助成実績

科学技術関係 研究助成

第37回(2021年度)マツダ研究助成一覧 −科学技術振興関係−

 助成金額は一律100万円。但し、「マツダ研究助成奨励賞」に選出されたものは、50万円の追加助成。
:循環・省資源に係わる研究
研 究 題 目 研 究 代 表 者
(役職は応募時)
助成金額
(万円)

CCSに向けた深層学習による地質露頭画像のセグメンテーション
間所 洋和
岩手県立大学
ソフトウェア情報学部 准教授
100
地球温暖化は年々深刻度を増している。主因のCO2を地下貯留するCCSは、緊急かつ現実的な対策て゛あるものの、長期挙動予測へ向けたモテ゛ルの不確実性か゛、貯留リスクとして指摘されている。これに対して本研究では、地質不均質性に起因するCO2の挙動阻害に着目し、堆積盆規模て゛のセグメンテーションモデルの確立を目的とする。貯留層の空間分布を把握するために、本研究ではト゛ローンによる地形探査技術を適用する。また、露頭を空撮した高解像度画像から貯留値を予測し、CCSの実現可能性を高め、地球温暖化対策への貢献を目指す。

室内照明に高感度なセレン光電池を一体化した高効率な光触媒型水素生成マイクロリアクタ
小林 大造
立命館大学
理工学部 准教授
100
本研究では光触媒と光電池を薄膜成長技術とマイクロマシーニング技術により一体化したオンチップ型水素生成マイクロリアクターの研究開発を行う。従来の酸化チタン光電極による水素生成では強い照度の紫外線照射が必要であるが、太陽光環境でも室内灯環境でも高い開放電圧を得られるセレン系光電池により酸化チタン系光触媒電極へバイアス電圧を印加することで高効率な光触媒反応を実現することを目的とする。誰でもどこでも簡単に安全に、再生可能エネルギーによるゼロエミッションの水素生成の技術開発を目指す。

SRAMを利用した高位置分解能型半導体検出器の原理実証試験とシミュレーション
津野 総司
高エネルギー加速器研究機構
素粒子原子核研究所 研究機関講師
100
本研究は、半導体メモリSRAMを利用した放射線検出器を開発する。確立されたメモリセルの微細加工技術を粒子線検出器への応用することによって、原理的には従来の検出器の空間分解能を約100倍以上向上させる可能性がある。一般に悪者とされるSEUを積極的に発生させ、放射線が各メモリセルの通過に伴って発生するビットフリップの痕跡を判定するプロトコルの開発を行い、原理検証試験を行う。

高効率熱電変換の実現に向けた環境調和型トポロジカル絶縁体材料の探索
千葉 貴裕
福島工業高等専門学校
一般教科 講師
100
熱と電力を相互変換する熱電変換技術は、CO2フリーな環境調和型発電として大きな注目を集めているが、既存材料では変換効率10%程度と低く、大規模な社会実装には至っていない。さらにPbTeに代表される実用物質は、希少元素や有害元素を含んでおり、元素代替戦略の観点においても今後の課題となっている。本研究では、これまでの材料開発において見過ごされてきた資源豊富な軽い元素に着目し、トポロジカル結晶絶縁体の探索および歪みによる熱電性能向上への新原理を見出すことで、材料開発への元素戦略的な指針を示す。

加熱中の固液界面のナノスケール3次元計測による沸騰開始プロセスの解明
手嶋 秀彰
九州大学
大学院工学研究院 助教
100
電気自動車用パワー半導体の高発熱密度化に対応する冷却技術として高い除熱能力をもつ沸騰熱伝達が注目されているが、沸騰現象の最初期段階に何が起きているかは依然として解明されていない。本研究では熱対流の発生を防ぐ液膜セルを新たに開発することで、今まで不可能であった原子間力顕微鏡による加熱中の固液界面のナノスケール3次元計測を実現する。理想的に平滑な表面のみならず、ナノ・原子スケールで不均一な構造や濡れ性をもつ表面での調査を行うことで、核沸騰の最初期段階の根本的解明を目指す。

