助成実績

科学技術関係 研究助成

第23回(2007年度)マツダ研究助成一覧 −科学技術振興関係−

研 究 題 目 および 研 究 概 要 研 究 代 表 者
(*役職は応募時)
助成金額
(万円)
ポリビニルシランの炭素−ケイ素結合の酸化的切断を利用したポリビニルアルコールおよびその誘導体の合成 井原 栄治
愛媛大学 大学院
理工学研究科准教授
100
ビニルシランの単独重合および共重合により得られるポリマーの、炭素−ケイ素結合を酸化的に切断して水酸基とすることによる、ポリビニルアルコール(PVA)およびPVA共重合体の合成について検討する。適当なビニルシランを選択し、その重合を制御して分子量・分子量鎖の立体構造、共重合体組成等の構造因子の制御された前駆体ポリマーを合成する。これに酸化的変換反応を施すことにより、従来の合成法では得ることのできない構造を有するPVAおよびその誘導体合成の実現が期待できる。
穏和な反応条件下での触媒的窒素固定反応の開発 西林 仁昭
東京大学 大学院
工学系研究科准教授
100
100年も以前に開発され、現在でも使用されている窒素固定反応の工業的プロセスであるハーバー・ボッシュ法に取って代わる、省エネルギープロセスである穏和な反応条件下での触媒的な窒素固定法の開発を行う。ハーバー・ボッシュ法は窒素ガスと水素ガスからアンモニアを合成する工業的手法であるが、高温高圧が必要なエネルギー多消費型プロセスである。この方法に取って代わる次世代を担う次世代の省エネルギープロセスの開発を目標とする。
環状テトラピロール分子の自己集積による光機能性有機-無機複合ナノマテリアルの創製 佐賀 佳央
近畿大学
理工学部講師
120
太陽光を効率よく利用できる光機能性ナノ材料の創製は、持続可能型社会を形成するための今世紀の大きな目標である。そこで本研究では、天然の優れた光機能性素子である光合成超分子構造を模倣した、環状テトラピロール分子の自己集積による光機能性有機-無機複合ナノマテアルを新たに開発し、太陽光を有効利用できる光エネルギー変換デバイスや可視光応答型光触媒への展開を目指す。あわせて「自発的なナノ構造形成による有機-無機複合材料の構築」という省エネルギー型材料開発を目指す。
SiCトレンチ側壁における結晶面ずれの制御とMOSトランジスタの高性能化 矢野 裕司
奈良先端科学技術大学院大学
物質創成科学研究科助教
160
本研究では、超低損失な次世代パワーデバイスとして期待されているSiCのトレンチMOS構造の研究を行う。従来のSiC基板にはオフ角と呼ばれる傾斜角が付いており、これにトレンチ(溝)を形成するとトレンチ側壁の結晶面は結晶学的な基準面から「ずれ」が生じてしまう。そのトレンチ側壁の結晶面からの「ずれ」に着目し、その「ずれ」がトランジスタ特性に与える影響を評価する。そして、結晶面の「ずれ」を制御して高性能トランジスタを実現できるSiC基板のオフ角・オフ方向を提案する。また、パルスを活用したダイナミック測定によりトレンチMOS界面電子物性を詳細に評価し、結晶面の「ずれ」との相関を調査する。
電気化学ソフトアクチュエータを用いた力誘起電流の起電力応用 高嶋 授
九州工業大学 大学院
生命体工学研究科助教
100
本研究は、電気化学アクチュエータで生じる力誘起電流の研究である。電気化学アクチュエータは「電気化学エネルギー」→「力学エネルギー」変換素子であるが、同素子に対照機能としての「力学エネルギー」→「電気化学エネルギー」変換機能性を検討する。本機能は起電力効果であり、新規な「発電素子」としての利用が期待される。本研究は、アクチュエータの駆動特性との対比から、力誘起電流の対照機能性を立証すると共に、アクチュエータの性能向上プロセスを利用した、発電機能の性能向上を目指す。
リチウムイオン電池の大型化を指向した含ホウ素有機−無機ハイブリッド全固体型電解質の創製 西原 康師
岡山大学大学院
自然科学研究科准教授
100
現在、エネルギーを効率よく利用でき環境負荷物質の排出を飛躍的に低減する電気自動車が注目を集めている。電気自動車に搭載するリチウム二次電池の高性能化には、電解質の機能向上が不可欠であり、これまでに開発されている液体状電解質は、可燃性などの安全面に問題があるから全固体型の電解質の実用化が望まれている。本研究では、大型化に耐えうる電気自動車用リチウムイオン電池の開発を指向し、有機―無機ハイブリッドな含ホウ素固体電解質の創製を目的としている。
