される光応答型自己集積材料の提案を通じて、光による分子操作技術の発展に貢献する。

らせん状多糖によるハイブリッド包接超分子マテリアルの開発
田中 知成
京都工芸繊維大学
大学院工芸科学研究科助教
120
持続可能な社会の構築に向けて、再生可能な植物由来素材から生産されるバイオベースマテリアルのひとつとして多糖類が注目を集めている。本研究では多糖類と合成高分子を酵素的に融合した新しい多糖超分子マテリアルを創製することを目的する。具体的には、ホスホリラーゼを触媒とする酵素的多糖合成反応を用いて、アミロース分子のらせん内部に合成高分子が包接されて形成する包接錯体の集合体(超分子ポリマー)を合成し、得られた超分子ポリマーのマテリアルとしての利用を図る。

レアアース磁石を用いない使い捨て磁気浮上遠心血液ポンプ用ベアリングレスモータの研究
土方 亘
東京工業大学
精密工学研究所助教
120
使い捨て磁気浮上遠心血液ポンプは、インペラの安定浮上のために、使い捨て部にレアアース磁石を用いて高い支持剛性を実現しているが、コスト面や元素戦略的観点からは望ましくない。そこで本研究は、レアアース磁石を用いない磁気浮上血液ポンプの実現を目的とする。具体的には、モータと磁気浮上の機能を一体化したベアリングレスモータを用い、回転中のモータ電流による支持剛性向上、および血液の減衰効果を考慮することで、レアアース磁石を用いずに安定浮上可能な磁気浮上遠心血液ポンプを提案し、評価を行う。
アルカリ土類フェライト超微粒子の創製と微細構造制御及びナノコンポジット光触媒材料への応用 小畑 賢次
北九州工業高等専門学校
准教授
120
資源量が豊富でエコ・フレンドリーな元素群で構成されるアルカリ土類フェライトは、グリーンマテリアルの有力候補であるが、通常、固相反応法で調製されている。このため、粗大化した比表面積の小さい粒子しか得られていない。本申請では、高比表面積を持つアルカリ土類フェライト粉体を省エネ合成するために、(1)熱処理温度や時間を低減した合成プロセスの開発、 (2)不純物添加による微細構造制御法の開発、 (3)ナノコンポジット化による高性能光触媒の創製を目的とする。

構造制御されたホウ素含有グラフェンの合成と解析
山田 泰弘
千葉大学
工学研究科助教
120
グラフェンの一番の欠点はその耐酸化性の低さにある。酸化はグラフェンのガス化を引き起こし、種々の用途の寿命を著しく低下させる。この耐酸化性能の劇的向上には、単一の含ホウ素官能基の導入が求められている。単一の含ホウ素グラフェンを合成するためには、合成技術だけでなく高い解析能力も要求される。本研究では、グラフェンの構造解析には欠かせないX線光電子分光分析 (XPS)と量子化学計算を用いて含ホウ素グラフェンのXPS解析を徹底的に行い、実際に単一の含ホウ素官能基が導入されたグラフェンの合成を行う。

大気圧プラズマにおけるガス加熱現象の解明と反応シミュレーションモデルの確立
小室 淳史
東北大学
大学院工学研究科助教
120
大気圧プラズマは次世代の環境改善技術や燃焼支援技術として、世界中から注目を集め、精力的に技術開発が行われている。しかしながら、プラズマの反応過程の多くは未解明であり、技術開発は理論ではなく経験に頼らざるを得ない。特に、大気圧プラズマによる加熱現象は、技術の安全性やエネルギー効率に大きく関与するために、無視することは出来ない。これに対し本研究は、大気圧プラズマで生じる様々な現象を正確に再現できるモデルを確立し、大気圧プラズマ技術の発展を加速させる原動力となることを目的とする。