非破壊リアルタイム診断による燃料電池の最適制御手法の開発
秋元 祐太朗
筑波大学
大学院システム情報工学研究群 助教
150
将来、人口が減少していく中で、燃料電池などの分散型電源が普及していくためには、システムのスマート化、つまり自動的に状況を把握する・出力向上、燃料消費率最小のための制御・異常を検知し回避する機能が必要不可欠である。本研究では、これまで開発してきた非破壊計測システムおよび出力低下要因評価手法を統合した燃料電池のリアルタイムin-situ(その場)診断により効率的な運転方法を自動的に探索し、制御する手法を開発する。また、従来手法と燃料電池出力や燃料消費率の比較を行い、本手法の優位性を示す。

ステレオコンプレックス構造を活用したダイナミックUV防除材の創製
堤 主計
新居浜工業高等専門学校
生物応用化学科 教授
100
本研究では環境適応型UV防除材を作製する。農作物のUVによる被害を回避するため、PE製や紙製のシート等が用いられるが、生育段階に応じて設置・撤去さらに収穫後は廃棄が必要となる。本提案の新規機能性材料は、農作物の生育期には生育に必要なUVの透過率が高く、収穫直前には透過率が低くなるように大気温度と湿気でポリマー構造が自発的・連続的に変化するような機能を有することを特徴とする。また、加水分解性を有していることから、分解産物は安全であり、自然界へ循環させることができる材料でもある。

全π共役ブロック共重合体材料の開発と多機能有機エレクトロニクスへの応用
東原 知哉
山形大学
大学院有機材料システム研究科 教授
100
"本質的に伸縮可能な単一材料として、精密設計された応力緩和ユニットをもつ半導体高分子に注目が集まっている。電荷移動度等の半導体特性と弾性率や応力緩和特性等の機械特性はトレードオフの関係にあるが、いずれの設計戦略も応力緩和ユニットとして非π共役骨格を導入しているため、その解消に至っていない。本申請課題では、主鎖がすべてπ共役ユニットで結合した新規全π共役系ブロック共重合体材料を開発することで、上記トレードオフを解消し、多機能有機エレクトロニクス材料群を創成することを目的とする。

メチレン架橋芳香族縮環ホスホール誘導体の一般的合成法開発と有機太陽電池への応用
東野 智洋
京都大学
大学院工学研究科 助教
100
色素増感太陽電池は作製が簡便でありながら、高いエネルギー変換効率を実現できることや、散乱光・室内照明等の微弱光でも発電効率が高いといった理由から、盛んに研究が進められているが、実用化のためには高いエネルギー変換効率を実現できる色素の開発が求められている。本研究では、メチレン架橋芳香族縮環ホスホール誘導体の一般的合成法を開発することで、ホスホール誘導体を用いた新規増感色素の設計・合成を実現し、色素増感太陽電池に応用して高いエネルギー変換効率の実現を目指す。

波長可変型テラヘルツ光検出素子開発に向けた四層グラフェンにおけるサイクロトロン共鳴吸収の研究
小野寺 桃子
東京大学
大学院工学系研究科 特任助教
150
炭素原子が六角平面構造に連なった単原子層であるグラフェンは、強磁場中でのランダウ準位間隔がテラヘルツ光に相当することからテラヘルツ波長域の発光・光吸収素子としての応用が期待されているが、対応波長の可変性が乏しいという課題がある。本研究ではグラフェンにおけるテラヘルツ光吸収の波長可変性及び電場応答性の向上を目指し、四層グラフェンおよびツイスト積層二層-二層グラフェンにおけるサイクロトロン共鳴吸収の電場制御実験を行い波長可変型のテラヘルツ光応答デバイス実現に向けた基礎固めを行う。

環境ロバストな先進運転支援システムの実現を目指した、ミリ波イメージングによる人・物体識別技術の研究
小菅 敦丈
東京大学
大学院工学系研究科 講師
100
人や物体を識別し危険予知する運転支援技術は、事故防止のため乗用車のみならず多くの車両・機械への搭載が求められている。しかし過酷環境下(悪天候、不十分な夜間照明、カメラへの汚れ付着)では、従来の画像認識による人・物体識別器は精度が低い課題があった。高い耐環境性を持つミリ波は有望であるが、画像と異なり深層学習型AI適用には学習データ作成に課題があった。本研究では新規半自動学習データ生成技術を軸に、ミリ波イメージを扱う深層学習AI技術を新規開発し、高精度な人・物体識別AI技術を開発する。

