助成実績

科学技術関係 研究助成

第19回(2003年度)マツダ研究助成一覧 −科学技術振興関係−

研 究 題 目 および 研 究 概 要 研 究 代 表 者
(*役職は応募時)
助成金額
(万円)
耐熱性タンパク質からなるナノサイズロータリーモーターの特性評価 三本木 至宏
広島大学大学院生物圏科学研究科助教授
100
申請者は1999年、生体エネルギー生産に必須なタンパク質、ATP合成酵素が、生体膜で回転しながらATPを合成することを世界で初めて証明した。この実験は、37℃に生息する大腸菌由来の酵素を使って行ったものである。本研究では、この成果を突破口に、高温環境に生息する微生物のATP合成酵素の機能解明を目指す。高温微生物のATP合成酵素は、熱やその他過酷な条件にも耐えうる可能性がある。従って、本研究から耐熱性ATP合成酵素のローターリーモーターとしての特性を工業利用するナノテクノロジーの基盤を提供する。
低コスト色素増感太陽電池に向けた高導電性高分子対極材料の開発 日野 哲男
山形大学大学院理工学研究科助手
100
本研究では,ポリアニリン等に代表される導電性高分子の導電性能を,電子受容性の3次元の全π共役系分子であるフラーレン類との複合化を精査することで向上させ,色素増感太陽電池における新規「高導電性高分子対極材料」の開発を検討する。フラーレンが,分極しやすい分子であることに着目すると,導電性高分子と効果的に複合化することで,Littleの理論を実現した高導電性材料の開発が期待できる。そこで,ピリジル基などの配位能を有する官能基等を導入した,新規フラーレン誘導体を設計・合成し,種々検討を行う。
セリウム化合物ナノワイヤーの創製と高機能化 矢田 光徳
佐賀大学理工学部 助教授
100
請者は、最近、有機分子集合体を鋳型として、幅数nm〜数十nm、長さ数μm以上の酸化セリウムナノワイヤー及びナノリングの合成に成功した。これらの生成機構を解明して、ナノワイヤーの幅や長さの制御方法を確立する。また、ナノワイヤーの応用として、【1】CeO2−ZrO2固溶体ナノワイヤーの合成と自動車用俳ガス浄化用触媒へ応用、【2】CeO2−Sm2O3固溶体ナノワイヤーの合成と高酸化物イオン伝導性を利用した固体酸化物形燃料電池用の固体電解質への応用、【3】砒素・フッ素吸着剤への応用について検討する。
ポリカテナンの合成−夢の高分子材料への挑戦 木原 伸浩
大阪府立大学大学院工学研究科助教授
120
輪だけでつながった鎖の構造を持つポリマーであるポリカテナンの合成は極めて難しく、これまで数多くの合成が試みられたが、いずれも失敗している。申請者は、輪が二つつながった形の[2]カテナンの環化重合によってハシゴ状ポリマーを得、その橋渡し部位を選択的に切断すればポリカテナンが合理的に合成できると考えた。そこで、三重結合あるいは窒素−窒素二重結合と共役ジエン構造をそれぞれ有する[2]カテナンを合成し、その環化重合、橋渡し部位の完全な切断を検討し、ポリカテナンを世界で初めて合成する。
異種物質接合ナノ骨格構造による貴金属代替触媒の創製 町田 正人
熊本大学工学部教授
100
異種の金属酸化物をナノスケール化した「パーツ」を用いて多孔質骨格を構築し、異種界面(ヘテロ界面)で発現する特異的な物性(酸化還元・酸塩基など)を利用した触媒設計を確立する。多様な組合せの酸化物多孔構造を系統的に調べ、高比表面積とヘテロ界面物性との相乗効果により貴金属代替機能を達成する画期的な高性能触媒材料を開発する。本研究の成果は、貴金属を代替可能な材料の創製--neo-alchemy--へと繋がり、先端科学技術全般に波及効果をもたらすブレークスルーをもたらすと期待される。
化合物ドーピング法によるp型ZnOの実現と紫外線発光素子の開発 小林 健吉郎
静岡大学工学部教授
120
本研究は励起子束縛エネルギーが極めて大きいZnOを用いて紫外線レーザを開発することを目的としている。これまでp型のZnO作成が困難であったため電流注入型発光ダイオードを実現することが出来ず、発光デバイスヘの応用は諦められていた。ところが、我が研究室において、化合物ドーピングという極めて独創的な手法によりp型ZnOを作成することに成功した。この結果をもとに特許申請を行ったところである。本研究では、このZnOをpn制御する手法を確立すると同時に、ZnOをベースとする紫外線レーザや大面積ELディスプレーの実現を目指す。
