助成実績

科学技術関係 研究助成

第17回(2001年度)マツダ研究助成一覧 −科学技術振興関係−

研 究 題 目 および 研 究 概 要 研 究 代 表 者
(*役職は応募時)
助成金額
(万円)
光応答性有機磁性材料の開発 田中 耕一
愛媛大学工学部助教授
100
光照射で磁性が誘起される新しい光応答性有機磁性材料を開発する。まず、最近申請者が見出した光応答磁性を示すビインデニリデン誘導体を各種合成し、その光誘起磁性の本質を明らかにする。光照射前後でのX線結晶構造解析を行い、光誘起磁性と結晶構造や分子構造との関連を解明し、より優れた光応答性有機磁性材料の設計に役立てる。最終的には、光照射により強磁性が発現する「有機光磁石」の開発を目指す。
植物群落の構造がもたらす太陽短波放射の顕熱・潜熱フラックスへの分配の差異に関する実証研究 土谷 彰男
広島大学総合科学部助手
100
国立アマゾン研究所試験地(ブラジル国アマゾナス州ノボリプアナン市)の天然林と再生林の林冠部と林内で短波放射・長波照射・地中熱流・乾球温度・湿球温度を計測し、ボーエン比法で純放射量が顕熱・潜熱の絶対量、時間変化、昼夜の振幅を比較する。顕熱は樹木の光合成に直接関与し、天然林の林冠部や群落構造の単純な再生林において個体の成長(光合成)に結びつくが、潜熱への分配率の大きい林内では乾燥が抑えられることによって多くの種が定着できる環境にあることを熱収支項から説明する。
微結晶シリコン柱を含むヘテロ構造アモルファスシリコンカーバイトの作製と微結晶シリコン系太陽電池への応用 野々村 修一
岐阜大学工学研究科教授
110
微結晶シリコン柱を部分的に含むヘテロ構造アモルファスシリコンカーバイトは2.1eV以上の光学ギャップを有するために光学的窓層として光を十分に通し、数百Åのナノサイズの微結晶シリコン柱を含むヘテロ構造のために電気伝導性を向上させることができる。そのために開放電圧と短絡電流の改善が期待できる。この材料を微結晶シリコン系薄膜太陽電池の光窓層として応用するためのヘテロ構造の技術を確立し、変換効率を100%以上に向上させる。
低温型有機溶融塩電解による自動車用Zn-Mg合金めっきの開発 香山 滉一郎
姫路工業大学工学部教授
100
溶液中(水溶液、溶融塩など)からのZnあるいはZn合金めっきは古くから研究されてきた。これらの中で申請者らが注目するのは、Zn-Ni合金めっきと比較しても約5倍の耐食性を示すZn-Mg合金めっきであり、材料表面の耐食性を向上させる非常に有望なめっきであると考える。本申請研究では、自動車用素地鋼板へのめっきを考慮して、鋼板の強度を低下させる心配がない低温(〜150℃)において、工業的にも大量生産が可能な電析法を用いて、高耐食性を有するZn-Mg合金めっきを作製する方法を開発することを目的とする。
酸化物高温超伝導電力機器用としての個体窒素冷媒に関する研究 中村 武恒
京都大学工学研究科助手
100
酸化物高温超伝導機器用の冷媒として固体窒素の研究を行う。窒素冷媒は、通常液体状態にて使用されるが、これを凝固点以下の極低温領域、つまり固体状態で使おうという発想である。極低温における固体窒素の比熱は他の冷媒に比較して高い。故に、固体窒素にて機器を30K程度まで冷却して運転すれば、性能や安定性等が格段に向上すると考えられる。しかしながら、この研究は殆ど行われていないためにその実現可能性については明らかでない。従って、固体窒素冷媒の可能性について研究する。
ナノサイズ組織体が急激に加熱された場合に発生する熱衝撃波による内部損傷の熱工学的解明 鳥居 修一
鹿児島大学工学部助教授
100
たんぱく質やDNAなどのようなミクロレベルで分子が組織的に集合して形成する集合体、即ちナノサイズ組織体が現在注目されており、その利用形態が検討・提案されている。その組織体の形成加工にはレーザーが用いられているが、レーザーによって材料を急激に加熱すると熱衝撃波の発生が考えられる。一旦、熱衝撃波が発生すれば、設定した温度以上に材料が高温になるので、その組織構造が破壊される可能性がある。従って、その特性や発生機構を実験と対応する数値解析によって明らかにする。
