助成実績

青少年健全教育関係 市民活動支援

2005年度市民活動支援【詳細】

活動名  団体名 特定非営利活動法人
ひろしまNPOセンター
大学生啓発プログラム「実習10間で学ぶNPOのすべて」 地域 広島県広島市
代表者 代表理事 安藤 周治
支援金額 25万円
活動概要
NPOに関心を寄せる大学生が、さらにNPOへの関心を高め、体験後は自らボランティア活動や団体の立ち上げなど、自主的に取り組んでもらえるように、実際に様々なNPO活動を10日間経験してもらい、社会へ目を向け、問題意識を向上させる機会とすることを目的としたプログラム。前半ではNPOの概略理解のために、座学による理解とNPO・ボランティアの支援、相談窓口訪問による理解、またNPO法人の調査作業を行い、調査のノウハウ理解とNPOの現状把握による学習を行った。後半では、特定の分野で活動するNPOで3日間実際にスタッフとしての活動を体験し、最終日には公開形式でその体験報告を行なった。
実施時期: 2005年7月27日(水)〜9月24日(土)のうち11日間 (うち1日はオリエンテーション)
参加人員:
大学生8名、活動体験報告会参加者19名、事務局3名
体験学習協力4団体、訪問団体3団体
参加総人員 約60名
「法人調査」の下準備 リサイクル!アルミから魚を作る
《「法人調査」の下準備》 《リサイクル!アルミから魚を作る》
活動体験報告会 活動体験報告会
《活動体験報告会》
活動が関連する団体等、地域社会等に与えた影響 
<学生側>
このプログラムでは、学生の思いや意見、提案を大事にするようにしたこともあり、学生が自発的に動けるようになっていった。特に、8名が法人調査作業を進めるうえで、進度に個人差が出てきた時、早く進んでいる者が遅い者の手伝いをすすんで始め、それをみていた他の学生も次々と手伝い始めるというさまを見たとき、これぞボランタリーな動きだと実感した。「助け合う」「お互いさま」を体験学習できたのだと思う。この頃から、メンバー間の関係も密になったし、自分で動きつつ相手を気遣う姿勢が出てきた。また、法人調査によって、「こんなNPOがあるのか」など、知らないことだらけであることに気づき、NPOに興味を示すことが多くなった。
<NPO側>
法人調査の調査票が送られてきたNPO法人から、ひろしまNPOセンターという中間支援を少しでも認知していただけたことも収穫だが、それにも増して、大学生がNPOで実習していることを知り、学生のために協力してくださった法人もあり、NPOと大学との距離感が縮まったような気がする。また、体験学習の受け手として協力してくださったNPOからも、学生たちの新鮮な空気と若い力を評価する声が多く、限定された期間ではあったが、パワフルな活動につながったようだ。また、この学生たちが少しでもNPOに残ってくれたら、という思いで、今も学生たちと連絡を取っている団体もあり、ここでもNPOと大学のつながりが芽生えてきたように感じる。
<大学側>
送りこんだ大学からは、学生の報告を聞き、まずその学生の変貌ぶり驚いているという声がほとんどである。「こんなにたくさん話をするような子じゃなかった。」という担当教官からのメールをいただいたとき、“NPOには洗脳力がある”があることを確信した。また、次年度も学生を送りこみたいというオファーが既にあり、今回のプログラムは総合的にみて、大成功であったと評価している。
このプログラムの成果物である「NPO名鑑」がマスコミでも取り上げられたこともあって、今でも購入希望の問い合わせがあるほどである。これまで広島県内ではこうした法人の詳細を冊子にまとめた例がなかったからではあるが、ニーズの高さを証明することとなり、「ひろしまNPOセンターに行けば冊子が買える」とか「あそこならNPOのことがわかる」というPRにもつながった。また活動報告会などを通して、大学との連携を取りたいNPOが当会に問い合わせてくる件数も増えた。
苦労した点