水の燃料化を目指した分子性マンガンクラスター/高分子ハイブリッド触媒膜の創製 八木 政行
新潟大学教育人間科学部助教授
100
近年,エネルギー・環境問題が大きな社会問題として取りざたされている。これを背景として、環境調和型エネルギー供給システムの創出が望まれている。本研究では自然界のエネルギー循環に矛盾なく調和した、水の燃料化システムを構築することを目指す。水の燃料化のためのMn4O4分子性クラスター/高分子ハイブリッド触媒膜を創製することを研究目的とする。本研究によりエネルギー・環境問題の本質的な解決の手がかりが得られると期待される。
金属箔ターゲットを用いた小型高輝度X線発生装置に関する研究 高嶋 圭史
名古屋大学大学院工学研究科助手
100
金属箔ターゲットに高エネルギー電子を入射すると、制動放射やトランジション放射などのX線が発生する。このX線はほぼ電子の進行方向へ向かって発生するので、電子を金属箔表面に極浅い角度で斜入射すると、発生した]線も金属箔の表面へ斜入射する。このときの入射角度が]線の全反射条件を満たしていれば、]線は箔の表面で全反射を繰り返し、外部に取りだすことが可能である。この]線は箔間に沿って進行するため方向のそろった]線であり、高輝度]線源として利用できる可能性がある。
動的斜め蒸着法を用いた細長金属微粒子の作製と薄膜偏光素子への応用 鈴木 基史
京都大学大学院工学研究科助教授
100
真空蒸着によって薄膜を作製する際に、蒸着物質の入射方向(蒸着角、面内角)を巧みに制御する動的斜め蒸着を用いると薄膜のナノ形態を制御することができる。本研究ではこの技術を利用し、透明な誘電体基体中に細長い金属微粒子を制御よく埋め込む。細長い金属微粒子は形態の異方性によって光吸収に異方性が現れることが知られており、薄膜偏光素子への応用が可能である。実現すれば、半導体レーザ素子上に直接光アイソレータを形成できるようになり、素子の実装コストを大幅に削減することが可能になる。
エコ・エレクトロニクス材料β-FeSi2単結晶を利用した
エネルギー変換素子の開発
鵜殿 治彦
茨城大学工学部助手
100
次世代のエコ・エレクトロニクスの基盤材料として期待される半導体鉄シリサイド(β−FeSi2)バルク単結晶を用いて高効率のエネルギー変換素子(冷熱発電,ペルチェ冷却)に応用する。β−FeSi2は単結晶化すると低温で非常に高い熱電能を示すことが最近明らかになってきた。しかし実用化に向けては単結晶の育成技術が問題となっていた。本研究では独自に開発した溶液法から育成したβ-FeSi2バルク単結晶の熱電特性を明らかにし,環境に優しい冷熱発電,ペルチェ素子を開発する。
光ヘテロダイン原子間力顕微鏡による固体熱物性のナノ
スケールイメージングの研究とその応用
友田 基信
北海道大学大学院工学研究科助手
100
本研究者は固体熱物性の空間分布をナノスケールでイメージング出来る光学ヘテロダイン力顕微鏡を提案する。この新たな顕微鏡を用いて、試料表面にレーザーにより、熱的に誘起された超音波振動(周波数1〜100MHz)の振幅および位相をナノメートルの横空間分解能で2次元画像化することが可能になる。これにより試料表面および表面下の熱的な性質についてナノ秒の時間スケールで画像化することが出来る。本手法は集積回路における埋もれた欠陥の評価などの実際的応用が見込まれる。
ガスフェーズレーザーデトネーションを利用した機能性薄膜作製技術の開発 田川 雅人
神戸大学工学部助教授
100
本申請では宇宙環境シミュレーション技術として開発されたレーザー誘起超音速原子ビーム発生技術をスピンオフし、新しい機能性薄膜作製技術を開発する。本方式では高い並進エネルギーを原子ビームに付与することができるため、通常のCVDよりも高効率、低温での薄膜作製が期待できる。また、ガスをターゲットとすることから、従来の固体ターゲットを用いるレーザーアブレーション法よりも成膜の自由度が格段に高くなる。本申請ではこのアイデアを世界に先駆けて実現する事を目指す。
高熱伝導性を有する導電性AINセラミックスの放電加工とその絶縁復帰 楠瀬 尚史
大阪大学産業科学研究所助手
120