柔らかい疎なグラフト鎖を有する合成高分子と多糖類とのブレンドによる高分子特性制御
網代 広治
奈良先端科学技術大学院大学
先端科学技術研究科 教授
100
持続可能な社会を構築するために天然由来の新しい高分子材料を創出することは重要である。本研究では天然多糖類に合成高分子をごく少量ブレンドする手法によって、エラストマーとなりうる高分子材料を創る。天然ゴムの物性(引っ張り強さ3〜30MPa、伸び100〜1000%、耐熱性120℃以上)を目標とし、独自の高分子間相互作用を発揮する「柔らかい疎なグラフト鎖を有する」ポリトリメチレンカーボネート(PTMC)誘導体およびポリウレタン(PU)誘導体を利用する。

次世代バイオマス機械摺動材料の創製に向けた100%セルロースナノファイバー成形体のトライボロジー現象の解明及びその設計指針の確立
大久保 光
京都工芸繊維大学
工芸科学科 助教
100
本研究では,新たな機械要素用バイオマス材料として有望な「100%セルロースナノファイバー(CNF)成形体」の未知な潤滑メカニズムを「摩擦界面のその場分光分析システム」により解明し,得られた知見に基づき,CNF成形体の界面構造・解繊度の最適化による高機能化を果たすことで,摺動機械要素に応用可能な次世代バイオマス摺動材料の創製を試みる.従来の機械要素材料と比較しても遜色ない強度物性を有する「100%CNF成形体」を摺動機械要素用材料として応用可能となれば,歯車・軸受等の摺動機械要素の脱石油資源化が可能となるものと考えた.その実現可能性を見極め,具現化を目指す研究である.

PNNP型四座配位子を有するイリジウム−半導体ハイブリッド光触媒による二酸化炭素の資源化
Jung Jieun
名古屋大学
大学院理学研究科 助教
100
二酸化炭素は大気中に豊富に存在する再生可能資源であり、二電子還元によってギ酸やCOなどの工業原料に変換できる。これまでに申請者は二酸化炭素をギ酸選択的に光還元するIr錯体(PNNP)Irを開発している。本研究ではPNNP配位子を有するIr錯体を炭素材料(CC)に装着してCC-(PNNP)Ir電極を製作し、水中二酸化炭素還元触媒の実現に向けた検討を行うことで、水と二酸化炭素とを用いる人工光合成系に適用可能な分子性の炭素―錯体ハイブリッド電極を開発する。

アルカンの脱水素型直接カップリング反応のための固体酸-金属粒子複合触媒の開発
本倉 健
横浜国立大学
大学院工学研究院 教授
100
本研究では、アルカンの活性化を可能とする強力な固体酸触媒と、水素の再結合を加速する遷移金属粒子とが複合化された「固体酸-金属粒子複合触媒」を新たに開発し、アルカンの直接利用による化成品生産プロセスの革新を目指す。固体酸触媒が強力な酸点を保持したまま、担持金属種が同一材料中に存在する複合触媒を開発し、アルカンの直接活性化による脱水素カップリング反応を実現する。これによって、アルカンの化成品原料としての活用への可能性を拓く。

ナノグラフェンを基盤とした電気化学的応答材料の開発
関谷 亮
広島大学
大学院先進理工系科学研究科 准教授
100
素材開発と環境問題は我が国の重要なテーマである。炭素を主要な構成元素とするナノカーボン材料は希少金属の代替ともなりうる構造材料の一つであり,グラフェンおよびその類縁体の付加価値の創造は我が国の学術・産業において極めて重要である。本研究では,トップダウン法で得られるナノグラフェンをエレクトロクロミック材料への応用を目指した研究を行う。具体的にはナノグラフェンのエッジに機能性有機置換基を導入することで複合材料を開発し、そのエレクトロクロミック性能について調査する。

次世代パワー半導体デバイス冷却のための多孔質体内沸騰現象の解明と制御
岡島 淳之介
東北大学
流体科学研究所 准教授
100
本研究では、1,000W/cm2を超えるような極めて高い発熱密度が要求される次世代パワー半導体デバイスの動作温度の低減および信頼性向上を実現するための革新的な冷却機構の実現を目的とする。高熱流束加熱実験および独自に構築する熱−流体対向輸送モデルの解析を通じて、多孔質体の構造と内部の熱・流体輸送過程の関連を明らかにする。沸騰現象を制御し得る最適な多孔質体構造を見出し、高熱流束冷却機構の発現を目指す。