離散事象システムに対するロバストスケジューリング方法とその交通工学分野への応用 五島 洋行
長岡技術科学大学
工学部准教授
100
本研究では、同一プロセスを繰返し実行する離散事象システムのスケジューリング問題について検討する。特に、鉄道などの交通システムへの応用を念頭におき、モデルの記述能力向上や外乱に対するロバスト性の保証などを重点的に検討する。モデリングはDioid代数と呼ばれる離散数学を用いて行うが、システムの振る舞いが現代制御理論の状態空間表現に類似した形式で表されることに特徴がある。このため、システムの取扱いが容易である一方で、現時点では適用範囲が狭いという課題もあり、適用範囲の拡大・実用性の向上を第一義として研究を進捗させる。
シリコンベース発光材料開拓のためのシリコン/鉄シリサイドにおける赤外発光ダイナミクスの解明 太野垣 健
京都大学化学研究所助教
100
シリコンベースの発光材料の高効率化・実用化に向けて、シリコンから発光体へのエネルギー移動機構の解明・最適化が重要な課題となっている。本研究では、光励起ダイナミクスの観点から、エネルギー移動機構の解明を狙う。紫外光パルスによる瞬間的な電荷生成と時間分解近赤外発光計測装置の構築・適用により、シリコンから発光体への間のエネルギー移動機構に関する知見を得る。これをもとに、シリコンデバイス構造の光機能を評価し、新しいシリコンベース発光デバイスの考案を行う。
超短光パルスを用いた透明材料の高速な接合 玉木 隆幸
奈良工業高等専門学校助教
100
接合技術は自動車、建設、航空・宇宙、電子機器といった『ものづくり』分野における基盤技術であり、我が国製造業の国際競争力強化のためには、さらなる技術の高度化が望まれている。最近、超短光パルスを用いた透明材料間のマイクロ接合法が発明され、革新的技術として世界各国で研究が行われている。本研究では、この超短光パルス接合法を発展させ、マイクロレンズアレイやシリンドリカルレンズによる波面整形技術を利用したパラレルプロセスの接合法を提案し、接合時間の短縮および大面積の接合を行う。
水溶液からのセラミックス薄膜の非加熱直接析出技術の確立 鵜沼 英郎
山形大学 大学院
理工学研究科准教授
100
水溶液に基板を浸すだけの操作によって、SnO2、CeO2、TiO2などのセラミックス薄膜を形成する技術のスケールアップを行う。本手法は、水溶液中で上記の固体を析出する化学反応を進行させる際に、基板への不均一核形成が優勢になるように反応条件を制御するものである。本手法には、全く非加熱でセラミックス薄膜が形成できること、基板のサイズや形態を問わないことなどの利点があるので、スケールアップ技術を確立することにより、自動車用ガラスへの熱線反射コーティング・UVカットコーティング・光触媒・色素増感太陽電池などの製造の低コスト化・省エネ化が図れる。
球面収差補正電子線トモグラフィーによる3次元ナノ構造解析手法の確立 藤田 武志
東北大学金属材料研究所助教
100
本研究の目的は、最先端の球面収差補正電子顕微鏡を用いることで、最も分解能の高い3次元ナノ構造解析手法としての電子線トモグラフィーを確立することである。可視化だけでなく3次元解析ソフトウェアを開発することで、ナノ・バイオテクノロジーに見合った観察・解析手法を同時に確立する。
プログラム自己組織化法による垂直配向性半導体ナノワイヤーの超精密加工 是津 信行
大阪大学
大学院工学研究科助教
100
リソグラフィの解像度に支配されない高分解能とクリーンな近代的微細加工技術の開発は急務である。新しい微細加工技術として自己組織化法が挙げられるが、加工精度において従来のトップダウン法に大きく劣る。本研究課題では、外部刺激や鋳型を用いることによってナノ構造材料の自己組織化プロセスの制御をおこなう。大面積基板上において、要望する機能を、要望する場所に、要望する量だけ作製可能な先進的なものづくり技術を開発する。具体的には、メートル級大面積基板上に精密に配列させた金ナノ粒子を起点として、垂直型ナノワイヤー電界効果トランジスタを作製する。
