助成実績
科学技術関係 研究助成
第27回(2011年度)マツダ研究助成一覧 −科学技術振興関係−
◆:循環・省資源に係わる研究研 究 題 目 および 研 究 概 要 | 研 究 代 表 者 (*役職は応募時) |
助成金額 (万円) |
キラルなラダー型ポリシルセスキオキサンの創製と発光分子とのハイブリッド化による円偏光発光材料の開発 | 金子 芳郎 鹿児島大学 大学院理工学研究科准教授 |
100 |
円偏光発光材料は、次世代3Dディスプレイの偏光光源としての応用が期待されていることから、この材料の簡便な創製手法である発光分子とキラル分子とのハイブリッド化に関する研究は非常に重要である。そこで本研究課題では、耐久性に優れるキラリティー誘起材料として、キラル基とイオン性基を側鎖に有する可溶性ラダー型ポリシルセスキオキサンを創製し、このSi-O骨格キラリティー誘起材料とイオン性発光分子とのハイブリッド化による円偏光発光材料の開発を行う。 | ||
◆ 二酸化炭素を利用した太陽光誘起光触媒的分子変換プロセスの開発 |
井出 裕介 広島大学 大学院工学研究院助教 |
160 |
太陽光を利用した不均一系光触媒では化学製品をエコでクリーンに生産できる可能性があるが,反応が遅い,副生物が多いという問題がある。申請者は最近,太陽光によるベンゼン/フェノール変換を,市販のTiO2ベース触媒を用い,反応をCO2雰囲気で行うだけで効率的かつ選択的に行うことに成功した。本研究ではこのCO2添加法の工業プロセスへの応用を念頭に,シクロヘキサン/シクロヘキサノン変換など様々な選択的酸化反応を光触媒やCO2分圧を変え網羅的に評価しその汎用性を確認する。 | ||
セシウムイオンを強力かつ選択的に認識可能な有機ホスト化合物の創製 | 近藤 慎一 山形大学 理学部准教授 |
100 |
福島第一原子力発電所から漏洩した放射性物質、特にセシウム137を捕捉し、回収する技術の必要性が高まっている。この緊急の課題に対応するため、我々が開発した二つのビスアザクラウン、もしくはクラウンエーテルと尿素部位を分子内に併せ持つ2,2'-ビナフタレン誘導体を合成し、そのセシウム認識能について検討を行う。また、クラウンエーテル部位の分子構造を調整することにより、セシウムに対して強力にかつ選択的に認識可能な有機ホスト化合物の構築を試みる。 | ||
蒸発成分を含む単結晶育成技術の確立と育成された単結晶の酸化物イオン伝導特性に関する研究 | 中山 享 新居浜工業高等専門学校 教授 |
100 |
高い酸化物イオン伝導性を示しc軸方向に伝導路を持つアパタイト型構造を有するLa-Ge-O系の単結晶育成を目標とする。La-Ge-O系は高温での蒸発成分GeO2を含むため、その単結晶育成に一般的な高温溶融状態を必要としない申請者らが開発した「焼結法による単結晶化」技術を用いる。育成されたLa-Ge-O系単結晶から伝導機構が解明し、La-Ge-O系セラミックスの伝導率向上手段を確立する。それによって、La-Ge-O系セラミックスを電解質に用いた600〜700℃中温域SOFCの実用化を確実にする。 | ||
◆ 高い酸素還元触媒能を有する白金サブナノクラスターのサイズ選択的合成法の確立とその機能発現メカニズムの解明 |
根岸 雄一 東京理科大学 理学部第一部講師 |
120 |
白金は燃料電池の電極材料として広く利用されている。しかしながら、希少元素であるため、触媒活性を高め、使用量を極限まで抑えることが大きな課題となっている。本研究では、高い酸素還元触媒能を有するサブナノサイズの白金クラスターを対象に、1)触媒機能の構成原子数依存性、及び2)触媒機能の発現メカニズムを明らかにする。こうした研究を通して、高活性な白金触媒のサイズ選択的合成法を確立するとともに、より高活性な触媒クラスターの開発に向けて明確な設計指針を打ち立てることを最終目標とする。 | ||
◆ ナノカーボンを用いた新規太陽電池の創製 |
吉武 剛 九州大学 大学院総合理工学研究院准教授 |
100 |
直径数nmのダイヤモンド結晶を水素化アモルファスカーボンが取り囲む構造を持つ混相膜は、ダイヤモンド結晶の界面に起因すると考えられる大きな光吸収を可視域で示し、これに対応した光電流を確認している。本研究では、この可視域の吸収で発生する光電流を太陽電池に応用することを目指す。具体的には、半導体としての伝導型とキャリア濃度の制御を実現して、pn接合型太陽電池を試作して、この材料の太陽電池材料としての可能性を検証する。 | ||