量子特異点形成による磁気冷凍材料の開発
志村 恭通
広島大学
大学院先進理工系科学研究科 助教
100
磁気冷凍とは、磁場を印可した磁性体材料に対して、断熱環境下で磁場を下げることにより冷却する手法である。本研究では、0.1Kオーダーの極低温を生成するため、高い熱伝導度と、高い安定性を併せ持つ、レアアースを含む合金系の磁気冷凍材料の開発に取り組む。具体的には、組成比を制御した合金試料を作製し、極低温での物性測定から磁気秩序相と非磁性相の境目を明らかにする。そして、そこでの量子揺らぎの増強による、絶対零度近傍の比熱の増大を用いて、磁気冷凍性能の飛躍的向上を目指す。

高効率発電のためのn型カーボンナノチューブフィルムの作製:熱電特性と化学的安定性の強化
秦 慎一
山陽小野田市立山口東京理科大学
工学部 助教
100
カーボンニュートラルな社会の実現には、工場や自動車などの熱配管曲面から排出される自然熱を、電気へと変換する柔軟な熱電変換モジュールが必要である。しかし、その構成部であるn型材料は、大気中酸素・水によって失活し、性能を維持することができないとされてきた。そこで本申請では、大気中酸素・水を克服したn型と組み合わせた双極型熱電モジュールの構築を目指すため、致命的な問題(出力特性と化学的安定性)を克服する材料設計指針を見出し、そのモジュール性能を独立電源設備として利用可能な1mWまで向上させる。

人工光合成ユニットの戦略的共重合による高効率化学エネルギー生産系の創出
近藤 美欧
大阪大学
大学院工学研究科 准教授
150
本申請研究では、種々の機能性ユニットを階層的に自在導入した新奇触媒材料を開発し、光化学/電気化学/化学エネルギー変換の協奏による高効率な人工光合成反応系の構築を目指す。その為に、酸化触媒・光捕集・還元触媒の各ユニットに対し、電子伝達サイトを構築可能なユニットを導入した各種モジュールを開発する。そして、これらのモジュールを電解重合により階層的に配列させ、光捕集、電子エネルギー抽出、電子伝達、化学エネルギー生産という複数の素過程を協奏的に連動可能な革新的触媒材料を創出する。

結晶成長及び界面構造の制御による鉛フリーペロブスカイト太陽電池の高性能化研究
中村 智也
京都大学
化学研究所 助教
100
金属ハライドペロブスカイト半導体を光吸収材料に用いた太陽電池が、塗布で作製できる次世代太陽電池として注目を集めている。鉛を含むペロブスカイト太陽電池では高い光電変換効率が報告されている一方、実用化にむけた環境負荷の低減の観点から、鉛フリー材料の開発が強く求められている。本研究では、鉛の代わりにスズを用いたスズ系ペロブスカイト半導体材料に焦点を当て、結晶成長の制御による欠陥の少ない高品質薄膜の作製、および電荷回収層との界面の構造制御により、本太陽電池の高性能化に挑戦する。

窒化炭素膜への外場印加によるキャリア輸送制御と低消費電力素子への展開
浦上 法之
信州大学
工学部 助教
100
層状物質であるグラファイト状窒化炭素において、面内方向に沿ったキャリア輸送のみが局在化により制限される特異な性質を利用したノーマリーオフ素子の実現に挑む。積層方向に沿った電界印加や結晶構造に由来する圧電特性により、キャリア輸送を制御することで電界制御スイッチおよび振動(ひずみ)センサとしてそれぞれ機能展開し、大規模センサネットワークが構築する超スマート社会・次世代情報化社会に資する革新的な多機能電子素子の創出に挑む。

マイクロ波エンジンによるビームドモビリティの実現
嶋村 耕平
筑波大学
システム情報系 助教
100
本研究ではビームドモビリティという新たな概念を提案し、既存研究に無い新たなマイクロ波エンジン開発によるブレイクスルーを目指す。既存のエンジン(電動、ハイブリット含む)と異なり、マイクロ波エンジンは地上から推進エネルギーをマイクロ波で「ワイヤレス給電」する。地上局を複数置くことで、燃料不要でほぼ半永久的に飛翔することが可能となる空飛ぶクルマの航続距離・時間を劇的に飛躍させることで、MaaSの加速や「空の移動革命」を実現する。