ベイジアンネットワークを超える統計的因果推論技術の開発:統計科学・OR・反事実モデルの融合を目指して 黒木 学
大阪大学 大学院
基礎工学研究科准教授
150
本研究の目的は,実質科学に潜む因果推論問題を解決するために、OR、統計科学、反事実モデルを融合した新たな因果推論技術の開発を行うことである。この目的を達成するために、線形計画法,統計科学,反事実モデルを融合した因果効果推測法を開発し、未観測交絡因子問題や測定誤差問題を解決する。また、ケースコントロール研究における因果効果推測問題を非線形計画問題に帰着させ、これと反事実モデルを融合させた新たな因果推論技術を開発する。これらの研究によって,統計的因果推論に新たな機軸を加えることができるだけでなく、欧米の因果推論技術に対して優位的差別化を行うことができる。
局所非平衡状態を利用した超高温火炎の創生 中村 祐二
北海道大学 大学院
工学研究科准教授
100
平衡状態における燃焼温度は燃料と酸化剤の量およびその初期に持つエンタルピ(予熱の程度)によって決まるため、通常は初期条件が決まれば燃焼温度、いわゆる断熱火炎温度は確定する。しかしながら「強い非平衡状態」を伴うと、一時的にその温度を超える場合がある。本研究ではこの状態を制御して断熱火炎温度を超える燃焼温度をもたらすバーナ「変則対向流拡散火炎(十字火炎)」を開発し、”超”高温場の創生の可能性を探る。このバーナ開発にあたり燃焼制御性に関して基礎的な知見を深める。
ソレノイドのブレークスルーを目指したリニアアクチュエータの開発 關 正憲
岡山大学 大学院
自然科学研究科助教
100
本研究課題では、ソレノイドの代替技術として、精密位置決めと高荷重出力を両立させるリニアアクチュエータ(特許第3887689号)を掲げ、解析と実験の両面から最適設計したリニアアクチュエータとソレノイドの性能比較を行う。考案したリニアアクチュエータは、ねじと歯車で構成されることから、機械的に直動出力を生み出すことができ、機構的に位置保持が可能である。この特徴を最大限に活かし、ソレノイドの代替としたリニアアクチュエータの実用化を目指すことを目的とする。
非比例変形を受ける高張力鋼板塑性変形挙動実験観察とそのモデル化 上森 武
広島大学 大学院
工学研究科助教
110
自動車車体の軽量化と衝突安全性の向上を実現する高張力銅板を、現時点よりも更に自動車部材への適用する為に、高張力銅板のプレス成形性をより高精度に予測可能とする数値シミュレータの開発を行う。上記開発に当たり、本研究では高張力銅板材料モデルの高精度化に注目した。具体的には実際のプレスで生じる複雑な変形履歴を高張力銅板に加え、その応答を再現する材料モデルを構築する。更に有限要素法などのコンピュータ数値シミュレーションに上記材料モデルを導入し、高精度シミュレーション技術を構築する。
構造規制ナノ微粒子の表面構造評価と酸素還元触媒への応用 中村 将志
千葉大学 大学院
工学研究科助教
100
均一な形状とサイズを有し特定の表面構造だけをもつ白金ナノ粒子を調製し、燃料電池において重要となる酸素還元反応の高効率化を目指す。白金の使用量を削減を目指すため、より安価な銀ナノ微粒子を核として白金は銀ナノ微粒子表面に修飾する。表面X線回折法や新しい表面増強分光法をナノ粒子に適用し表面構造および酸素還元反応メカニズムを調べ、触媒反応を活性化するサイトを原子レベルで理解する。燃料電池の発電性能試験を行い劣化や耐久性についても測定する。
大気圧非平衡マイクロ波プラズマジェットによる新型太陽電池材料の開発 湯地 敏史
大分工業高等専門学校
助教
140
色素増感太陽電池(DSCs)は、シリコン太陽電池に代わる次世代の太陽電池として注目を浴びており、材料となる酸化チタン(TiO2)薄膜に窒素をドープすることにより現状DSCs(発電変換効率15%程度)よりも約8%向上する。DSCs成膜は、TiO2のパウダー膜化している。本研究では、窒素ガスを用いた大気圧マイクロ波プラズマによりTiO2パウダーをプラズマ処理により成膜化すると同時に、プラズマ中からの窒素ラジカルにより膜表面を窒化改質して発電変換効率を23%まで向上させることを目標としている。
MOSFETのしきい値電圧を参照した基準電圧源回路とその応用に関する研究 廣瀬 哲也
