マツダ財団(理事長 山内 孝)は、11月13日、広島国際会議場に立花 隆氏(ジャーナリスト)をお迎えし、
講演会「二十歳の君へ」を開催しました。今回初めての試みとしてご招待した学生の皆さん250名を含め、1,000名もの聴講者にご来場いただきました。
立花先生は、聖書・シェイクスピア・哲学・脳科学・憲法・等々、非常に幅広い領域の視点・立場から、若者へのメッセージを熱く語られました。
まず、これから社会に出ていく若者に向けて、様々なものが蠢く社会を、恐れることなく、社会の人々と良い関係を作りながら
よりよく生きていこうと、聖書マタイ伝から、イエスの言葉「蛇のように賢く、鳩のように素直であれ。」を引用されました。
また、シェイクスピアの「ハムレット」の中から、「喧嘩はするな。しかし、やるなら徹底的にやって勝て。」という、旅立つ息子レアティーズに
父親ポローニアスが授ける言葉を、引用されました。
これは、立花先生ご自身が二十歳のころ、初めて外国へ旅立つ時に、とてもシャイだった
今は亡きお父様から贈られた言葉なのだそうです。
続いて、憲法の話では、学問の自由について取り上げられました。
日本国憲法は、学問の自由を保障しているが、このような憲法は他に例がない。
つまり、大学は、教える自由・教わる自由・研究の自由・人事の自由が保障されている場、インフラなのだ。
大学とは、初等・中等教育のように
「教わる」だけの所ではなく、このようなインフラを駆使して、自分自身が学ぶ所である。と、能動的な学びを特に強調されました。
最先端の脳科学からは、実写されたシナプスの写真を見せながら、人間の脳に1兆個あると言われるシナプスが、刻々と生まれたり消えたりして
変化していることを指摘されました。
さらに、フランスの“食の哲学者”ブリヤ・サバランの言葉
「You are what you eat.(君が何を食べたか言ってみたまえ。君がどんな人間か当ててみせよう。)」を引用され、
その人の肉体は、過去に食べたもの、知性はその人の食べた知的食物、感性はその人の食べた感性の食物で形成される。
つまり、その人の全体験が脳に集積されてその人そのものになるということなのだ、と説明されました。
これは、取りも直さず、最先端の脳科学で取り上げられた現象そのものであり、
「二十歳の君のこの一瞬一瞬が、君の脳を造っている。限りない可能性は全て自分自身の行動で決まる。」というメッセージで講演を終えられました。
立花先生のお話は、鋭さとともに深い愛情を湛え、聴講者に、「今あなたは、何を吸収し、どう過ごすのですか」と問いかけられているように感じました。
あっという間の90分に、聴講者の皆さんからは「もっと聴きたかった」等のお声を多数頂きました。また、
「大学生活4年間で、知性・感性・教養を自分からしっかり身につけたい」(10代女性)
「まだ20歳になったばかりなので、今後の人生のことを考える良いきっかけとなりました」(20代男性)
「帰宅して子どもたちに伝えたいと思います」(40代女性)
「若者への心温まるメッセージだった。知・情・意のバランスの大切さはどの世代も同じ」(60代男性)
「新しい学問を知った感じだった」(60代男性)
などの感想も、お寄せいただきました。
後日、マツダ財団のYouTubeサイトでも、当日の会場やバックステージの様子をほんの少しですがお伝えしていく予定です。
マツダ財団は、今後も地域の皆様とともに青少年の育成と科学技術の振興に取り組んで参ります。
|
|
幅広い領域の視点・立場から語られる立花先生
書画カメラで投影された立花先生の本には、随所に傍線やマークが!
時には鋭く語りかけて…
幅広い世代が集い、ともに考える場となりました
|