カルコゲナイド材料におけるスイッチング現象を活用した革新的人工知能素子の創出
尹 友
群馬大学
大学院理工学府 准教授
100
最近、医療や交通などの分野への活用が期待される、人工ニューロンとそれらの結合部である人工シナプスからなる脳型システムが世界中で非常に注目されている。本研究では、カルコゲナイド相変化材料による低消費電力な不揮発性メモリスイッチングと揮発性しきいスイッチングといった2つの物理現象を有機的に結合することにより、学習機能と発火機能との双方を備えた、超高集積度かつ低消費電力な新規高性能ニューロン素子を開発する。

二酸化炭素の電気化学還元に向けたn型導電性ナノダイヤモンド電極の創製
楢木野 宏
九州大学
大学院総合理工学研究院 助教
100
本研究では,排出後の二酸化炭素の固定化・有効利用のために,水溶液中に溶解した二酸化炭素の電気化学還元に向けた新規なn型導電性ナノダイヤモンド電極の創製を目的とする.ダイヤモンド結晶の粒径を10nm以下まで縮小することにより,反応サイトと予想される粒子境界(粒界)の単位面積当たりの割合を増加させ,反応性の向上を図る.また,電極表面の官能基を変化させることによって還元生成物の選択性の制御を行い,電極の表面状態と反応メカニズムの相関を明らかにする.

クレーンの振れ止め制御を目的とした音の到来時間差による吊り荷の3次元座標推定
中本 昌由
広島大学
大学院先進理工系科学研究科 助教
100
クレーンの吊り荷の振れ止め制御に関する研究は国内外で盛んに研究されているが,実スケールで実現するためには吊り荷の3次元座標を正確に推定する必要がある.本研究では,独自のアプローチとして,吊り荷から音を発生させ,クレーンのジブ上に取り付けた複数のマイクロホンによって音を計測し,その到来時間差から吊り荷の3次元座標を推定する手法を開発する.さらに,座標推定精度の向上と遅延の補償のための新しい信号処理法の確立を目指す.また,実スケールを想定した屋外実験によってその有効性を確認する.

不揮発性有機トランジスタメモリの高性能化と有機メモリ回路の開発
永瀬 隆
大阪府立大学
大学院工学研究科 准教授
100
塗布印刷法を用いた有機集積回路やその応用デバイスの実用化に向けて、高い動作性能を有する不揮発性有機トランジスタメモリの開発は重要な課題であるが、現状では応用できる性能水準には達していない。本研究では、申請者らが開発した溶液プロセスで作製可能なフローティングゲート有機トランジスタメモリの電気特性の支配因子を明らかにし、優れた書込・消去特性を有する有機トランジスタメモリを開発し、有機メモリ回路の作製指針を示すことを目的とする。

超並列自律制御型遠心マイクロ分注デバイスの開発
岡本 俊哉
豊橋技術科学大学
大学院工学研究科 助教
150
本研究では,これまでに開発した自律制御型遠心マイクロ分注機構をさらに発展させ,微細化や分注数を増やすことを目的とする.制御が複雑化している遠心マイクロ流体デバイスにおいて,複雑な構造や制御装置が不要な自律型流体制御理論は,血液検査などの分析装置の小型化や低廉化に貢献できると期待されている.その中で本研究では,分析装置の高感度化や,分析の高速化を目的に,分析装置を構成する要素の1つである分注機構を,この理論に基づき改良し,新たな超並列分注機構の設計指針構築を目指す.

起立動作と座位姿勢によるスマートチェアの実現に向けて
須田 敦
奈良工業高等専門学校
機械工学科 准教授
100
起立動作パターンおよび座位姿勢バランス変動から,高齢者などの健康状態を評価する手法を提案する.日常生活の中でも特に多い動作である着座状態および着座状態から起立する動作に着目する.在宅において環境側に配置したセンサから,被験者を非拘束でセンシングする.得られた結果をAI的アプローチにより解析し,機能性補助いすを設計開発する.SDGsの観点では技術革新の側面だけでなく,健康と福祉の達成にも貢献できる研究である.