北海道大学 大学院
情報科学研究科助教
100
本研究では、次世代・極低電力半導体集積回路の開拓に向けた基盤要素回路、特に基準電圧源回路の構築を行う。シリコンのバンドギャップを参照する従来技術とは異なり、抵抗を用いずにMOSFETのみからなる基準電圧源回路を構築する。構成回路はMOSFETのしきい値電μW以下の極低電力で動作する。次世代ユビキタス社会のキーデバイスとなりうる基礎的回路技術の構築を行う。また本成果は、現行のLSI設計にも応用可能であり、新しいLSI技術となりうる発展性の高い設計研究である。
マルチバンドギャップ半導体を用いた高効率太陽電池の開発 鍋谷 暢一
山梨大学 大学院
医学工学総合研究部准教授
160
クリーンエネルギーの代表である太陽電池の高効率化を目的とし、禁制帯中に中間バンドをもつマルチバンドギャップ半導体を作製する。中間バンドを介した光学遷移を利用することにより、高い起電力を保ち、かつ禁制帯幅以下のエネルギーの光も有効に吸収できる。マルチバンドギャップ半導体を太陽電池へと応用し、60%近い理論効率をもつ半導体太陽電池の開発を行う。太陽電池の高効率化は、携帯電話やデジタルカメラなどモバイル機器への搭載を可能とし、ユビキタス通信を支える要素技術へと発展する。
ガラス強化繊維複合材料(GFRP)の界面強度劣化メカニズムの解明とそれを利用したGFRP解体プロセスに関する研究 大宮 正毅
慶應義塾大学
理工学部専任講師
100
ガラス繊維強化複合材料(GFRP)は比強度が高く、自動車・建設産業など様々な分野で利用されている。しかし、ガラス繊維と樹脂といった異種材料が混合した状態で成型されているため、その分離が容易ではなく、リサイクル性が問題となっている。ガラス繊維強化複合材料は外線に照射されると、光化学反応により機械的強度が劣化し、特に,ガラス繊維と樹脂との界面強度が低下する。本研究では、紫外線照射によるGFRPの界面劣化メカニズムを解明し、それを利用したGFRP解体プロセスの提案を行う。
氷点下起動時における燃料電池多孔質電極内水分の凝縮・凍結挙動の3次元計測と能動制御技術の開発 西田 耕介
京都工芸繊維大学 大学院
工芸科学研究科講師
100
固体高分子形燃料電池(PEFC)は、次世代の自動車用動力源として期待されているが、実用化に向けて解決すべき課題は多く、中でも、氷点下起動時の水分凍結による出力低下は深刻な問題である。そこで本研究では、燃料電池多孔質電極内の空隙構造を高分解能かつ非接触で3次元計測できる可視化計測システムを開発し、氷点下起動時におけるPEFCカソード電極内の水分の凝縮・凍結挙動をin-situで直接計測できるようにする。さらに、水分輸送を能動的に制御させる高機能電極構造を新たに提案し、上記問題の解決を図る。
複合配位子型金属錯体色素の固体光電子物性の制御と分子集積デバイスへの応用 大山 陽介
広島大学 大学院
工学研究科助教
120
本研究では、有機EL、有機太陽電池、有機FETなどのオプトエレクトロニクス素子へ応用可能な新しい固体機能性色素材料の創製を目指す。色素間の分子間相互作用を制御することで色素本来の優れた光電子機能を発揮できる固体機能性色素創成の方法論を確立することを目的として、蛍光性色素を配位子とした新規な複合配位子型金属錯体色素の分子設計・合成、固体光電子物性の評価、結晶構造の解明を行う。さらに、本金属錯体色素を用いた有機ELや色素増感太陽電池の改善についても検討する。
超音波マイクロマニピュレーションのドラッグデリバリーシステムへの応用 江原 真司
九州大学 大学院
総合理工学研究院助教
100
ドラッグデリバリーシステム(DDS)は投与方法や形態を工夫し、物質の体内での動きを精密にコントロールする技術・方法論である。DDSの目的には薬物の徐放や吸収促進などがあるが、本研究では超音波照射で発生する音響放射力による微粒子操作を薬物のターゲティングに応用することを目的とし、その基礎研究を行う。具体的には音響放射力への、流体の粘性や物体の弾性、音波ビーム形状の影響を実験的に明らかにし、マイクロメートルオーダーの微小粒子に作用する音響放射力のメカニズムを解明する。
高いキュリー温度を有する強誘電体による三次元構造キャパシタの作成と高温データ保持特性の改善 齊藤 丈