新しい情報携帯のための爪への情報の光記録と再生 早崎 芳夫
徳島大学工学部講師
100
本研究は、爪を情報記録媒体とした高い安全性を有する新しい情報所持の方式を実現する。生体組織に情報を記録することで絶対的な通信スピードは遅いが、安全性の高い通信路が確保される。特に、爪は光記録特性に優れ、指紋照合と併用も容易である。そのために、超短パルスレーザーを用いた爪に情報を記録するシステム、生体光計測技術を用いた爪に記録された情報を再生するシステムを構築し、さらに爪への情報記録に適した形状や符号化を研究する。
光通信用BgaInAs半導体レーザ 梶川 靖友
島根大学総合理工学部 助教授
100
高性能の光通信用半導体レーザを開発するため、従来のInGaAsP結晶にかわる新しい化合物半導体混晶であるBgaInAsを結晶成長する。蒸発原料として蒸発温度の低い有機ホウ素化合物を用いることで従来の困難を克服し、分子線エピタキシ法によりGaAs基板上にBgaInAsの結晶成長を行う。GaAs基板上にBgaInAsを発光層とする半導体レーザを作製することで、温度上昇に伴う性能低下の少ないレーザを安価で作製できると期待される。
ナノ微粒子蛍光体の作製とその単一微粒子の発光特性評価 金光 義彦
奈良先端科学技術大学院大学
物質創成科学研究科助教授
120
発光中心を添加したナノメーターサイズの超微粒子蛍光体は、バルク蛍光体に比べて発光効率の増大や発光寿命の飛躍的な減少が期待されている。本研究では、希土類イオンや遷移金属イオン、ドナー・アクセプターを添加したナノ蛍光体を作製し、これまでにない極限的な高効率の発光材料を目指す。さらにナノ微粒子蛍光体のサイズと発光機構、エネルギー伝達機構、さらには結晶場変化との相関を明らかにする。そのための新たな光学測定の一つとして、これまでほとんど行われたことのない紫外光励起の近接場顕微分光測定を行い、一つ一つの微粒子のサイズによる光学特性の変化を調べ、新規発光材料の指針を得る。
疲労寿命予測と故障診断技術を組合わせた機械装置の総括的メンテナンスシステムに関する研究 大上 祐司
香川大学工学部助教授
100
工場のプラントなどを構成する機械や構造物などは、最善の技術を尽くして設計・製造されるが、破壊事故は後を絶たない。それら破壊事故の原因の大部分は、機械や構造物に対するメンテナンス不足に起因する疲労によるものである。従来の剣球では故障診断技術と寿命予測技術が個別に研究されており、総括的なメンテナンス技術に関する研究がなされていない。そこで、本研究では故障診断技術と寿命予測技術を組合わせ、回転機械の典型的な代表である歯車装置を例にして総括的メンテナンスシステムを開発・構築する。
電力ケーブル中の3次元電荷挙動測定装置の開発 福間 眞澄
松江工業高等専門学校
助教授
125
本研究は、次世代の電力ケーブルの電気絶縁設計上、重要であるにもかかわらず、ほとんど研究が行われていない、「トリーイング」と「空間電荷」との関係を「直接観測できる装置を開発」することを第一の目的杜している。高性能な絶縁材料の評価が可能な上記装置の開発を行うことによって、「高品質な電力ケーブルを開発」することを第二の目的とする。具体的には、「パルス静電応力法」を利用した「高性能3次元空間電荷測定装置」を製作し、電気トリーの発生及び進展時の空間電荷計測を行い、高分子絶縁材料の絶縁特性を定量的に評価する。
分光コノスコピー法による低対称性結晶の光学誘電率テンソルの視覚化と解析 沈 用球
大阪府立大学工学研究科
助手
125
本研究は、これから基礎面でも応用面でも興味深い研究対象となりつつある低対称異方性結晶の誘電率テンソルを純単色光を用いたコノスコピー干渉像(クロス配置の偏光子間に設置した結晶に光を照射したときにその結晶表面に生じる干渉像)によって視覚化する手法の開発を行うものである。また、この干渉像はリアルタイムで観測することができるので、温度変化にともな光学軸の回転や誘電率テンソルの変化を引き起こす相転移材料の物性研究への応用も可能である。
光ファイバアレイを用いたマルチチャンネル表面プラズモンバイオセンサ 梶川 浩太郎
東京工業大学大学院
総合理工学研究科助教授
100
