助成実績

青少年健全教育関係 市民活動支援

2004年度市民活動支援【詳細】

活動名  団体名 特定非営利活動法人
日本タッチ・コミュニケーション協会
子どもの一生を考える −連続6回講座− 地域 広島県呉市
代表者 理事長 宇治木 敏子
支援金額 40万円
活動概要
子どもの成長に一喜一憂してしまう親の立場を理解した上で、無条件の愛に近づけていくためにも、子どもの一生を考えてみよう、と始めた企画です。講師は、乳幼児期の心理学者、スクールカウンセラーとしての体験をお持ちの臨床心理士であり心理学者、末期医療の専門家としてがんの生きがい療法で有名な医師など、子どもの一時期、一時期を大切に見つめながら、しかし一生という長いスタンスで、私たち親の視野を今までにないほど広げていくことができた1年だったと思います。受講者数は定員いっぱいでお断りする方も出るほどの反響でした。現実に、先ず1回目の講座で安心の場が構築され、午後からのエンカウンターでは、初めての出会いにも関わらず受講者自ら皆さんが自己開示を始められました。そして、隔月で行なわれるこの講座は、講師によりテーマが変わって引き出されるものは違っても、子どもとの関係の問題や自分と親の関係の問題など、具体的には自虐行為、リストカット、幼児虐待、不登校、引きこもり、現在の日本の社会が抱える、ほとんどすべてと思える親子の問題が自然にみえてきました。主催者側としてはここまで深まることに、現代社会の深刻な状況を感じながらも、これは大変必要性がある事業であった、と再認識させられました。また、1回目でここまで講座が深まったことからも、主催者側の準備もかなり綿密に行われました。この講座で、実は私たちスタッフ自らが、学ぶところが大変多くあり、受講者からの要望もあって、来期の事業にも同じテーマで継続することを決定しました。そのことは2005年4月24日、約200人を動員した講演会で発表し、6回講座の受講者と共にシンポジウムも行い大変好評を得ました。
実施時期:2004年5月〜2005年3月
参加人員:受講者数:214名、アシスタント41名、講師8名、来賓4名 参加層人数268名
タッチ・コミュニケーションを通して一生を見る 講座の様子
《タッチ・コミュニケーションを通して一生を見る》 《講座の様子》
産まれてすぐの親子のスキンシッフ°の重要性
《産まれてすぐの親子のスキンシッフ°の重要性》
活動が関連する団体等、地域社会等に与えた影響
・子育て支援が親子で楽しむ場の構築だけにとどまらず、親が学ぶ場を構築することも子育て支援として重要である、という考え方は、中国新聞の子育て支援担当の記事からの言葉を借りれば、子育て支援を行なっている他団体も共感され、少しずつ当協会のような活動を始めたところが出始めたそうです。広島市社会福祉協議会、県教委、市教委、児童相談所など、子どものことに関わるところからの参加者、招待客も多く、この連続6回講座の影響はこれから、広島県全体に波及していくことが感じられています。特に、厚生労働省からは具体的な取り組みの要請があり、今後の活動を期待されているところです。
・参加者の大半は、1人の親として、子育てを「子どもの一生を考える」という長期的な視点になって考えようという気持ちで参加されたようです。しかし、最終日にシンポジウムや文集原稿からも、ストレスの原因の多くは人間関係によって生じることや、特に乳幼児期からの親との愛情交流が子どもの一生にいろいろな影響を与えることを深く学んだことにより、ダイレクトに愛情交流し、誤解なく気持ちを伝え合う上でも、また、そのストレスケア法としてもタッチ・コミュニケーションは有効であることが良く理解されていました。また、タッチ・コミュニケーションがあらゆる人に必要であることから子育ての面だけでなく、職場でも取り入れたいという思いが強くあり、この気持ちがタッチコミュニケーションを各地域に広げていくため草の根運動のひとつとなると考えています。親がどうしても無理なときは、周りが、社会がサポートしながら子育てをするという気持ちも含めてタッチ・コミュニケーションを保育士、助産師、教職員などが深く学び、それを職場でも活かしていただけることを、主催者としても大変喜ばしいことだと思います。