液晶におけるトポロジカル欠陥の自己組織化を利用した光渦アレイの作成とその近接場干渉
佐々木 裕司
北海道大学
大学院工学研究院 助教
100
液晶材料において観察されるトポロジカル欠陥は光渦(らせん状の波面をもつ光波)の発生に利用することができる。本研究の目的は、自己組織化を使ってミクロなスケールに液晶のトポロジカル欠陥を規則正しく並べ、電場や温度で性質を制御可能な光渦のアレイを作成することである。特に、作成した光学素子近傍の回折現象に注目し、その干渉の効果を調べる。欠陥の並び方・試料・電場や温度などを変化させることで、光渦アレイの振る舞いがどのように変化するか明らかにする。

無機ヘテロナノチューブの創製と光物性開拓
蓬田 陽平
東京都立大学
大学院理学研究科 助教
100
無機ナノチューブ(INT)は、遷移金属カルコゲナイドを筒状に巻いた物質であり、バルク光起電力効果等のユニークな光物性を示す。このようなINTの物性は、小直径試料の利用、ヘテロ接合界面における対称性操作により、さらに顕著になると期待されるが、合成技術の未熟さにより実現されていない。本研究では、申請者の有するINTの合成技術を発展させ、小直径INT、ヘテロINTの合成法を確立するとともに、得られたINTの光物性、光電変換特性を解明する。
合 計 31件 3,300


 「マツダ研究助成奨励賞」一覧  ●

マツダ研究助成奨励賞は、マツダ財団設立30周年を記念して2014年度より新設されました。
科学技術振興関係の助成対象の中から、若手研究者を主たる対象とし、選考委員会が特に優れた研究であるとみなした4件の研究に対して授与されるもので、副賞として研究助成金50万円が追加助成されます。

研 究 題 目 所属(役職は応募時) 研 究 題 目
秋元 祐太朗

筑波大学

大学院システム情報工学研究群 助教

非破壊リアルタイム診断による燃料電池の最適制御手法の開発
【選考理由】本研究は、非破壊計測システムおよび出力低下要因評価手法を統合した燃料電池のリアルタイムin-situ(その場)診断により効率的な運転方法を自動的に探索し、制御する手法を開発するものである。少ないデータで、簡便にその場診断し、燃料電池を制御する技術は、燃料電池などの分散型電源が普及していくために必要な技術の一つであり、その有用性は高い。また、機械学習等に頼らず、理論式を自ら導出していることも意義深い。その高い研究内容に対して、奨励賞を贈呈する。
小野寺 桃子

東京大学

大学院工学系研究科 特任助教

波長可変型テラヘルツ光検出素子開発に向けた四層グラフェンにおけるサイクロトロン共鳴吸収の研究
【選考理由】本研究は、グラフェンにおけるテラヘルツ光吸収の波長可変性と電場応答性の向上を目指して、波長可変型のテラヘルツ光応答デバイス実現の基礎固めを行うものである。サイクロトロン共鳴吸収によってランダウ単位の詳細な構造を光学的遷移の観点から明らかにする試みは世界初の重要な成果になる。この独創的で先進的に富む秀逸な研究に対し奨励賞を贈呈する。
近藤 美欧

大阪大学

大学院工学研究科 准教授

人工光合成ユニットの戦略的共重合による高効率化学エネルギー生産系の創出
【選考理由】本研究は、光化学/電気化学/化学エネルギー変換の協奏による高効率な人工光合成反応系の構築を目的として、種々の機能性ユニットを自在導入した革新的触媒材料の実現を目指している。酸化触媒・光捕集・還元触媒の各ユニットに対し、電子伝達サイトを構築可能なユニットを導入した各種モジュールを開発し、これらのモジュールを階層的に配列させ、複数の素過程を連動可能な触媒材料を開発するものである。多数の機能を統合する点は、極めて独創的であり、地球温暖化やエネルギー枯渇問題の解決への貢献が大いに期待できる。
岡本 俊哉

豊橋技術科学大学

大学院工学研究科 助教

超並列自律制御型遠心マイクロ分注デバイスの開発
【選考理由】本研究は、自律制御型遠心マイクロ分注機構の微細化や分注数を増やすことを目的として、自律型流体制御理論に基づいて、新たな超並列分注機構の設計指針構築を目指している。自律型流体制御理論の適応範囲をさらに拡大するため、微細領域における流体挙動を観察・理解し、新たな普遍的な制御理論を構築する点に先進性がある。物理現象の解明を突き詰めることで、低コストでシンプルな構成で血液検査などの医療貢献が期待できる。

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