光ファイバアレイを用いた小型のセンサヘッドを構築し、多くの分子種を同時にかつ瞬時検出し分析できるマルチチャンネル表面プラズモンバイオセンサの開発を目的とする。これを用いると微量の試料で多様な情報が得られるため、貴重な生化学試料や医療における検体等の分析をごく少量の試料でこなすことが可能となる。このセンサは光ファイバを用いるためセンサ周辺に外部光学系の設置の必要がなく、生体内での運用も可能であるという利点も持つ。
金属窒素透過膜を用いた新規な窒素反応プロセスの開発 伊東 正浩
大阪大学先端科学技術
共同研究センター助手
120
申請者なはこれまで、鉄系の金属間化合物が窒素を可逆的に吸蔵放出することを見出し、その金属間化合物中に取り込まれた原子状窒素の高い反応性を利用した新規なアンモニア合成法を提案した(別添資料1〜4参照)。本研究では、窒素の吸蔵放出に適した金属間化合物の探索を行うとともに、これら金属間化合物の窒素透過膜への展開をはかる。すなわち、窒素透過膜を隔膜とし、高活性な原子状窒素を定常的に供給可能な膜反応器を試作し、これを用いた新規で且つ有用な窒素添加反応の確立を目指す。
非線形非最小位相系の制御系設計と4ローター飛行制御実験による検証 佐伯 正美
広島大学大学院
工学研究科教授
100
非最小位相特性を有する非線形システムに、主要な非線形制御系設計法である、厳密な線形化法を適用すると、ゼロダイナミックスと呼ばれる不安定モードが発生し制御不能となり、新たな手法の構築が課題である。垂直離着機はそのような特性の系であり、申請者らは、新たな制御系設計法を提案し、模擬装置による実験を行ってきた。本研究では、その設計法を、4ローターの飛行制御系の設計に適用し、有用性を明らかにする。また、自律飛行を目的に、加速度・角速度センサーを搭載した飛行系を製作する。
状況に基づいた車両運用情報の視覚化 平川 正人
広島大学大学院
工学研究科助教授
110
利用者の置かれた状況(例えば時間、場所、明るさ、ドライバーの疲労度)というものに注目し、それに基づいて、提示すべき情報の内容や可視化形態の決定を動的・選択的におこなう機能について研究する。自動車という空間においては利用者(すなわちドライバー)は情報を瞬時に理解することが要求されるが、それを手助けする手がかりとして状況を利用しようとしている。しかもシステムを具現化するにあたりサインデザイナと共同研究することで、実際的かつ現実的な成果を得ようとしている。
高圧下における予混合気の不安定性と乱流火炎伝播特性 北川 敏明
九州大学大学院
工学研究院助教授
110
ガスタービンやガソリンエンジンなど、高圧下で燃焼を行うことは多い。しかしながら、乱流火炎についての研究は、大気圧下のものがほとんどである。ところが、申請者とBradleyの研究において、高圧下では火炎不安定性が顕著になる特有の現象を見出しており、火炎伝播の特性が大気圧下と異なることが明らかとなってきた。本研究では、エネルギー資源有効利用の観点から、予混合乱流火炎の火炎伝播特性を明らかにし、希薄燃焼の促進について検討を行う。
結晶性高分子表面におけるナノレベルの凝集構造解析と力学物性評価 田中 敬二
九州大学大学院
工学研究院助手
120
自動車バンパー等の構造材料としての使用から手術用カテーテル等の表面機能材料としての使用まで幅広い用途を有する結晶性高分子、特にポリオレフィン、の表面構造および表面力学物性をナノレベルで解析し検討することにより、その特異性および発現機構を明らかにする。得られる成果は、結晶性高分子材料の機能向上に関して重要な設計指針となる。本申請研究では、モデル試料だけでなく、実際に使用される条件の試料を用いて実験を行う予定であり、学問的興味と工業的重要性の両者を兼ね備えている。
真空蒸着有機薄膜の3次元変調構造と電子・光物性 久保野 敦史
京都工芸繊維大学
繊維学部助手
120
高機能有機薄膜素子の作製には分子位置と配向の3次元制御(変調)が必要であるが、LSIと同様なフォトリソグラフィでは基板面内の2次元的な位置制御のみであり、配向制御は困難である。そこで本研究では、位置と配向の両観点で膜厚方向の1次元的(超格子的)な制御と基板上のエピタキシーや電場による基板面内での2次元制御を試み、結果として得られる3次元制御(変調)構造と電気・光物性との相関を検討する。また3次元変調構造の形成機構を考察し、高機能性有機薄膜における作製基礎技術の確立を目指す。