◆ 光合成の光捕集機構に倣った有機薄膜太陽電池の創製 |
浅岡 定幸 京都工芸繊維大学 大学院工芸科学研究科准教授 |
120 |
我々はすでに、完全垂直配向シリンダー型ミクロ相分離薄膜の相分離界面をテンプレートとして、緑色光合成細菌の光捕集複合体に見られるような、色素分子が環状または管状に集積化した構造を、一段階で簡便に作製する手法を確立している。本研究ではこの色素構造体を基に、光捕集部と電荷分離・輸送部を構築し、互いに協働させることによって、緑色光合成細菌の光捕集複合体の構造と機能を人工系で再現した光電変換デバイスの作製を目指す。 | ||
◆ トポロジー最適化を用いた流体発電システムのエネルギー効率最大化 |
山田 崇恭 名古屋大学 大学院工学研究科助教 |
100 |
トポロジー最適化法に基づき、エネルギー効率最大化を目的とした流体発電システムの最適形状・形状形態の創成設計法の開発を行う。自然エネルギーは供給量が一定ではないため、単に、従来の風力発電やタービン型発電システムの高効率化を図っただけでは大幅な性能向上は期待されない。本申請研究では、構造形状の幾何学的変形を利用して、流体力の変化により自動的に最適な形状に変形する機能を持った構造を創成設計する。これにより、今までにはない画期的な超高効率発電システムの開発が可能になる。 | ||
マイクロ波照射中の多成分流体のパターン形成機構の解明〜その場観察技法による相変化理論の新展開〜 | 朝熊 裕介 兵庫県立大学 大学院工学研究科准教授 |
120 |
特定の物質のみを選択的かつ急速・均一に加熱することができるマイクロ波照射は、高分子材料の合成や分離・分解プロセスで注目を浴びている。これらの合成の場合、多成分系で行われ液液界面が存在し、その制御は重要である。しかし、このマイクロ波のプロセスでは誘電特性が異なる液液界面の現象は複雑となり、マイクロ波漏洩や炉の形状の制限によって、内部を観察した例は皆無である。そこで、各種光学測定を用い、マイクロ波照射が界面の挙動に及ぼす影響を考察し、その理論の構築から高機能材料合成に役立てる。 | ||
黒鉛の光核反応を用いたホウ素ドープ高品質グラフェン作製プロセスの研究 | 小川 修一 東北大学 多元物質科学研究所助教 |
100 |
黒鉛シート1層であるグラフェンは特異な電気伝導特性を持つため、次世代電子デバイスや素粒子物理学研究への応用が期待されている。グラフェン中の炭素原子を異原子で置き換えるドーピングを行うことができれば、グラフェンの応用および基礎研究において有用であるが、未だ高品質のドーピンググラフェンは作製されていない。本研究は黒鉛へのガンマ線照射によって、炭素の一部をホウ素へ変換し、ホウ素ドープされた黒鉛を形成する。その黒鉛を用いて、高品質ホウ素ドープグラフェンを作ることを目的とする。 | ||
◆ フェムト秒レーザーによる有機電気・光学材料の高品質結晶化法の確立 |
吉川 洋史 埼玉大学 大学院理工学研究科助教 |
120 |
本研究では、フェムト秒レーザー誘起キャビテーションバブルによる低過飽和溶液での強制的結晶核発生法を用いて、次世代電気・光学素子として期待されている有機光学・電気材料の高品質結晶化を目指します。そのために、キャビテーションバブルの挙動に影響を与える、(1)溶媒(2)溶質構造をパラメータとし、レーザー核発生の最適条件を探索します。さらに、キャビテーションバブルの高速膨張収縮挙動をモニターすることで、有機材料におけるレーザー核発生の根本原理に迫ります。 | ||
多次元空間における"揺らぎ"がもたらす巨大圧電・誘電応答特性-環境調和型非鉛系酸化物の創製と巨大物性機構の解明- | 横田 紘子 千葉大学 大学院理学研究科助教 |
100 |
本研究は物質のもつ"揺らぎ"に着目をし、積極的に利用することで巨大な物性応答を示すような新規材料開発を目指すものである。特に、強誘電体分野では有害な鉛Pbイオンに代替する物質の探索が急務であるが、本研究では第一原理計算においてPbに匹敵する物性を示す可能性が示唆されている錫Snイオンに着目をし、環境調和型物質の作製・評価を行う。 評価手段としては分極の発生や空間反転・時間反転対称性の破れを敏感に感知することが可能な光第2高調波システムを用い、歪や揺らぎと物性との関係性を明らかにする。 | ||
◆ 次世代超高張力鋼板としての複層鋼板の力学特性とプレス成形性の解明 |
大家 哲朗 慶應義塾大学 理工学部専任講師 |
110 |