発光材料としての「イガグリ状」シリコンマイクロ粒子のフルカラー発光化・高輝度化・長寿命化
稲澤 晋
東京農工大学
大学院工学研究院准教授
120
申請者が独自に作製するイガグリ状のシリコンマイクロ粒子は、紫外線を当てると赤く光る。本研究では、この粒子を改良して、フルカラー発光・高輝度・長寿命の3つを兼ね備えた無機発光材料を開発する。イガグリ状粒子は、SiCl4亜鉛還元反応で生成するシリコンマイクロ粒子を化学的に削る(エッチングする)と得られる。エッチングの程度や、イガグリ形状を適切に制御して、発光色のフルカラー化と高輝度化を行う。更には、粒子表面に有機分子を修飾して、酸化による輝度の減衰を防ぎ、長寿命化を図る。地球上に豊富に存在するケイ素のみで出来ている、「なじみ」があるシリコンで、高機能の発光材料を開発し、省資源に寄与する。

波長選択性光吸収メタマテリアルを用いた高効率放射冷却
石川 篤
岡山大学
大学院自然科学研究科助教
120
金属ナノ構造でできた人工光学材料“メタマテリアル”を用いると、従来にない特異な光学特性が実現できる。本研究では、所望の波長の光のみを選択的に吸収し、それ以外は完全に反射する、波長選択性光吸収メタマテリアルを創製する。光の吸収と放射は等価であることから、本手法を用いると所望の波長の放射を増大できる。この原理を応用し、光吸収・発熱の原因となる可視光は反射しつつ、熱放射を担う赤外光を高効率に放射することで、太陽光下においても非電化で自己冷却できる放射冷却デバイスへの応用に取り組む。

多重リレー協調通信における最適パケット分割と適応変調を用いた高速・高品質化に関する研究
井田 悠太
山口大学
大学院理工学研究科助教
170
近年の通信は高品質大容量データを用いたサービスを実現するため高速・高品質化が要求されている。この要求を満たすために、中継局を用いて複数の経路を利用する協調通信が提案されている。これまでに申請者は協調通信の更なる高品質なシステムを実現するために最小限のフィードバック情報を用いた最適パケット分割法を提案した。一方で、この方法は高速化の点で不十分である。本研究では更なる高速化を実現するため上記フィードバック情報を用いた適応変調方式を提案し、その有効性を実証する。
アナログ集積回路(IC)の“検証”に着目した技術者教育手法に関する研究 石川 洋平
有明工業高等専門学校
准教授
120
携帯電話やパソコンなどに代表される身の回りの電化製品の中で使われている集積回路(IC)は高機能化・高性能化しており我々の生活を豊かにしている。一方、微細化が進み昔のように箱を開けて中身を検証する事が難しくなってきておりブラックボックス化が急速に進んでいる。教育の現場においてもブラックボックス化は大きな問題となっており日本のミクロなものづくりの根幹を揺るがす可能性がある。よって、本研究ではアナログICを題材とした検証手法に着目してその教育効果について検討を行う。
マイクロ流体デバイスの新規動作原理と微量血液分析デバイスの研究 浮田 芳昭
山梨大学
大学院医学工学総合研究部助教
170
本研究では、自己制御型マイクロ流体デバイスを原理とする、超小型・安価・高精度な微量血液分析デバイスを実現する。血液分析では血球分離、免疫反応、反応器洗浄、酵素反応などで、何度もピペットによる操作が必要であった。血液分析を自動的に分析できるシステムが実用化されれば、在宅で血液検査を実施でき、通院が不要になり、健康寿命の増大や医療費の圧縮が実現できる。即ち、本課題では上記分析工程を自動実行する超微量分析デバイスを実現する。

ダイヤモンド状炭素(DLC)膜の大気圧局所的コーティングを実現する新規プラズマ・ペンの開発
吉木 宏之
鶴岡工業高等専門学校
教授
120
ダイヤモンド状炭素(DLC)膜は潤滑性、高耐磨耗性、耐食性に優れ多くの機械部品のコーティング材として用いられている。本研究では、注射針にガスを導入して高周波(RF)電圧を印加して注射針先端から大気中にプラズマ流を生成する新規『プラズマ・ペン』を用いて、CH4等の炭化水素ガスを原料とした大気圧プラズマ支援化学気相成長法によりDLC膜を局所的コーティング、または2次元パターンニングするプロセス条件の確立に向け、RF電力、DCバイアス等の成膜条件とDLC組成・構造の関連を解明する。
FPGAアクセラレータの性能と開発容易性を両立するマルチパラダイム設計フレームワーク 高前田 伸也
奈良先端科学技術大学院大学
情報科学研究科助教
120
近年の計算機システムでは、回路構成の変更可能な柔らかいLSIであるFPGAによるアクセラレータが用いられるようになってきた。本研究では、演算回路部分を細粒度に記述するHDLをベースとしたパイプライン記述言語と、システム全体の粗粒度のデータの流れを記述する制御記述言語の2つを併せ持つ、マルチパラダイムなFPGAアクセラレータ設計フレームワークを開発する。2つの言語パラダイムを要件に応じて使い分けることにより、FPGAアクセラレータ性能と開発コストの低減を両立する。