高熱伝導性かつ電気絶縁性の特徴を持つAINセラミックスは高放熱基板として応用が進んできた。しかしながら近年、半導体製造装置材料への応用や放電加工の必要性から、高熱伝導かつ電気伝導性をもつAINセラミックスの需要が高まっている。このような機能付与に対して、本研究では、多量の第二相を必要とする従来の粒子分散型ではなく、導電性希土類窒化物を粒界に析出させる新しい粒界構造制御を行い、AIN本来の高熱伝導を維持した状態で導電率の制御を行う。また102Scm-1以上の伝導度を示すものに関しては、放電加工を行い、後にこの導電性希土類窒化物粒界相を酸化し絶縁処理の可能性も調査する
高感度光計測による高偏極Xe原子の量子計算への応用 石川 潔
姫路工業大学大学院理学研究科助教授
100
既に高偏極を実現しているキセノン(Xe)原子を使って量子計算を行なうため、高感度なスピン偏極の検出法を確立する。そのために、]e原子の吸収波長147nm 近辺における真空紫外(VUV)光のファラデー回転を計側し、通常の磁気検出の核磁気共鳴(NMR)より高感度な倹出を行なう。量子計算に必要な核スピン間の相互作用には、薄膜状の原子間の磁気双極子相互作用を利用する。本研究の目標は、薄膜にした高偏極Xe原子をVUV光検出することである。
ハイブリッドダイナミカルシステムの状態推定器の設計 井村 順一
東京工業大学大学院情報理工学研究科助教授
100
ロジックに代表される離散ダイナミクスと力学系に代表される連続ダイナミクスが混在したシステム(ハイブリッドシステム)に関する研究が制御分野で近年注目されている.しかしながら,この2面性を有するハイブリッドシステム)に関する研究が制御分野で近年注目されている。しかしながら,この2面性を有するハイブリッドシステムに関して,離散ダイナミクスの離散状態(モード)を推定する計測・信号処理の分野の研究は未開拓である.そこで本研究では,申請者らがこれまで構築してきた制御に関するアプローチを基礎に,ハイブリッドシステムの状態を推定するシステムの設計論を構築することを目的とする.
全体配列自己組織化量子ドット結晶と光機能性デバイスの研究 岡田 至崇
筑波大学物理工学系助教授
100
本研究で取り上げる高指数面半導体結晶上の自己組織化量子ドット材料では、隣接するドット間の結合状態(一次元、二次元人工格子としての物性)の研究、ドット分子、ドット鎖、さらにはドット層を積層させて形成された三次元ドット結晶とその物性及び応用研究が新しい未開拓領域として挙げられる。そこで、全体配列化された自己組織化量子ドット群を、人工原子、人工分子(結合ドット)、そして人工ナノ結晶とに大別して考え、特にここでは、まだ実現されていない完全配列化された三次元ドット結晶の実現を目指す。そしてドット結晶における新光機能性を明らかにし、新しいナノデパイスへの応用を開拓していくことを目的とする。
量子フラクソン情報処理に関する基礎研究 畠中 憲之
広島大学総合科学部教授
100
最先端科学技術、特に微細加工技術の進歩は、21世紀を支える基盤技術であるナノテクノロジーを創出しました。そこでは、電子を粒子ではなく量子力学的波動として取り扱う必要が生じました。これに伴い情報伝送やその処理も必然的に量子論に基づく新たな取り組みが要請されます。本研究では、量子力学的効果を積極的に活かした新しい情報処理に関する基礎研究を推進します。特にメソスコピック超伝導効果により出現する量子フラクソンの基本特性を調べ、それを用いた新しい量子情報処理ネットワーク構築のための基礎研究に取り組みます。
ビジュアル暗号を用いたセキュアなカラー画像表示技術の開発 山本 裕紹
徳島大学工学部助手
100
情報のセキュリティを高めるために,暗号化することが一般的である.しかしながら,情報を表示する際の安全性を確保できなければ,どのような暗号化も無力である.本研究では,復号したデータを表示する際の情報セキュリティ技術を開発する.情報にアクセスするための鍵となる復号用マスクを利用してビジュアルに秘密情報の復号を行い,同時に復号画像の観察領域を限定する技術を開発する.復号用マスクの所有者のみが情報を観察でき,覗き見を防止するフルカラーのビジュアル暗号ディスプレイを実現する.
誘電率可変媒質の製作とマイクロ波フィルタへの応用 久保 洋
山口大学工学部助教授
100
多数の金属ストリップを誘電体中に配置した構造はマクロ的に誘電体としての性質を示す.この人工誘電体に外部から電圧を加えたときに誘電率の変わる性質を持たせ,マイクロ波帯における新機能素子へ応用する.