遠赤外時間領域分光イメージングを用いたインプロセス塗装膜モニタリングシステムの開発 安井 武史
大阪大学大学院
基礎工学研究科助手
100
自動車ボディを始めとした様々な工業製品においては、素地(下地)の防腐・防錆・防水・色彩効果の目的から、表面塗装が施されている。塗装膜の厚さムラ(不均一性)や品質不良(気泡・異物混入、乾燥不十分)はこれらの効果を低下させることから、塗装工程でのインプロセス・モニタリングが要求されている。本研究では、遠赤外時間領域分光イメージングを用いることにより、素地と塗膜の種類・塗膜の層数に依存せず、塗膜状態を逐次把握しながら、非接触リモート測定が可能な塗装膜モニタリング法の開発を行う。
複数ユニットで構成される不定形移動機構に関する研究 渡嘉敷 浩樹
琉球大学工学部助手
100
ロボットの導入が期待される作業が多岐に渡る現況では、従来の移動機構では対応不可能なケースも多い。プラント内各種機器の隙間などの狭窄空間は、変形不可能な既存の移動機構では対応できない。そこで、アメーバのように自在に変形しながら、狭窄空間への侵入が可能な移動機構を開発する。具体的には、複数の歯車型ユニットや球型ユニットで構成される不定形移動機構を提案すると共に、その特異な機構を能率的に制御する手法をシミュレーションと実験により検証する。
スラブ型フォトニック結晶による輻射場制御と非線形光学現象の増強効果 迫田 和彰
北海道大学電子科学研究所
助教授
110
輻射場の人工制御による物質の光学特性改変の実証は、前代光学の最重要課題の一つである。本研究では、1ミクロン以下の周期で屈折率を変調したスラブ型フォトニック結晶を作製して光の分散関係を制御し、非線形光学過程の大幅な効率化を実現する。特に、スラブ型フォトニック結晶中で実現される光の極めて小さな群速度に伴う、第2高調波発生と直交位相成分sクイージングの高効率化を実証する。また、試料設計とデータ解析で必要となる精密な理論解析技法を開発する。
汽水湖に侵入した塩水塊の水質変化過程に関する現地調査および実験的検討 黒川 岳司
呉工業高等専門学校
講師
110
わが国を代表する汽水湖の宍道湖において、中海から侵入した塩水塊の水質変化の機構を、現地調査と室内実験から検討する。現地調査では、塩水湖の湖内での移動と、その過程での水質変化を、新しい観測システムや詳細な水質調査によって明らかにする。このとき、気象外力に伴った湖内流動との関係から水塊の挙動を考察する。さらに、室内実験によって流水下における底泥が下層水に与える影響を検討し、塩水塊の水質変化の要因を把握し、現地調査での結果と照らし合わせて塩水塊の水質変化過程を明らかにする。
遠隔手術ロボットのための運針動作補助システムの開発 岩本 英久
呉工業高等専門学校
助教授
150
現在、国内外で遠隔操作による外科的処置を行うロボットシステムの開発が行われている。そのようなロボットや器械を用いて外科手技を施す際には、手術器械(縫合針や結さつ糸)によって組織損傷を生じさせないことが肝要である。しかし、外科医にとってマニピュレータを操作することは難しく、ぎこちない動きとなり、スレーブ側のロボットの動きも滑らかでなくなる。そこで本研究では、遠隔手術における運針動作を補助するために、マニピュレータから転送される位置データから適切な動きに修正するシステムの開発を試みる。
非晶質ポーラスシリカの光誘起構造変化と発光メカニズムの解明 内野 隆司
京都大学化学研究所
助教授
100
近年、ポーラス状の非晶質シリカを熱処理、または光(紫外線)照射することにより、赤〜紫色の可視光発光現象が生じることが見出され、新しい発光材料として注目を浴びている。しかし、その発光メカニズムについては明らかになっておらず、また、光照射にともなって誘起されると予想される構造変化についても未知の点が多い。そこで、本研究では、実験、理論の両面から。これら非晶質ポーラスシシリカの興味ある発光現象の起源について、解析、考察を行う。