大阪府立大学 大学院
工学研究科准教授
100
本研究は、高温での強誘電特性に優れる高いキュリー温度を有するアルカリ金属含有ビスマス-チタン系層状構造強誘電体を薄膜化し、その電気特性等々を調べる事で、金属ドーパントの果たす役割を明らかにしようとするものである。また、貴金属めっき、有機金属気相成長などで形成した三次元構造上に強誘電体薄膜を形成し、電気特性の評価、局所的な結晶構造の改善を通じて、強誘電体メモリーの高集積化、高温データ保持特性の改善を試みるものである。
立方晶窒化ホウ素厚膜形成技術を用いた難削材加工用ツールの開発 堤井 君元
九州大学 大学院
総合理工学研究院准教授
120
立方晶窒化ホウ素(cBN)はダイヤモンドに次ぐ硬さと、鉄系材料との低反応性、高温耐酸化性というダイヤモンドより優れた利点を有する。フッ素の強力な化学作用を利用する独自の”cBN厚膜形成技術”を、難削材加工用工具の超硬コーティングへ応用し、ワイドユースな“cBNコーティング工具”の実現を目指す。それによって、機械加工プロセスのコスト削減、生産性・精度向上を図るとともに、我が国の産業経済の活性化、レアメタルの省資源、環境負荷低減などに資する。
微小電極を用いた濃度場計測によるマイクロ空間内液相反応流場の解明 長津 雄一郎
名古屋工業大学 大学院
工学研究科助教
120
申請者は、間隔300μmの微小隙間内で低粘性液体が高粘性液体を置換する反応流場は、生成物分布が反応物質の濃度に大きく依存する現在知られている唯一の反応流場であることを明らかにし、これは反応面が低粘性、もしくは高粘性液体側に位置するかの違いが、隙間の間隔方向に分布を有すると推測される二液体の境界の特異な形状の影響を受け、反応面と境界の相対的な位置関係が大きく異なることに起因するという物理モデルを提唱した。本研究では、この物理モデルの正当性を検証するために、感応部が数μmの微小電極を用い、間隔300μm の微小隙間内の間隔方向の濃度場直接計測を試みる。
多様化する燃料の不均一系における燃焼および消炎現象に及ぼす雰囲気成分の効果 中谷 辰爾
大阪府立大学 大学院
工学研究科助教
100
近年,自動車用内燃機関では環境負荷物質を低減するために、排気再循環の量を増しており、雰囲気中に大量の水蒸気や二酸化炭素が含まれる。これらの雰囲気成分は燃焼や消炎に大きな影響を及ぼすがその物理的あるいは化学動力学的影響は未だ明らかでない。また、バイオ燃料の使用をはじめ、燃料が多様化している。燃料の沸点や水蒸気の溶け込みなどの特性は異なっており、本研究は幅広い燃料に対し、雰囲気成分が燃焼挙動に及ぼす影響を調べる。それによりエンジンの燃焼効率の増大と燃料多様化への対応を目指す。
超音波による有機系材料中へのエタノール浸入深さの評価法の確立 酒井 哲也
東京工業大学 大学院
理工学研究科助教
100
エタノール混合ガソリンを貯蔵するタンクを想定した場合、現存するガソリンタンク等に使用されている有機材料は内部にエタノールを吸収する場合がある。この吸収が顕著な場合、強度低下を引き起こす可能性や金属材料のライニングであれば、剥離を生じる可能性が高い。そこで、非破壊検査の分野において実績がある超音波測定によって、有機材料、特に現在使用されている材料に着目し、材料内部に浸入するエタノールおよび水の浸入検知について検討する。
カゴ状結晶におけるゲスト原子の振動による熱伝導抑制機構の研究 荻田 典男
広島大学 大学院
総合科学研究科准教授
100
高効率を持つ熱電素材の開発は、「フォノンはガラスの如く、伝導電子は結晶の如し」("Phonon Glass Electron Crystal")の指針に従って、高い電気伝導度と低い熱伝導度を併せ持つ物質の創製を目標に行われている。本研究は、性能向上の指針をより微視的、具体的に提案する事を目指し、熱電素材において格子の熱伝導度がどのように抑制されているかを微視的に解明する事を目的とする。高い熱電性能を示すイオン充填したカゴ状結晶がもつ特徴的な原子振動状態を光散乱スペクトル計測法を用いて明らかにし、熱伝導特性との関連性を解明する。
合 計 30件 3,300

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