本研究では、高強度と高延性を同時に実現することが期待されている積層構造を持つ鉄鋼材料の変形時の力学特性とプレス成形性の解明を目指した研究を行う。対象とする複層鋼板では高強度低延性材料と高延性材料が交互に積層されており、通常の単層材料とは異なる性質を持ち、実用化のためには力学特性とプレス成形性の解明が必要である。本申請課題においてこれらの問題を解決し、複層鋼板の実用化を推進する。軽量化による移動体の低燃費化や低エミッション化を達成し、地球環境の保全へ貢献する。 | ||
異なるモダリティと統合可能な錯触覚利用技術の研究 | 嵯峨 智 東北大学 大学院情報科学研究科助教 |
100 |
近年、情報インタフェースとして、iPadのようにマルチモーダルな情報との統合を目指したデバイスが世にあふれるようになって久しい。我々はさらに触覚情報を提示可能であり、かつ視覚などマルチモーダルな情報と齟齬をおこすことなく同時に利用可能なインタフェースの開発を目指す。このとき、錯触覚を積極的に利用することで、触覚におけるリッチな質感を提供し、布などのテクスチャ感を提示可能な方式を検討する。プロトタイプとして剪断力を利用し、錯触覚と力覚を同時に提示可能な触覚提示手法を提案する。 | ||
◆ 透過電子顕微鏡その場観察によるフルオロカーボンの固体潤滑メカニズムの微視的解明 |
石田 忠 東京大学 生産技術研究所特任助教 |
150 |
摩擦や摩耗がもたらすエネルギーロスは資源的、経済的に非常に重要な課題である。そのため、固体潤滑の研究が盛んに行われているが、そのほとんどが経験的なものであり、そのメカニズムを実験的に追及する研究はほとんど行われていない。そこで我々は固体潤滑のメカニズムを微視的視点から解明する研究を行っている。そこで、さまざまな場面でテフロンとして用いられているフルオロカーボンの固体潤滑メカニズムを解明し、摩擦や摩耗によるエネルギーや資源のロスを最小限に抑えることを目的とする。 | ||
低出力モータで駆動するロボットによる重量台車の段差搬送技術の確立 | 池田 英俊 富山高等専門学校 准教授 |
100 |
相撲などに見られる重量物体を押す動作時に人間が行う「上腕部のボディ前面への押し付け動作」を小型で低出力なモータにより駆動するマニピュレータ(ロボットアーム)を備えた移動ロボットで模倣することで、その移動ロボット以上の質量をもつ台車の段差移動支援を実現する技術を確立する。さらに、逆に段差乗り上げを終えた台車の質量を利用することで、ロボットの段差移動も実現する新規的なロボットシステムの構築法を示す。 | ||
◆ 錯体集積体による超イオン伝導性ヘテロ界面の創成 |
堀毛 悟史 京都大学 工学研究科助教 |
130 |
固体中でプロトン(H+)を高速で流すプロトン伝導体は、燃料電池のコア材料として、あるいはガスセンサーとして幅広く求められている。本研究では新たな固体材料である「錯体集積体」を用い、高機能プロトン伝導体の合成を行う。錯体集積体は金属イオンと有機配位子から合成され、バルク構造・界面構造の多様性が極めて高い。この多様性・設計性を利用し、特にナノ界面で起こる特異的なイオン伝導場を構築・制御し、超プロトン伝導の実現やデバイスへの応用展開を図る。 | ||
◆ 電気二重層コンデンサを電源とした昇圧型DCDCコンバータのパフォーマンス駆動コントローラの開発 |
大西 義浩 愛媛大学 教育学部准教授 |
100 |
電気二重層コンデンサは大容量、長寿命、大電流による充放電可能という特徴をもつため、回生ブレーキ等のエネルギー再利用の蓄電用途に期待されている。しかしながら、充電電圧が低いため、多くの機器の使用に際し昇圧が必要である。昇圧に用いられるDCDCコンバータには、負荷変動に対しても電圧を一定に保つことが要求されるが、充放電を繰り返すを電気二重層コンデンサを電源とした場合、電源側にも変動が起こるためその制御は難しい。本研究ではDCDCコンバータの電圧制御において制御性能(パフォーマンス)を監視し、これを高く保つように自己調整するパフォーマンス駆動型コントローラを開発することを目的とする。 | ||
◆ 浮体式洋上発電用風車の制振に関する研究 |
原田 祐志 広島大学 大学院工学研究院助教 |
110 |
近年、我が国においても自然エネルギーの利用が叫ばれ、欧米はもとより、国内でも政府の支援を受け発電用風車の建設が急ピッチで進められている。特に、日本では風車の設置場所である陸地は飽和状態になり、洋上発電が大きな注目を集めている。この洋上発電は風の影響だけではなく、波の影響も受けるため、陸上用風車よりも振動問題が重要となる。本研究では、ジャイロ作用を利用した制振装置、および同調液体ダンパーにより、浮体式洋上発電用風車の振動問題の解決を目的とする。 | ||