レーザアブレーション法を用いた超小型モータ用100μm厚積層型交換スプリング磁石膜の開発 中野 正基
長崎大学工学部
助手
100
モータの小型化が急速に展開する中、モータ内部で用いる磁石膜の小型化・薄膜化の研究も重要性を増してきている。バルク磁石の小型化を担う磁石膜の開発を鑑みると、磁束の発生源としてある程度の体積を有する膜厚を必要とされる。本研究では、1時間に50μmの高速製膜を実現したレーザアブレーション法によるNdFeB磁石膜の実験結果をもとに、次世代の磁石材料として期待される交換スプリング磁石膜、ここではハード相であるNdFeB磁石膜とソフト相であるα-Fe膜を積層化し、100kJ/m3を超える高性能厚膜磁石の実現を検討する。
感温性高分子ゲルによるダイオキシン類およびダイオキシン分解物質の吸・脱着の研究 山本 秀樹
関西大学工学部
助教授
150
提案者らは、地下水や排水中の微量ダイオキシン類の除去に対して、温度変化によって表面性質が親水性から疎水性に可逆的に変化する新しい吸着剤(感温性高分子ゲル)を開発した(特願2000-216113)。この高分子ゲルの感温特性を利用すれば、40℃程度の温度で、水中の塩素系有害有機物(ダイオキシン類およびダイオキシン分解物)を高分子ゲルに吸着させ、25℃で脱着させることにより除去することができる。この研究の目的は、汚染排水中の塩素系有害有機物の吸着および脱着メカニズムを明らかにすることにある。
遷移金属酸化物ナノ構造における光誘起強磁性金属−電荷秩序競合のダイナミクス 牧野 久雄
東北大学金属材料研究所
助手
100
ペレブスカイト型マンガン酸化物では、秩序的な電荷整列絶縁相と無秩序な強磁性金属相への相分離・相の共存が実現しており、それらの競合が外場によって乱されることにより、劇的な物性の変化が引き起こされる。本研究では、微細加工技術を駆使して結晶のナノ構造化をはかり、ナノ構造における電荷整列絶縁体と強磁性金属相の競合がどのように影響されるかを明らかにし、絶縁体−金属転移の外場応答性の制御をも目指す。
高静電容量スーパーキャパシタ新規炭素系電極の開発 武藤 明徳
岡山大学工学部
助教授
120
次世代ハイブリッド・カーに搭載されるキャパシタは燃料電池の負荷低減を目的に高静電容量化・高電圧化が期待され、その開発がしのぎを削っている。安全面からは、水系電解質のキャパシタが望ましいが電圧が高くできず、従来のキャパシタでは貯める電気エネルギー密度が大きくならない欠点があった。本研究では、水系電解質でも高いエネルギー密度・出力密度を実現しハイブリッド・カーに搭載可能な新規なキャパシタ電極の開発を目指す。
放電加工による硬質皮膜の形成に関する研究 岡田 晃
岡山大学工学部
講師
100
放電加工において電極材質および灯油系加工液の熱分解によって生じる炭素が加工表面に付着・拡散する現象を利用し、加工表面にチタンカーバイドやシリコンカーバイドなど炭化物系硬質皮膜の形成を試みるとともに、加工条件と皮膜の粗さや組成、厚さ、母材との密着性など皮膜性状の相関を詳細に解明する。そして新たな硬質皮膜形成技術の確立、および放電加工によって加工を行った金型に対し、加工後連続して同一加工機上で硬質皮膜形成を行い、その実用性についても検討を行う。
小 計 30件 3,300

特定課題−アジア支援プロジェクト

研 究 題 目 および 研 究 概 要 研 究 代 表 者
(*役職は応募時)
助成金額
(万円)
技術系学生のアジア海外研修プログラム「国境を超えるエンジニア」 茂里 一紘
広島大学大学院工学研究科教授
300
広島大学の技術系学生を、数名タイおよびマレーシアの工場、事務所、機関など関連業務の現場に4週間程度派遣し、研修させる。アジアの技術移転の現場体験することによって、今後の技術移転のあり方や国際的に通用する技術者として必要なコミュニケーション能力、創造力、倫理などについて考える機会を提供する。本学の正課カリキュラムの一つとして位置づけ、研修後のフォローアップ教育を重視し実施する。
合 計 31件 3,600

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