ITO代替・透明導電性酸化物(TCO)ナノ粒子の液相合成とインク化
村松 淳司
東北大学
多元物質科学研究所教授
120
タブレットPC、スマートフォンなどフラットパネルディスプレイをはじめとする液晶ディスプレイやタッチパネル等に使用される最先端材料である、透明導電性酸化物(TCO)材料について、ITO(インジウムスズ酸化物)代替物質となる、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、Nb-TiO2(ニオブドープアナタース型チタニア)について、サイズを10〜50nm程度に制御し、サイズ分布の標準偏差を10%程度まで揃えた、単分散ナノ粒子を、その形態を精密に制御し液相で合成すること、さらにそのナノインク化を本研究の目的とする。
その場観察法を用いたレーザ溶接の凝固割れ感受性評価法の確立と凝固割れ発生防止技術の開発 門井 浩太
広島大学
大学院工学研究院助教
120
構造物の高品質化に伴う材料の適材適所化やレーザ溶接の適用が図られている、これに伴い、異種材料溶接の増加や高速度化により、溶接中の凝固割れはより発生しやすくなるとされている。本研究では、その場観察を適用したレーザ溶接中の凝固割れ感受性評価法の確立を目的とする。割れ発生時の温度やひずみを高時間・空間分解能で測定し、高精度な高温延性特性を取得する。これを基に、冷却速度の高速化や化学組成が凝固割れ感受性に及ぼす影響を調査し、割れ発生防止に有効な条件範囲を導出する。
世界最小を目指した小児用人工心臓のための超小型ダブルステータ5軸制御磁気浮上モータの研究開発 長 真啓
茨城大学
工学部助教
120
小型、高耐久、かつ溶血、血栓を惹き起こさない小児用人工心臓は存在せず、この現状を打破できる工学技術として磁気浮上モータが着目される。本研究では、二つのモータステータのみで浮上ロータ5軸(x,y,z,θX,θY)制御可能な磁気浮上モータを新規に考案した。本モータを外径20 mm、高さ30 mm、体積10 cc以下に小型化できれば、世界最小、世界初の磁気浮上型小児用人工心臓を実現できる。三次元磁場解析、数値流体解析、ロータダイナミクス解析を活用し、5軸制御磁気浮上モータと人工心臓の超小型化に挑戦する。