複合材料・マルチスケール光造形法の開発とマイクロ化学システムへの展開 伊都 将司
大阪大学大学院工学研究科
阪大フロンティア研究機構特任教員
120
機械部品、制御機構、リアクターの縮小高集積化によってもたらされるマイクロ化学システムの構築によって、極微量検体でも検査可能な診断チップ、蛋白チップ、究極的には人工細胞デバイスの実現が期待される。本研究では、集光レーザービームによる3次元光造形法と、マイクローナノ材料を非接触操作可能な光マニピュレーション技術を組み合わせた新しいマイクロシステム作製法を開発する。この成果が実用化されれば、医療用検査チップ、高集積マイクロチップの高速オーダーメイド作製が可能となり、多様なチップをユーザーのニーズに合わせて供給できる。
機能モデルを用いた自動車駆動系開発に関する基礎研究 長松 昌男
北海道工業大学工学部助教授
120
申請者らは、図形処理法と有限要素法を用いた従来のCAD・CAEの盲点であった、構造・形状が決まらない企画段階での機能・性能の検討と、試作段階での試験・検証の仮想化を可能にする、新しいモデル化手法である、機能モデルを提案した。本モデル化手法は、異分野をまたがるエネルギー変換の統一表現方法と、製品全体を構成部品に機能展開できる階層化方法を採用している。本研究は、この機能モデルを自動車駆動系に適用し、その仮想開発システムを構築するために不可欠な基礎理論を研究する。
福祉用上肢運動補助ロボットの研究 木口 量夫
佐賀大学大学院工学系研究科助教授
100
少子・高齢化社会において,高齢者等の体力の衰えた人の自立生活を支援するため,人間の動作を補助する外骨格型ロボットの実現を目指している.本研究では,人の日常生活において最も重要な動作である上腕運動の補助に重点を置き,装着者が特にロボットを意識することのない,自然な動作補助を実現させることを目的としている.そのため本研究では,装着者の筋電信号から装着者の意図する運動を瞬時に推定し,その運動に必要な装着者の筋力が軽減されるよう,ロボットによるパワーアシストを行うものとする.
人工筋肉による流体輸送システムの創製 渕脇 正樹
九州工業大学情報工学部助手
100
各導電性高分子による人工筋肉は,小型・軽量・低駆動電圧であり,高応答性,高耐久性,柔軟性,可塑性を備えており新機能性材料として注目されている.これまでに,人工筋肉の化学的基礎特性(伸縮率,イオン種依存性,pH依存性)および機械的特性(変位量,発生カ)を測定し,これらの基礎的特性を明らかにした.本研究では,人工筋肉を用いた流体輸送システムの開発を行う.人工筋肉による小型ポンプおよび蠕動運動を行うチューブを創製し,生体機能補助システム,生体代替システムとしての確立を目指す.
特異積分方程式法と有限要素法の結合解法による界面き裂問題の高精度解析とその応用 小田 和広
徳山工業高等専門学校助教授
100
近年、材料の複合化や高機能化に伴い、異種材料界面強度の定量的評価が急務になってきている。複合材料の場合、材料の接着界面や接合端部などに集中応力が発生し、そこが破壊の起点になる場合が多い。破壊力学的手法によれば、界面にき裂が存在する場合の応力拡大係数を知ることが重要である。本研究の目的は、高精度で汎用的な界面き裂の応力拡大係数の数値解析手法を確立し、三次元の界面き裂の応力拡大係数を求め、その解析結果から、材料定数やき裂形状などのパラメータなどの応力拡大係数の支配因子を見出すことである。
微粒子投射表面改質技術によるマイクロディンプルの形成が流体潤滑性能に及ぼす影響 平山 朋子
龍谷大学理工学部助手
100
近年注目を集めている「微粒子投射表面改質技術」によって表面に形成されるマイクロデインプルが流体潤滑性能に及ぼす影響を実験、解析の両面から検討する。具体的には、表面にマイクロディンプルを形成したシャフトから成るジャーナル軸受型実験装置を製作し、軸受が流体潤滑状態にあるときのスリーブの振れ精度を測定することによってマイクロデインプルの効果を調べる。また、Reynolds方程式などの基礎式にマイクロデインプル型の表面形状変化を取り入れることにより、解析的にその妥当性を検討する。
バイオガスからの生分解性高分子の生産 竹口 昌之
沼津工業高等専門学校講師
100
