財団ニュース
2014年(平成26年)
2014年11月13日号
「マツダ研究助成選考委員奨励賞−科学技術振興関係−」受賞者の方々をご紹介します!
マツダ財団では、マツダ財団設立30周年を記念して、2014年度から 「マツダ研究助成選考委員奨励賞−科学技術振興関係−」を創設しました。栄えある奨励賞を受賞された4名のみなさまをご紹介します!
埼玉大学大学院理工学研究科 藤森 厚裕 准教授
「350℃耐熱!初めて『結晶』で創る新奇フレキシブル透明プラスチックフィルムの開発に資する、高分子透明化技術の新提案」
マツダ財団(左)から賞状を受け取られた 藤森准教授(右)
【選考理由】 本研究は、耐熱性に優れるプラスチック光伝送体を、世界で初めて「高密度非晶」形成に基づく、300℃耐熱の"結晶性"分子フレキシブル透明材創出により開発するものである。本研究により、燃費・安全性向上に繋がる車体軽量化に資する耐熱性光ファイバ構築も現実化する可能性がある。加えて、自動車はもとより、工業製品の多くの領域に展開可能な技術であり、大きなブレークスルーが期待できる夢のある研究である。よって、奨励賞に値する。
山梨大学大学院医学工学総合研究部 浮田 芳昭 助教
「マイクロ流体デバイスの新規動作原理と微量血液分析デバイスの研究」
マツダ財団(右)から賞状を受け取られた 浮田助教(中央)。左は 杉山俊幸 医学工学総合教育部長
【選考理由】 本研究は、流体の自己制御性を利用することで安価に血液分析デバイスを実現するものである。これは、超小型・安価・高精度な微量血液分析デバイスであり、従来の血液分析では血球分離、免疫反応、反応器洗浄、酵素反応と、何度もピペットによる操作が必要であったが、これらを自動的に分析できるシステムが実現できる。研究構想も論理的で、実現に向けた計画も具体性が高い。この技術が完成した際の適応範囲の広さや社会貢献度は群を抜いていると考えられ、この研究を奨励賞とする。
大阪大学大学院基礎工学研究科 三輪 真嗣 助教
「高周波磁気抵抗素子を用いた磁場センサーの研究」
マツダ財団(右)から賞状を受け取られた 三輪助教(左)
【選考理由】 本研究は、世界的にも電子の電荷と同時にスピンの自由度を利用するスピントロニクスに大きな期待が寄せられている中、従来の線形現象と異なり、非線形現象を採用した独創的な高周波磁気抵抗素子による高感度磁場センサーの研究を行うものである。この研究から得られる成果は生体内現象の解明、医療等の広範囲の分野に波及する可能性があり、将来の社会的な貢献が期待できる研究であるため、ここに奨励賞を贈呈する。
山口大学大学院理工学研究科 井田 悠太 助教
「多重リレー協調通信における最適パケット分割と適応変調を用いた高速・高品質化に関する研究」
マツダ財団(左)から賞状を受け取られた 井田助教(中央)。右は 進士正人 理工学研究科長
【選考理由】 本研究は、近年の通信の大容量データ化と高速・高品質を両立するための通信技術の高度化が求められている中、複数の中継局を利用した協調通信における負荷を最小にし、高速化を実現する新しい方式を提案するものである。将来の社会的な貢献が期待できる研究であるため、ここに奨励賞を贈呈する。
「マツダ研究助成選考委員奨励賞−科学技術振興関係−」とは
第30回(2014年度)マツダ研究助成一覧 −科学技術振興関係−
(助成金額は一律120万円)の選考時に、助成対象者の中から、若手研究者を主たる対象とし、選考委員会が特に優れた研究であるとみなした4件の研究に対して授与されるもので、副賞として研究助成金50万円が追加助成されます。
マツダ財団設立30周年を記念して2014年度より新設されたものです。