◆ 蛍光でON-OFFを識別するスイッチ材料の開発 |
前多 肇 金沢大学 理工研究域准教授 |
170 |
CD、DVDなどの光ディスクの記録層には様々な無機材料および有機材料が使われているが、これまでON-OFFの読み取りは反射率すなわち吸収スペクトルの変化に頼ってきた。ブルーレイディスクに代わるより次世代光ディスクのON-OFF読み取り方式として、より高感度な蛍光読み取り型方式を提案し、有機化合物の可逆的反応によって実現可能であることを実証する。具体的には、原料または生成物のどちらかが強い蛍光を発する可逆的反応系をデザインし、原料や生成物の物性評価を行なう。 | ||
◆ 低価格マイコンを実現する逐次比較型A/D変換器の新設計法 |
兼本 大輔 九州大学 大学院システム情報科学研究院助教 |
140 |
本研究の目的は、自動車や電化製品に用いるマイコンの低価格化を実現する為の逐次比較A/D変換器新設計法の提案にある。マイコンは逐次比較型A/D変換器回路を内蔵していることが多く、そのA/D変換器内ではキャパシタアレイが大部分の面積を占有している。本研究では、A/D変換器に用いる参照電圧に中間電位を追加する事で、キャパシタアレイで表現できる情報量を増やす技術を考案・検証する。これによりシリコンウエハ1枚当たりから得られるチップ数が増加し、マイコンの低価格化が期待できる。 | ||
超小型低消費電力CMOSワンチップ放射線検出器の研究 | 岡田 健一 東京工業大学 大学院理工学研究科准教授 |
200 |
本研究では、安価かつ小型な放射線検出器用のセンサーの研究開発を行う。腕時計や携帯電話に組み込み可能で、1個あたり100円程度の製造コストで実現することを目的とする。組込みのため、5mm角の寸法で待機時消費電力0.01mW以下を目標とする。センサーの実現には、シリコンCMOS半導体チップとPET材(ペットボトルの材料)を用いる。シリコンCMOS半導体チップは、非常に安価で作成可能なのが特徴であり、PET材に放射線を照射すると紫外光を発する現象を利用し、その紫外光をCMOSセンサーで読み出す放射線センサーの研究開発を行う。 | ||
人間協働型ロボットのための低コストかつ柔軟な操作力検出手法に関する研究 | 李 秀雄 山形大学 大学院理工学研究科助教 |
100 |
本研究では人間協働型ロボット(HCR)における人の操作力検出を、低コストでかつ柔軟に実現する手法の開発を目的とする。ここで「柔軟」とは,感触的な柔軟さと機能的な柔軟さの意味を兼ねて持つ。研究目的を達成するため本申請課題では、エアクッション、空気圧センサ、外乱オブザーバ、および接触面積変化推定器により構成される、これまでにない全く新しい操作力検出システムを開発し、検出された操作力に基づいてHCRの制御実験を行い、提案する操作力検出手法の有用性を検証する。 | ||
◆ 製品の資源循環戦略の策定とその製品設計への展開に関する研究 |
福重 真一 大阪大学 大学院工学研究科助教 |
130 |
製品の一生における資源消費量やエネルギー使用量を最小化するためには、製品の最適な資源循環戦略を策定すると同時に、その戦略の実現性を最大限に高めるような製品構造を設計することが必要不可欠である。本研究では、製品の資源循環戦略とこれを実現する手段としての製品設計との関係を形式化し、戦略に基づいた効率的な製品構造を設計するための戦略・製品統合型ライフサイクル設計手法を開発する。また、3次元CADシステムをベースとして開発した手法の計算機支援環境(ライフサイクルCAD)を構築する。 | ||
◆ 太陽光でCO2還元を実現する無機半導体チップの創生 |
波多野 睦子 東京工業大学 大学院理工学研究科教授 |
120 |
太陽光を用いてCO2を貯蔵可能なエネルギーに変換を行う技術を、無機半導体チップ(人工光合成システム)により高効率・低コスト・高耐久性で実現することを最終目的とする。助成期間2年で、3C-SiC、Si半導体、カーボン薄膜をベースとしたバンドエンジニアリングにより太陽光の広い波長領域の光吸収を可能とし、さらにミクロ・ナノスケールの構造の制御により固体と液体の界面での光化学活性反応の促進、ならびにキャリア輸送の向上を図ることにより、高効率光合成チップを試作し、CO2還元の可能性を実証する。 | ||
合 計 25件 | 3,000 |