石油資源が地球上に偏って存在するのと対照的に、メタンはほぼ均等に存在している。また、メタンはバイオガスとして再生可能な資源でもある。このためメタンは有望なエネルギー源および工業原料して期待されている。メタン資化細菌は常温常圧という温和な条件下、メタンを唯−の炭素源として生育できる微生物である。メタン資化細菌は菌体内に生分解性高分子であるポリ-β-ヒドロキシ酪酸(Poly-β-hydroxybutyrate:PHB)を蓄積することができる。そこで、本研究ではメタンの有効利用を目的にPHBを合成することを目的とする。
有機無機ナノ構造を利用した分子認識環境光触媒の創製 犬丸 啓
広島大学大学院工学研究科助教授
100
申請者の提案した有機無機ナノ構造による分子認識機能に、光触媒機能を複合させ、有害分子を見分けて除去する分子認識光触媒を創製する。すなわち、分子認識機能をもち特定分子を選択的に吸着除去し、さらに光照射によりその分子を無害化するという、従来にない機能を創出する。いわゆる「環境ホルモン」として問題となっているノニルフェノールやその原因物質であるノニルフェノールポリエトキシレートなどを対象分子として研究を進める。
核燃料再処理廃棄物からの長寿命放射性核種分離固定化を可能にする糖ペプチド基盤環境調和型材料の研究 山村 初雄
名古屋工業大学大学院工学研究科助教授
100
原子力発電において生じた使用済核燃料の再処理過程では高レベル放射性廃液を生じる。この中には50年以上にわたって放射線を放出し続ける長寿命放射性核種が含まれている。それを他の物質と分離して固定化することは、放射性廃棄物として効率的かつ安全に半永久的保管管理する上で重要な課題である。ここでは、これまで困難であった長寿命放射性核種セシウム137の特異的固定化を可能とする新規材料を糖質とポリぺプチドを基盤として構築する。
光エネルギー移動能を持つ複数の有機金属錯体から設計した超分子細線の構築 塩塚 理仁
名古屋工業大学大学院工学研究科助手
100
本研究の目的は、次世代のナノエレクトロニクスや量子デバイスに必要とされる光スイッチ機能を付加した超分子導線の構築にある。その構築素子として導線部位に金(l)有機金属錯体を利用し、光スイッチ機能に必要な光エネルギー及び光電子移動システムにルテニウム(ll)錯体やレニウム(l)錯体を導入した複合金属錯体による超分子細線を創造する。そして、この複合金属錯体系の光物性を解明し、金属錯体系による量子素子(超分子導線)の可能性及び実現性を評価する。
パープライト系列化合物の精密構造解折 山田 淳夫
東京工業大学大学院総合理工学研究科助教授
100
パープライト系列化合物は一般式(MnyFe1−y)PO4で表わされ、近年リチウム電池の大型用途への展開を可能にする新規材料として注目を集めているLi(MnyFe1−y)PO4の充電時生成物である。電極特性向上のためには材料物性の正しい理解が基礎となる。その出発点として構造パラメータの精密決定が不可欠であるが、強い電子格子相互作用を示すMn3+を含み複雑な相変態を示すこの系の系統的構造解析例はこれまでにない。本研究では中性子回折やメスバウア分光を駆使した精密構造解析により、電極特性改善へ向けての礎を築く。
二元遷移金属酸化物薄膜の電解析出プロセスの開発と電気化学分析への応用に関する研究 中山 雅晴
山口大学工学部助教授
100
本研究は、【1】遷移金属置換ヘテロポリ酸を前駆体に用い、電気化学的手法により二元遷移金属酸化物薄膜を1ステップで合成する、【2】薄膜の構造,組成と電気化学パラメータとの関係を統一的に把握し,所望の物性発現に向けた設計指針を提案する、【3】作製した薄膜被覆電極を糖・アミノ酸の電気化学分析に応用する、ものである。
土壌コロイド粒子による汚染物質の輸送促進機構解明 小松 登志子
埼玉大学大学院理工学研究科教授
100
土壌・地下水汚染問題は近年,顕在化してきた深刻な環境問題の一つである.従来,地下環境にはさまざまな廃棄物や有害物質が埋められ放置されてきた.土壌・地下水汚染の浄化は非常に困難であり,汚染が発覚した際には既に汚染が広範囲に拡大している場合が多い.土壌・地下水汚染の防止・対策のためには土壌内における汚染物質挙動を把握することが重要である.本研究では土壌コロイド粒子による汚染物質の移動促進という新しい輸送機構を解明することを目的とする.
合 計 32件 3,300

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