予想した点はいくつかあった。まず学生のNPO理解度が事前にどこまであるのかということ。NPOやボランティアに関する授業を受けたことが全くない学生が(半ば興味本位で)集まっているので、NPOの社会的意義や無償ボランティアとの違いなどをしぼり込んでいくのには時間がかかった。事前学習で初心者向けの書籍は読んできてもらったものの、やはりイメージできないことばかりだったという。学生には毎日、ワークシートを記入してもらい、そこに事務局がコメントを入れていったが、最初の頃は質問の欄に極めて初歩的な質問が集中していた。が、それをもとに翌朝のミーティングで全員がそれらを共有しながら、さらに新聞記事などを取り入れながら現場の話をし、体験活動に出る頃にはなんとなくNPOが見えてきていたように思う。 次に、予算の問題。このプロジェクトを運営していくには、もちろんコストがかかる。その部分を助成金と当会の自主財源から使える範囲で賄っているが、それでも運営スタッフの人件費は全くメドが立たない。そこで多少でも学生を送りこんでいる大学にご負担いただけないか相談もしてみたが、大学生がNPOで実習を積むのに、大学側が費用を負担することはまずない。これは企業実習も無料でお願いをしているからだという。ここで企業とNPOの費用捻出の方法には、随分と違いがあることを認識していただきたかったが、なかなかご理解いただけなかったところがなんとも悩ましい。
今後の課題・発展の方向性
予算の部分をどうクリアにしていくか、というのは引き続き課題として残る。それよりも、このプログラムで一段階成長した、この学生たちをこの後どうフォローし、どこまで延ばすのかが大きな課題だと思う。 現在のところ、学生の携帯メールを利用して、当会や他団体のボランティア活動への誘い、面白そうなイベントの紹介などを行っているが、就職活動や授業、アルバイトなどと時間が重複してしまい、なかなか思うようにボランティア活動に参加できない状況が続いている。そうはいってもメールを出せば返事はしてくるし、暇をみつけて顔を出してくれるところをみると、決して関心が薄れているわけではない。“鉄は熱いうちに”もう一つ何らかの手を打つことが必要だと考える。 次の夏にも同じように大学生の啓発プログラムを実施するが、今度はそのプログラムの一部をOBとして企画運営してもらおうと企んでいる。その中で、今回作成した「NPO名鑑」のデータ版をどう公開していくのかについても議論し、学生のネットワーク力を生かしながら発展させていきたい。NPO2年生にはPDACのマネジメントサイクルをしぼり込んでいきたいと思う。
活動を終えての感想・意見等
最近の大学生は要領がいいので、受けた指示には速攻で応えるが、逆にそれ以上のことはしない(できない)。「とにかくみんなで考える」「人に相談する」「事務局への意見は全て聴く」をモットーに、こちらも言いたい放題、学生もやりたい放題で10日間を過ごした。が、これが学生たちを少しずつ変えていく要因になったと確信している。また、当会に日々来客があり、皆さんが学生にねぎらいの言葉をかけてくれたことや法人調査で法人の代表と話をする中で、人に対する感情も少しずつ変化したように思う。「NPOの人って熱いですよね。」とほとんど学生が口にしていたが、これをわかってくれたことは何よりも嬉しい。熱い思いが全ての原動力。それがNPOだということに気づいてくれた瞬間だったのではないだろうか。報告会の中で、ある学生が「人生観が変わった」と言っていたが、大学生の狭くなりがちな視野に、新たなモノの見方や価値観などの新風を吹き込んでいくのは、大学ではなくNPOであり、ここが大学から期待されていることなのだと推察する。社会の明日を担う人物は、近い将来今の学生たちになる。彼らが今の社会のしくみにとらわれ、妙なプレッシャーだけを背負っていくことがないように、我々NPOはこれからも微力ながら背中を押してあげなければならないと思う。

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