苦労した点
・「子どもの一生を考える」というテーマが中国新聞に掲載されたとたん、大変たくさんの方々からのお問い合わせがありました。一生を考えるということは、その時期だけに拘らないで、大きな広い視野を育てるために発案した企画です。しかし、「この先生のこの講演」という方もおられましたので、こちらの意図を説明しました。電話などでこのようなことを説明しご理解していただくという事の難しさを感じました。
・各回とも午前中の講演、午後はエンカウンター方式の交流会を行ないましたが、毎回ファシリテーターの引き出しで、会の親密さが深まり、講師と受講者、受講者同士が午前中の講演に対する感想等が参加者から熱く語られ、なかなかタイムキーパーが終了時間を提示できないような熱の入りようでした。
・申請当初、予算書で企画会を19回と計上していましたが、毎回スタッフも学ぶことが多く、受講者の深まりに沿っていくためにも、より充実した講座にしたいという思いから、計42回に上りました。特に6回目の講座を、締めくくりに相応しい充実した内容にするために企画会を重ねました。皆子連れのサポーターなので子どもの体調などで予定通り進まない事も多くあり、大変でしたが、皆で穴を埋めながら何とか終了できました。
・毎回、確実にアンケートを取って、全員から回収できるよう努力し、その一回ごとの深まりを語り合い、反省し合い、次回に繋げようとした代表宇治木のガイドがありました。今回の連続講座の影には、それを支えた子連れサポーターと、そして私たちサポーターをリーダーとしてステップアップさせ、 企画会=リーダー養成講座までやってのけた代表の執念が、企画会の42回という数字なのだと思います。
・6回目の講座では講師の都合により急遽、日程が変更となったため、当日参加できなかった方々を対象に4月23日に再講座を開催しました。スタッフと合わせて11人の方が参加されました。その日はNHKの取材も来られていました。会計的には、事業が終了しておりましたので会場費、講師料、交通費は計上しておりません。講師の上馬場先生は富山県在住で、大変ご多忙な方ですがスケジュール調整とこちらの予算的なことなど、お気遣い頂き大変感謝しております。
今後の課題・発展の方向性
(1)講座の継続
1年間を通して、たいへん盛況のうちに終了いたしましたが、子どもの一生を考えながら、実は親自身が「いかに生きるか」を問われているというテーマが見えてまいりました。参加者からも次年度への継続の要望が強く、私たちも必要性を感じたので2005年度も同じテーマで6回講座第2期を行なうことにしました。
(2)この講座でのそれぞれの気づきを意識化し、それを広く伝える
6回講座の最終回に行なったシンポジウムを4/24に開催した講演会でも行い、この講座で得られた素晴らしい気づきを共有する場としました。シンポジウムと同様に、この講座での素晴らしい気づきをたくさんの方と共有するためにも受講者の方々の貴重な原稿をお一人お一人に承諾を得た上で、講演の抄録に掲載させていただきました。
(3)問題意識をもち、自己の改革を行う
今回の講座を通して、家庭だけでなく、地域社会で子ども達を育てていくことの必要性を感じ、「自分でも何かしたい」という意識を持ち、ボランティアとして当協会に関わりたいという方が増えました。
活動を終えての感想・意見等
貴財団に貴重な活動援助金を賜ることができ、おかげさまで遠路より講師の先生方をお迎えして貴重なご講演を頂いたり、またこの講座に地域の皆様に参加していただきやすい受講料で募集することもできました。本当にありがとうございました。また、マツダ財団様にはご多忙中でありながら、講座にご臨席いただき、ご意見も拝聴することもできました。広島市内だけでなく、岡山県、山口県、愛媛県からも皆様ご参加下さり、ニーズの高さを感じております。2005年度も同じテーマでこの講座を行い、学びを深めてまります。今後とも、ご支援ご協力賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

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