超伝導材料・線材開発のキーテクノロジーとなるハイブリッド顕微法の確立
東川 甲平
九州大学
大学院システム情報科学研究院准教授
120
本研究の目的は、超伝導材料・線材開発のキーテクノロジーとなるハイブリッド顕微法を確立である。局所的な超伝導特性をμmオーダーで可視化できる磁気顕微法を開発し、電子顕微鏡による微細組織構造観察を組み合わせることによって、超伝導材料・線材の特性制限因子を直接的に解明できる基盤的評価スキームを確立する。本研究が成功すれば、超伝導材料・線材の作製プロセスに決定的なフィードバックを与えることが初めて可能となり、様々な超伝導応用に大きなブレークスルーをもたらすものと期待できる。
随意性眼球運動と不随意性眼球運動の比較による眼球運動の意図に関する生体信号解析 船瀬 新王
名古屋工業大学
大学院工学研究科助教
120
従来研究にて単純に眼球運動を行う前の脳波変動を明らかにしたが、眼球運動にはすでに提示されている視覚指標に対して自分の明確な意図によって行う眼球運動(随意性眼球運動)と視覚指標の提示に反応して行う眼球運動(不随意性眼球運動)がある。よって、眼球運動を予測するためにはこの随意性眼球運動と不随意性眼球運動を脳波から分類する必要がある。そこで本申請においては、 随意性の眼球運動時の脳波を計測し、随意性の眼球運動に着目しその脳波の性質を明らかにし、脳内情報処理機構の解明を行う。
皮膚を有する骨格筋アクチュエータの構築 森本 雄矢
東京大学
生産技術研究所助教
120
本研究では、骨格筋を覆うコラーゲン層上に皮膚を配置し、空気中で長期間駆動可能な骨格筋アクチュエータの構築を目指す。生体外で構築された骨格筋は創薬や移植医療分野だけでなく、高い質量当たりの出力とエネルギー効率から工学分野での駆動素子としての応用が期待されている。しかし、作製された骨格筋は液中でのみ収縮運動が可能であり、空気中では駆動できなかった。皮膚で骨格筋を覆うことで乾燥を防止し、空気中での骨格筋の長期駆動が実現可能なことを示す。
合 計 25件 3,200


 「マツダ研究助成選考委員奨励賞」一覧 ●

マツダ研究助成選考委員奨励賞は、マツダ財団設立30周年を記念して2014年度より新設されました。
科学技術振興関係の助成対象の中から、若手研究者を主たる対象とし、選考委員会が特に優れた研究であるとみなした4件の研究に対して授与されるもので、副賞として研究助成金50万円が追加助成されます。

研究代表者 所属(役職は応募時) 研 究 題 目
浮田 芳昭 山梨大学大学院医学工学総合研究部助教 マイクロ流体デバイスの新規動作原理と微量血液分析デバイスの研究
【選考理由】 本研究は、流体の自己制御性を利用することで安価に血液分析デバイスを実現するものである。これは、超小型・安価・高精度な微量血液分析デバイスであり、従来の血液分析では血球分離、免疫反応、反応器洗浄、酵素反応と、何度もピペットによる操作が必要であったが、これらを自動的に分析できるシステムが実現できる。研究構想も論理的で、実現に向けた計画も具体性が高い。この技術が完成した際の適応範囲の広さや社会貢献度は群を抜いていると考えられ、この研究を奨励賞とする。
井田 悠太 山口大学大学院理工学研究科助教 多重リレー協調通信における最適パケット分割と適応変調を用いた高速・高品質化に関する研究
【選考理由】 本研究は、近年の通信の大容量データ化と高速・高品質を両立するための通信技術の高度化が求められている中、複数の中継局を利用した協調通信における負荷を最小にし、高速化を実現する新しい方式を提案するものである。将来の社会的な貢献が期待できる研究であるため、ここに奨励賞を贈呈する。
藤森 厚裕 埼玉大学大学院理工学研究科准教授 350℃耐熱!初めて『結晶』で創る新奇フレキシブル透明プラスチックフィルムの開発に資する、高分子透明化技術の新提案
【選考理由】 本研究は、耐熱性に優れるプラスチック光伝送体を、世界で初めて「高密度非晶」形成に基づく、300℃耐熱の"結晶性"分子フレキシブル透明材創出により開発するものである。本研究により、燃費・安全性向上に繋がる車体軽量化に資する耐熱性光ファイバ構築も現実化する可能性がある。加えて、自動車はもとより、工業製品の多くの領域に展開可能な技術であり、大きなブレークスルーが期待できる夢のある研究である。よって、奨励賞に値する。
三輪 真嗣 大阪大学基礎工学研究科助教 高周波磁気抵抗素子を用いた磁場センサーの研究

【選考理由】 本研究は、世界的にも電子の電荷と同時にスピンの自由度を利用するスピントロニクスに大きな期待が寄せられている中、従来の線形現象と異なり、非線形現象を採用した独創的な高周波磁気抵抗素子による高感度磁場センサーの研究を行うものである。この研究から得られる成果は生体内現象の解明、医療等の広範囲の分野に波及する可能性があり、将来の社会的な貢献が期待できる研究であるため、ここに奨励賞を贈呈する。

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